家賃が払えないとどうなる?待ってもらう?追い出される?やばいリスクと対処法

住む場所がないと生活ができないので、家賃が払えないと困ります。

最近では物価の上昇などの影響もあり、「お金に困って家賃が払えないけれどどうしたらいいのか」「家賃が払えないとどんな影響が出るのか」と不安に思っている人もいるのではないでしょうか。

家賃が払えないままでいると、最終的には家を失うケースもあります。そうなる前に、対処が必要です。

今回は家賃が払えない場合にどのような影響が出るか解説し、対策法も紹介します。

次のようなお悩みを抱えている方は必見です。

  • 家賃が払えないから退去したい
  • 家賃が払えないけど引っ越しもできない、どうすればいい?
  • 家賃が払えないと追い出される?待ってもらうこともできる?
  • 家賃が払えない時の相談窓口が知りたい

家賃が払えなくなりそうで不安な人は、ぜひ参考にして対策をしてください。

Contents

家賃が払えないとどうなる?追い出される?考えられる影響を解説

家賃が払えないでいるとどうなるのかは、状況によって違います。どのような影響が出る可能性があるのか、詳しく見ていきましょう。

家賃が払えない状況が続くと、家賃を支払うよう督促を受ける

家賃の支払いが遅れると、まずは督促を受けます。連絡方法としては、以下のような方法が考えられます。

  • 電話
  • メール
  • 訪問
  • 手紙やハガキ

最初は電話やメール、訪問で督促される可能性が高いでしょう。支払い忘れや一時的にお金が足りなくて払えなかった場合は、支払い期限までに支払うよう言われます。

督促をしても支払いが確認できない場合には、手紙やハガキに切り替わるのが一般的です。支払い期限が書かれているので、期限までに支払いを済ませましょう。

何度か督促を受けても支払えずにいると、内容証明郵便が届く場合もあります。内容証明郵便とは、以下の内容がわかる郵便物です。

  • 郵便物を出した日
  • 文章の内容
  • 差出人と受取人

内容証明郵便は、督促を行ったという事実を証明する目的で郵送されます。内容証明の郵便では、督促だけではなく契約解除の通知が届く可能性もあるので、放置せずに内容を確認しましょう。

家賃が払えないと連帯保証人に督促の連絡が行く

賃貸物件に入居する時に連帯保証人を立てている場合は、連帯保証人にも督促の連絡が行きます。連帯保証人は入居者の債務を連帯して保証する立場にあるため、入居者の支払いが滞ると代わりに支払いをしなければいけません。

連帯保証人にどのタイミングで連絡が行くかは、大家さんや管理会社次第です。

連帯保証人は民法にも定められている制度で、法的な効力があります。入居者に返済能力があるかどうかに関わらず、大家さんや管理会社から支払いを求められたら応じなければいけません。

入居者の立場からすると、連帯保証人に自分の債務を支払わせることになります。

2ヶ月以上の家賃の滞納で個人信用情報機関に滞納の記録が残る場合も

2ヶ月以上家賃を滞納すると、個人信用情報機関に滞納の記録が残る可能性もあります。滞納の記録が残るのは、以下の条件に当てはまる人です。

  • 連帯保証人を立てず保証会社を利用している
  • 家賃をクレジットカード払いにしている

連帯保証人を立てている人は、個人信用情報機関の記録には影響しません。賃貸物件に入居する際、「連帯保証人になってくれる人がいない」「大家さんや管理会社から求められた」という理由がある場合は、保証会社を利用するのが一般的です。

保証会社は入居者の家賃の支払いが滞った時に、代わりに返済をする役割を持っています。とはいえ、保証会社が家賃を支払ってくれても、入居者の支払いの義務がなくなったわけではありません。以降は保証会社に返済を続けるルールになっています。

保証会社やクレジットカード会社は、利用者のお金の借入状況を個人信用情報機関と呼ばれる機関に報告する義務があるため、延滞すると影響が出ます。

個人信用情報機関とは、個人のお金の借り方に関する情報が集められている機関です。ローンの契約や保証会社との契約などを結ぶ際には、返済できる能力があるか審査が行われます。

審査では今までのお金の借り方に問題がないか、すでに返済できない状態に陥っていないかを確認するために、個人信用情報機関の情報が照会される仕組みです。滞納の記録があると、新たなローンの契約などができません。

家賃を保証会社に返済してもらった場合も、滞納の記録が残ります。一度記録が残ると5年間は記録が消えず、多く場合ローンが組めません。個人信用情報機関に滞納の記録が残ってお金が借りにくい状態を例えて「ブラックリスト入りする」という場合もあります。

3~4ヶ月家賃を払えないままでいると退去を求められる

3ヶ月から4か月程度の期間にわたって入居者も連帯保証人も支払いをしないでいると、賃貸契約が解除され退去を求められます。

契約を解除された状態で住み続けると不法占拠の扱いになるため、物件に住み続けることはできません。

家賃を払えないと物件の退去と滞納分の家賃を請求する裁判を起こされる

賃貸契約を解除したのに入居者が物件に住み続けている場合、物件の明け渡しと滞納分の家賃を請求する裁判を起こされます。

督促の際に内容証明郵便が送られるのは、裁判の際に証拠とするためです。督促をしたという事実がなければ裁判で不利になる可能性があるため、内容証明郵便で証拠を残しています。

裁判で大家さんや管理会社の主張が認められれば、物件を出なければいけません。

強制執行の申し立てが行われると強制退去になる

裁判で出ていくよう求められたにも関わらず退去しないでいると、強制執行の申し立てが行われます。申し立てが行われると、執行官が現状の調査をしたうえで明け渡しまでの期限を決めます。

明け渡しの期限がきても物件を退去していなければ、強制退去になり入居者の荷物が強制的に建物の外に運び出される流れです。

家賃を滞納すると遅延利息を請求される可能性がある

家賃を滞納すると、遅延利息を請求される可能性もあります。遅延利息は遅延損害金とも呼ばれ、家賃の支払いが遅れたことに対する損害賠償の意味を持つお金です。

請求される利息は、以下のルールで決定されます。

  • 契約時に取り決めをしている場合は取り決めに従う
  • 契約時に取り決めをしていない場合は法律に従う

契約時に遅延損害金ついて取り決めがある場合は、ルール通りの金利で利息を支払います。利息は大家さんや管理会社によって異なりますが、金利の上限は年14.6%とされているのが一般的です。

上限が年14.6%には、明確な根拠はありません。国税の延滞料金に習っているという説や、消費者契約法で年14.6%を超える利息は無効とされているためという説がありますが、年14.6%を超えた場合には相談できると考えてもよいでしょう。

契約時に取り決めをしていなくても、遅延損害金の請求を受けたら払わなければいけません。遅延損害金については民法に規定があり、契約時に取り決めがあってもなくても支払うべきものです。

契約時に取り決めがなかった場合は、金利の上限が年3.0%になります(2020年4月以降)。3年ごとに金利が見直されるルールになっているため、法律が改正された場合は上限の金利が変わる可能性もある点に注意しましょう。

契約時に取り決めがなく、遅延損害金の請求を受けなかった場合は、支払う必要はありません。どれくらい支払いが遅れると遅延損害金を求められるかも、大家さんや管理会社の判断によります。

家賃が支払えない時に試したい6つの対策法

家賃が支払えないでいると強制退去も考えられるため、何らかの対策をしなければいけません。考えられる対策法を紹介するので、できそうなものを試してみてください。

一時的に家賃が払えない時は支払い猶予や分割払いの相談をする

家賃が払えない時には、大家さんや管理会社に相談しましょう。重要なのは、支払う意思を見せることです。

近いうちに給料やボーナスが入るあてがあるなら、支払いを一定の期間猶予してもらうよう相談してみましょう。すぐに全額支払えなくても、少しずつなら返せそうな場合は、分割払いの相談をする方法もあります。

いつまでに支払う予定かをはっきり伝えれば、待ってもらえる可能性があります。

大家さんや管理会社の方から支払い方を提案される場合もあるので、問題なければ提示された支払い方法で支払いを済ませましょう。

家賃が支払えるよう収入を増やす方法を考える

家賃が払えない場合は、支払えない金額分収入を増やす方法も考えましょう。副業が可能な職場に勤めている場合は、副業をするのがおすすめです。

最近では副業が認められるケースが多くなりましたが、副業が禁止されている職場もあるため、事前に確認してから始めましょう。

副業として取り組みやすい仕事の例を紹介します。

  • クラウドソーシング
  • 単発バイト

自宅に居ながら仕事が受注できるクラウドソーシングは、副業として始めやすくおすすめめです。インターネット上で不特定多数に向けて企業が発注した仕事を受注する働き方で、都合に合わせて取り組めます。

クラウドソーシングで発注される仕事は、内容が多岐に渡っているのが特徴です。専門的なスキルを生かせるものから初心者でも取り組めるものまであるため、自分の状態に合わせて取り組めます。

専門スキルが必要な仕事の方が単価が高い傾向が見られるので、スキルがある人は効率的に稼げるのもメリットです。初心者の場合は単価が低くなりがちですが、取り組みやすい仕事を選んで受注できる利点があります。

短時間または1日単位で働ける単発バイトも、自分の都合に合わせて働きやすくおすすめです。働きたい人と働いてくれる人を募集している企業をマッチングするサービスや、求人情報サイトなどで情報を集めて、必要な金額が設けられるように計画を立てましょう。

副業が禁止されている場合は、不要品を売却するフリマアプリやオークションの利用もおすすめです。不要品を売るだけなら、副業とはみなされません。

今住んでいる物件の家賃が高く払えない場合は引っ越す

自分の収入に対して今住んでいる物件の家賃が高すぎる場合は、引っ越しも検討しましょう。好景気の時代には年収の30%程度の家賃なら支払えるとされてきました。しかし、輸入が増えづらくなった現在では、20%~25%程度に抑える方がよいと言われています。

年収ではなく、手取りの金額に対する割合で計算しましょう。計算してみて、家賃が高い場合は、引っ越した方が支払いが滞りにくくなります。ただし、引っ越しをするには引っ越し費用が必要なので、注意しましょう。

引っ越し費用は家族の人数や移動距離、季節によって異なります。繁忙期は費用が高くなるので、2月から4月を避けて引っ越すのがおすすめです。一人暮らしの人が同じ市町村内で引っ越す場合で、相場は5万円から7万4千程度と言われています。

さらに、以下のような費用が含まれる初期費用も必要です。

  • 敷金
  • 礼金
  • 家賃の前払い分
  • 火災保険料

初期費用の相場は家賃の5ヶ月~6ヶ月分と言われているため、長期的に見て軽減できる家賃と引っ越しに必要な費用を比較して慎重に検討しましょう。

家賃が払えないと相談して連帯保証人や身内に借りて乗り切る

連帯保証人に大家さんや管理会社から連絡が行くのを待つのではなく、自分から頼んで一時的にお金を借りる方法もあります。連帯保証人への影響もきちんと意識していると思ってもらえるので、自分から頼む方が印象がよいでしょう。

連帯保証人以外の身内に頼めそうな場合には、身内に頼んでも構いません。親しい人からお金を借りる場合でも、返済はきちんとする必要があります。

借りたお金はいつ返せるか、どのような方法で返済をするのか、取り決めたうえでお金を借りるようにしましょう。

長期的に計画を立てて返済したい場合はカードローンで借りる

すぐに返済はできなくても、長期的に計画を立てて少しずつ返済したい場合は、カードローンで借りるのがおすすめです。カードローンなら、頼る人がいない場合でもお金が借りられます。

カードローンは必要なお金を借りられて、返済は月々決まった金額だけで構いません。もともと長期的に支払いをしていく性質のローン商品なので、コツコツと返済できます。最短即日融資も可能なので、家賃の支払いを忘れていた時にも素早い対応が可能です。

カードローンは一度契約しておくと利用限度額の範囲内で繰り返し融資が受けられるため、何らかの事情で再びお金に困って家賃が払えない時でも延滞せずに済みます。

初めて契約する人を対象として無利息で借りられる期間を設けるサービスをしているカードローンもあるので、利息が気になる人は無利息サービスにも注目しながら借入をしましょう。

家賃が支払えない時におすすめのカードローンと特徴を紹介するので、どこを利用していいかわからない場合は特徴を見ながら借入先を決めてみてください。いずれのカードローンも来店不要で、インターネット上で契約まで完結できます。

カードローン 特徴
SMBCモビット 最短30分で審査が終わる
「Web完結申込」なら電話連絡も郵送物もない
契約書やカードがコンビニなど自宅以外の場所で受け取れる
クレジット機能付きのカードも選べる
プロミス 最短30分で審査が終わる
審査後契約をすればすぐに借りられる
金利の上限が年17.8%と低い
30日間無利息で借りられる※Web明細の利用とメールアドレス登録が必要
原則会社への電話連絡がない
アコム 最短30分で審査が終わる
最短60分程度で融資が受けられる
はじめての人でも手続きがわかりやすい
最大30日間無利息で借りられる
会社への連絡が不安な場合に相談に乗ってくれる
クレジット機能付きのカードも選べる
アイフル 最短25分で審査が終わる
審査後契約をすればすぐに借りられる
原則電話連絡がない
アプリをカード代わりにATMで借りられる
シンプルなアプリアイコンも選べてバレにくい
最大30日間無利息で借りられる
オリックスマネー 最短60分で審査が終わる※翌日までかかる可能性あり
金利の上限が年17.8%と低い
スマホ完結のマネーサービスで手軽に借りられる
アプリをカード代わりにATMで借りられる
レイクALSA Web申し込みなら最短15秒で審査が終わる
Web申し込みなら最短60分程度で借入までできる
無利息サービスが特徴的でお得に借りられるケースがある
会社への連絡が不安な場合に相談に乗ってくれる
三井住友カード「カードローン」 最短5分で審査が終わる
金利の上限が年15.0%と低い
返済実績に応じて年0.3%(最大1.2%)の金利引き下げがある
2種類のタイプがあり希望に合わせて選べる

今回紹介したカードローンでは、余裕のある時に繰り上げ返済や一括返済もできます。返済期間が短くなるほど利息が少なくて済むので、ボーナスが出た月や余裕がある月に多めに返済すると利息の負担の軽減も可能です。

カードローンを上手く活用しながら、困っている時期を乗り切りましょう。

どうやっても家賃が払えないほど困っているなら債務整理を検討する

どうやっても家賃の支払いができないほど生活に困っている場合は、債務整理も検討しましょう。債務整理とは専門家に間に入ってもらったり法的な手段を用いたりして、借金を整理する方法です。

債務整理の方法によって、以下のような効果が期待できます。

債務整理の方法 特徴
任意整理 裁判所を通さず借入先との交渉で返済額を減額する
将来的な利息をカットして返済額を減額する
借入先との交渉が必要になる
個人再生 裁判所を通して支払額を大幅に減額する
減額した金額を払えるだけの安定収入が必要になる
自己破産 裁判所を通して返済を免除してもらう
返済の義務がなくなる代わりに高額な財産は失う
職業によっては手続き期間中に制限を受ける
連帯保証人に請求が行く

家賃以外にも借入があるか、借入額がどれくらいかによって、適した方法が違います。連帯保証人がいる場合は連帯保証人に請求が行く方法もあるので、専門家に相談しながら方法を考えなければいけません。

また、債務整理をすると退去しなければいけない取り決めになっている物件もあります。事前の取り決めはなくても、家賃が支払えない状態になったら物件を出ていなかければならない可能性もあるため、事前に確認が必要です。

退去しなくて済む物件なら、債務整理が生活の立て直しに役立つこともあります。

家賃の滞納はどれくらい待ってもらえる?追い出される?期間を確認

家賃を滞納すると強制退去もあり得ると聞くと、どれくらい待ってもらえるのか不安に思う人もいるでしょう。どれくらい待ってもらえるのか、影響が出るまでの期間について見ていきましょう。

相談した場合に待ってもらえるのは3ヶ月程度の例が多い

家賃の支払いの猶予や分割払いの相談をした場合、いつまで待ってくれるかは大家さんや管理会社の判断によります。1ヶ月しか待たないケースもあれば、事情によっては長く待ってくれる場合もあるといった感じです。

法律によると「相当の期間」とされていて、明確な取り決めはありません。多く見られる例を元に言えば、相談した場合に家賃の支払いを待ってもらえるのは3ヶ月程度です。

1ヶ月ですぐに契約を解除されると、入居者が生活に困ります。長期間収入が得られない状態で物件を貸していると、大家さんや管理会社が影響を受けるので、あまり長くは待てません。

両者にとって無理のない程度と考えると、3ヶ月までは待つという判断になるのが一般的です。家賃が払えなくなって3ヶ月が経過すると、賃貸契約を解除される可能性が高いと考えましょう。

ただし、繰り返し家賃を滞納している場合は、1ヶ月の延滞でも影響が出る可能性があります。

家賃の滞納で強制退去になるのは賃貸契約の解除から約4ヶ月後

家賃の滞納で強制退去になるのは、賃貸契約の解除の通知を受けてから4ヶ月程度経過してからです。

内容証明郵便で契約解除の通知を受けた後、最初の裁判が開かれるまでに1ヶ月半程度かかります。入居者が大家さんや管理会社の主張を認めて裁判に欠席すれば、1ヶ月から2ヶ月で判決が出るのが一般的です。

裁判に欠席すると大家さんや管理会社の主張に同意した扱いになるため、争いたい内容がある場合は欠席せずに主張しましょう。

判決が出てから強制退去まで、さらに1ヶ月から2ヶ月程度かかります。

全体として約4ヶ月程度と考えておきましょう。

家賃を滞納したままでいると時効が成立する?

家賃を滞納したままでいると時効が成立する可能性はありますが、かなり難しいと考えましょう。

時効が成立するには、以下の4つの条件をすべて満たしている必要があります。

  • 家賃を滞納してから5年以上経過している
  • 時効が成立するまでに一度も家賃を支払っていない
  • 大家さんや管理会社が一度も督促を行っていない
  • 入居者が大家さんや管理会社に時効の援用を行う

時効が成立するには、家賃を滞納してから5年間以上経過している必要があります。

5年間のうちに一度でも家賃を支払うと債務があることを認めたことになり、支払いをした時から再度5年間過ぎなければ時効が成立しません。これを時効の中断といいます。お金は支払っていなくても「家賃を支払う」と約束した場合も、時効が中断される決まりです。

時効が成立するには、大家さんや管理会社が一度も督促を行っていないという条件もあります。内容証明郵便を送ったり裁判を起こしたりしているなど家賃を回収しようとする努力をしていると認められれば、時効は成立しません。

時効を成立させるには、全ての条件を満たした状態で入居者が大家さんや管理会社に対して時効が成立したことを伝える「時効の援用」を行う必要もあります。

すべての条件を満たすには、大家さんや管理会社が家賃の督促をしていないという条件を満たさなければいけません。支払われていない家賃を請求しないのは、考えにくいと言えるでしょう。

家賃が支払えず生活も苦しい時に利用できる公的融資制度と相談窓口

家賃が支払えず、さらに生活も苦しい場合には、公的融資制度が利用できる可能性もあります。考えられる制度について確認しましょう。

短期的な支援で立て直せる可能性があるなら住居確保給付金

短期的な支援が受けられれば生活を立て直せる可能性があるなら、住居確保給付金の利用が考えられます。市区町村ごとに定める金額を上限として実際の家賃額を負担する制度で、以下の要件を満たしている人が申請可能です。

  • 主な生計維持者が離職・廃業後2年以内である
  • 直近の月の世帯収入の合計が決められた基準を超えていない
  • 世帯の預貯金の合計額が決められた基準を超えていない
  • ハローワークに登録して求職活動を熱心に行っている

主な生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合以外に、個人の責任ではない理由で給与などを得る機会が離職した場合や廃業した場合と同程度まで減っている人も制度を利用できます。

収入や預貯金の金額にも条件があり、ハローワークに登録して求職活動を熱心に行っていることも条件です。

制度の概要を見てみましょう。

項目 内容
支給期間 原則3ヶ月間
2回まで延長可能で最大9ヶ月間
支給額 実際の家賃の金額
※市区町村ごとに上限あり
申請先 住んでいる地域の自立相談支援機関

新型コロナウイルス対策として、退職または廃業した人のみではなく、離職していなくても収入が減少すれば給付金が申請できるようになりました。さらに原油価格の高騰や物価の高騰を受けて、求職活動の要件も緩和されています。

手続きの流れを確認しましょう。

1、住んでいる地域の自立相談支援機関に相談と申請をする
2、地方公共団体が確認して支援が決定すれば自立支援相談機関に決定通知書を送る
3、自立相談支援機関から入居者が決定通知書等を受け取る
4、地方公共団体から直接大家さんや管理会社に家賃が支払われる

申請に必要な書類を確認しましょう。

家賃の支払いが滞っていて制度の利用を検討している人は、早めに大家さんに伝えておきましょう。家賃を受け取れる可能性があれば、退去を迫られない可能性もあります。

低所得者でも入居を拒まれないセーフティネット住宅

セーフティネット住宅とは低所得者をはじめとして、以下のような住宅の確保に配慮が必要な人の入居を拒まない住宅です。

  • 低額所得者
  • 高齢者
  • 障害者
  • 子育て世帯
  • 被災者
  • 外国人
  • 地方公共団体の判断で追加した人

セーフティネット住宅によっては、たとえば「定額所得者の入居は拒まない」など、入居を認める人が限定されています。お金に困っている場合は定額所得者の入居を拒まないセーフティネット住宅を選びましょう。

法律で定められている定額所得者は、月収が15万8千円以下の人です。

大家さんや管理会社が賃貸物件をセーフティネット住宅として登録すると、地方公共団体が支援が必要な人に対して情報の提供を行います。情報の提供を受けて、配慮が必要な人が入居を決めて住む流れです。

セーフティネット住宅では、入居者の負担を軽減する経済的な支援が受けられます。家賃や保証料が低額にできるように地方公共団体と国が協力して補助を実施します。さらに、セーフティネット登録住宅への住替えに対する補助が受けられるのもメリットです。

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住宅関連の費用が借りられる生活福祉資金貸付制度の総合支援資金

生活福祉資金貸付制度の総合支援資金という種類の資金を利用すれば、住宅関連の費用が借りられます。生活福祉資金貸付制度は社会福祉協議会を通して申し込みをする融資制度で、低所得世帯や障碍者世帯などが融資の対象です。

生活福祉資金貸付制度では、借入目的に合わせて資金の種類が決まっています。家賃が払えない場合に向いているのは、総合支援資金です。総合支援資金で借りられる資金の種類を見てみましょう。

資金の種類 内容 利率 融資額
生活支援資金 生活再建までに必要な生活費用が借りられる 連帯保証人あり:無利子
連帯保証人なし:年1.5%
単身世帯:月15万円まで
2人以上:月20万円まで
住宅入居費 敷金や礼金など賃貸契約を結ぶために必要な費用が借りられる 連帯保証人あり:無利子
連帯保証人なし:年1.5%
40万円まで
一時生活再建費 生活再建のために必要で日常生活費では賄えない費用が借りられる
※滞納している家賃や公共料金の立て替えなど
連帯保証人あり:無利子
連帯保証人なし:年1.5%
60万円まで

生活再建に必要な費用全般を借りたいなら生活支援費、引っ越しを目的としているなら住宅入居費が向いています。一時生活再建費は滞納している家賃の支払いにも充てられるので、家賃を目的として借入をするのに適した費用です。

総合支援資金を利用したい場合は、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業を利用する必要があります。社会福祉協議会に相談して、目的に合わせて制度を利用しましょう。

緊急の場合に少額の資金が無利子で借りられる緊急小口資金

緊急かつ一時的に生計の維持が困難になった場合に借りられるのが、緊急小口資金です。緊急小口資金も生活福祉資金貸付制度で借りられる資金の一種で、10万円以内の少額の資金が無利子で借りられます。

緊急小口資金を利用したい場合も、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業を利用する必要があります。

収入アップを目指すなら就職のサポートが受けられる求職者支援制度

仕事がなくて家賃が支払えない人や今の仕事の給料が低くて家賃が払えない人には、就職のサポートが受けられる求職者支援制度が向いています。求職者支援制度は、再就職や転職、スキルアップを目指す人向けの制度です。

制度を利用すると、以下のサポートが受けられます。

  • 月10万円の給付金が受け取れる
  • 無料の職業訓練が受けられる
  • 就職のサポートをしてもらえる

給付金を受け取りながら無料の職業訓練が受けられるため、生活や訓練の受講費用を心配する必要がありません。ハローワークによる就職のサポートも受けられます。

制度を利用できるのは、離職して雇用保険を受給できない人や、収入が一定以下の在職者です。給付金を受けられる条件に当てはまっていなくても、無料で職業訓練が受けられる場合もあります。

求職者支援制度で給付金を受給しても生活費が足りない場合には、求職者支援資金融資制度でお金を借りることも可能です。単身者で月5万円、家族がいる場合は月10万円を上限として、訓練を受講する月数だけお金が借りられます。

給付金の受給が決定していて、ハローワークから求職者支援資金融資要件確認書の交付を受けている場合に借入が可能です。

生活の立て直しが難しい場合は生活保護を受給するのも一つの方法

生活の立て直しが難しい場合は、生活が立て直せる目途が立つまで生活保護を受給するのも一つの方法です。生活保護は健康で文化的な最低限度の生活を保障するための制度で、困窮の程度に応じた支援が受けられます。

厚生労働省が定める基準を元に最低生活費を出し、収入を合計しても最低生活費に足りない場合に足りない金額だけ援助を受けられる仕組みです。

生活保護を受給するには、以下の条件を満たしていなければいけません。

  • 預貯金や生活に利用していない土地・家屋など活用できる資産がない
  • 働けない
  • 給付金や年金などでは補えない
  • 扶養義務がある人からの援助が受けられない

生活保護の受給を考えている場合は、住んでいる地域の福祉事務所に相談しましょう。

コロナで生活に困って家賃が払えない場合に利用できる公的融資

新型コロナウイルスの影響で生活に困って家賃が払えない場合に利用できる公的融資も紹介するので、活用できる制度がある場合は有効活用しましょう。

住居確保給付金の特例による再支給を受ける

新型コロナウイルスが原因で住宅を失う恐れがある場合には、特例によって再支給が受けられるケースがあります。

申請期限が令和4年6月30日までなので、困っている人は早めに申請しましょう。

総合支援資金の特例を利用して借りる

新型コロナウイルスの影響を受けて失業したり仕事が減ったりして長期的な支援が必要な場合には、総合支援資金の特例によって生活の立て直しまでの生活費が借りられます。

通常の場合、借入をした後返済を待ってもらえる据置期間は6ヶ月ですが、特例では据置期間が1年以内で生活を立て直すまで返済を待ってもらえるのが特徴です。さらに、保証人がいなくても無利子で借入できます。

申請期間は令和4年8月末までです。

緊急小口資金の特例を利用して借りる

新型コロナウイルスの影響で休業した場合や仕事が減って、緊急かつ一時的に資金が必要な場合には、生計を維持するための生活費が借りられます。

通常の場合、借りられる金額は10万円までですが、特例により20万円までの借入が可能です。本来の据置期間は2ヶ月ですが、特例の場合は1年間返済を据え置けます。返済期間も1年間から2年間に延長されていて、返済しやすいルールになっています。

申請期間は総合支援資金と同様に令和4年8月末までです。

家賃を滞納しないために事前にしておきたい対策を紹介

家賃を滞納してから慌てないように、家賃を滞納しないために事前にしておきたい対策を紹介します。できそうなものを試して、家賃の滞納を避けましょう。

念のために貯金しておく

収入の減少や思わぬ出費などがあると、本来支払えるはずだった家賃が支払えなくなる場合もあります。順調に家賃が支払える状態でも、何かあった時に貯金がないと対応できません。

貯金がない場合は、毎月少しずつでも決まった金額を貯金して、いざという時に家賃が支払えるようにしておきましょう。

収入に合った家に住む

家賃を滞納しないためには、収入に合った家に住むのがおすすめです。先程も紹介したように、家賃を手取りの収入の20%~25%程度に抑えると支払いが滞りにくいと言われています。

一度物件を決めてから引っ越すと引っ越し費用がかかるので、できれば入居前に確認しておきたいところです。入居してから家賃が高すぎると感じた場合には、引っ越し費用と引っ越しによって軽減できる家賃を比較して、どちらがよいか検討しましょう。

引っ越しが難しいなら固定費を見直す

家賃が高いと思っても引っ越しが難しい場合は、固定費の見直しが効果的な場合があります。固定費とは毎月必ず必要になる費用です。代表的な固定費を見てみましょう。

  • 家賃
  • 通信費
  • 水道光熱費
  • 生命保険
  • 自動車の維持費
  • サブスクリプションサービスや習い事

家賃も固定費に含まれますが、家賃が下げられないと仮定した場合には以下のような対策が効果的です。

  • 格安スマホや格安SIMを利用する
  • 通信サービスの価格を見直す
  • 生命保険を見直す
  • 普通車に乗っているなら買い替えのタイミングで軽自動車にする
  • あまり使っていないサブスクリプションサービスを解約する
  • 習い事を必要最小限にする

固定費の見直しが効果的なのは、まとまった金額が節約できる可能性があるからです。

食費やレジャーなどの変動費は、そこまで大きく削れない場合も多く見られます。ただし、レジャーや趣味に高額の費用を掛けているなら、見直すことで家賃が捻出できる場合もあるでしょう。

家賃を滞納する前にカードローンを契約しておく

家賃を滞納してからカードローンを契約して乗り切る方法もありますが、正当な理由がない限りは、一度でも滞納すると大家さんや管理会社からよい印象を持たれないのも確かです。

スムーズに物件に住み続けるためにも、家賃が遅れないように配慮する必要があります。家賃を滞納しそうな時には、滞納する前にカードローンを契約して支払いの準備をしておくと安心です。

カードローンは年会費もかからず、持っておくだけなら利息も発生しません。家賃の支払いが難しいと感じた時点で契約しておくと、いざという時に備えられます。

可能であれば実家に戻る

家賃を払い続けるのが難しい場合は、可能であれば実家に戻る方法も検討しましょう。仕事や学校の関係があり、戻れない場合は別の方法を考える必要がありますが、交通の便の良さなどの関係で実家の近くに住んでいる場合は、実家に戻ると家賃が浮きます。

家族の負担が大きくならないよう、家賃ほどではないにしてもある程度生活費を入れると、どちらも負担に思わずに生活できるでしょう。

家賃が払えない場合にはできる対策から始めて退去を防ごう

家賃が払えない場合には、できる対策から始めることが重要です。大家さんや管理会社に相談する、カードローンを利用してお金を用意するなど、できる対策は複数あります。

生活そのものが苦しくて、家賃以外の面でも支援を受けたい場合には、公的融資制度の利用も検討しましょう。

家賃を滞納しないためには、あらかじめ無理のない物件を選んだりカードローンを契約して置いたりといった対策が可能です。家賃を滞納すると最終的には強制退去になるため、退去せずに済むよう対策を行いましょう。