外国にルーツを持つ子どもたちを支援する学生団体 CCS代表の井上清香さんにインタビュー
 外国にルーツを持つ子どもたちのサポートを行っているCCS 世界の子どもと手をつなぐ学生の会。首都圏の大学生による学生NGOとして1993年から活動を続けています。近年、外国人の子どもたちの不就学や学習の遅れが社会問題化していますが、子どもたちにより近い目線を持った学生はこの問題をどうとらえて活動しているのでしょうか。代表の井上清香さんにお話をうかがいました。
 Q 外国人の子どもたちをサポートする学生主体のNGOを立ち上げたきっかけを教えてください。
 A
CCS(※)を1993年に立ち上げたのは豊島直人さんという方です。2年前に亡くなられたのですが、「外国籍市民の人権を考える会」の事務局長を務めるなど、長く人権活動をされていた方でした。CCSの前身は、家にこもりがちなお母さんたちを対象にした日本語教室でした。ところが活動を始めてみると、学校に行っているはずの子どもたちが母親と一緒に教室に来ている。子どもたちは勉強だけでなく、友人関係など学校生活で様々な悩みを抱えている様子でしたので、豊島さんは学習と心理面の両方から子どもたちをサポートするには彼らと歳の近い学生の方が良いのでは、と考えたそうです。

※CCS はClub of Children and Students working together for multicultural society の略。
 Q 会員や教室に来る子どもたちはどのくらいいるのですか?
 A
会員は約100人で、首都圏の40ほどの大学から集まってきています。教室に来ている子どもたちは150人くらいですね。原則として小中学生を対象にしていますが、受験を控えた中学生が一番多いです。ルーツ(文化的背景)は中国、フィリピンで6割近くを占めます。アジアと中南米がほとんどです。子どもたちは外国籍ばかりでなく、日本人との国際結婚で生まれた子どもや帰化した子どもなども含まれています。教室は当初、八王子のみでしたが、2001年に目黒に事務所ができ、2003年までに新宿、武蔵境、練馬、日暮里など7教室に増えました。ここのところ子どもたちからの依頼が急増していて、学生会員が足りない状況です。


各教室で。子どもたちは学生と基本的に1対1になり、サポートを受ける
 Q 井上さんが入会された動機は何ですか? また、活動を始めて気づいたことはありますか?
 A
子どもが好きなので子どもにかかわり、他大学や社会と広くかかわれるような活動がしたいと思っていたときにCCSと出会いました。見学に行ってみたら自分と同じ大学生とは思えないほど、みんな真摯(し)に子どもたちと向き合い、熱心に話し合い、頑張っている姿勢に心を動かされ、この人たちと一緒に活動したいなと思ったことが入会の決め手になりました。また、実際に子どもたちと接して気づいたことは、一人ひとりが抱えている問題は全然違うということです。それまで持っていたステレオタイプ的な見方ではひとくくりにできないということを一番強く感じました。一人ひとりと時間をかけて信頼関係を築いていくことが大切だと思います。
 Q 子どもたちの保護者に向けた活動もされていますね。
 A
「日本語を母語としない親子のための進学ガイダンス」をNPO団体や高校教員との共催で春と秋に開いています。進学が子どもたちの“厚い壁”となっていることは、この活動を通して初めて知りました。私たちは進学を当たり前のことのように考えていますが、外国人の子どもたちの進学率は50%を下回っています。進学がすべてではないのでしょうが、学校の選択肢がこれほどないのかということを知ってすごく驚きました。日本語能力が十分でないために、本来の能力よりもレベルを落とした学校を選ぶことになるケースも多いです。私たちに何が出来るのだろうと考えさせられます。進学先についての情報提供や事前の学校見学などをサポートしていますが、実際は定時制高校に行く子も多いですし、せっかく入学してもなじめずにやめてしまう子もいたりして、なかなか難しいですね。
 Q 4年間の活動を通してどんなことを感じていますか?
 A
ボランティアと言うと、こちらが相手に何かを与えているように思いがちですが、そんなことはないと思うようになりました。子どもたちからももちろんそうですが、一緒に活動している仲間や、活動を通して出会うすべての人から学ぶことが本当に多い。自分を成長させてくれる場だと感じています。CCSは子どもたちの“居場所”になることを目指していますが、実は学生たちにとっても大切な“居場所”。互いに成長し合っていると感じています。

井上清香(いのうえさやか)

1985年大阪府生まれ。父親の転勤で3歳から東京へ。中高時代はソフトボール部に所属。日本女子大学入学後、CCSに入会。事務局次長を経て、今年6月から代表に。現在4年生。専攻は社会学でNPOをテーマにした卒論を執筆中。


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