2018年11月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りEnjoy Tokyo らいふ バックナンバー

世界に広がる「ORIGAMI」

大学の友人、慶子さんの家へやって来たグレンさん。部屋の片隅に飾られた千羽鶴に目を留めます。

この千羽鶴、とてもカラフルで綺麗だね。誰が作ったの?
グレン
高校生のときに足を骨折して入院したことがあってね。これはそのとき、バスケットボール部のみんなが贈ってくれたものよ。早く良くなるように、ってね。
慶子
僕も千羽鶴を作ったことがあるよ。小学校で「サダコと千羽鶴」の物語を習った後、クラスのみんなで鶴を折って広島へ届けたんだ。アメリカの子どもは折り紙に慣れていないから、なかなかうまく折れなくて大変だったよ。
グレン
折り鶴は、日本の折り紙の中で一番良く知られているものよね。ほかにも何か折ったことある?
慶子
中学で日本語の授業をとったとき、日本人のアシスタント講師がいろいろ教えてくれたな。自分たちで作った紙飛行機や手裏剣で大騒ぎしたのを覚えているよ。
グレン
私は保育士をしていた母が折り紙に詳しくて、よく目の前で披露してくれたの。きれいな花やかわいらしい動物が一枚の紙から折り出されるのを、いつも目を丸くし見ていたわ。
慶子
今では「ORIGAMI」として世界のあちこちで楽しまれている折り紙だけど、日本ではいつ頃始まったの?
グレン
折り紙はもともと、神さまへのお供え物など、大切なものを包むために紙を折るというところから始まったらしいわ。遊びとしての折り紙が多くの人に親しまれるようになったのは江戸時代。さらに明治時代になると、学校教育の一環として幼稚園や小学校で取り入れられ、ますます盛んになっていったそうよ。
慶子

二人はお茶を飲みながら話を続けます。

今や折り紙は遊びや教育といった枠を超えて、いろいろな分野で応用されているよね。
グレン
そうね。指先を使って紙を折ると脳が刺激されて活性化することから、医療や介護の現場ではリハビリに活用されているわ。それに、1枚の紙を小さく折りたたむ折り紙の発想と技法は、さまざまな産業技術に取り入れられているのよね。
慶子
「ミウラ折り」は、僕も知っているよ。一気に広げたり、たたんだりできるミウラ折りの地図。とても使いやすい上に丈夫なんだよね。そういえば、人工衛星の太陽電池パネルにもミウラ折りが使われているそうだね。
グレン
折り紙の技術を宇宙開発に生かそうという研究は、今も活発に進められているそうよ。
慶子
コンパクトに折りたたんで運び、宇宙空間で展開できる。大きなメリットだよね。
グレン
ほかにも、二次元から三次元の立体を生み出す折り紙の特徴を利用して、人口血管やロボットを作る技術も開発されているとか。さらには、細胞そのものを折りたたんで再生医療に活用する、なんていう研究もあるそうよ。
慶子
そこまで行くともう僕の想像を超えてしまうけれど、さまざまな最先端技術に日本の伝統文化が応用されようとしているって、なんだかワクワクするね!
グレン
本当に! 折り紙には無限の可能性があるみたい。折り紙からどんな新しい技術が生まれてくるのか、とても楽しみだわ!
慶子

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