2018年6月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りEnjoy Tokyo らいふ バックナンバー

電気を消して、夜を過ごそう

チェヨンさん、アインさん、はるかさんの3人は、同じシェアハウスで暮らす友人同士。ある夜、家へと帰る道すがら、空を見上げているアインさんにチェヨンさんが声をかけます。

どうしたの? さっきから、ずっと空を見ているけれど。
チェヨン
東京の夜空は、いつ見ても数えるほどしか星が見えないな、と思って。ベトナムでも都市部では星が見えなくなってきているけれど、私は田舎の出身だから。ときどき満天の星空が恋しくなるの。
アイン
ソウルの夜空も東京と同じよ。都会はどこも街の灯りが明るすぎるのよね。
チェヨン
今の話で思い出したわ。夏至の夜、みんなでいっせいに電気を消すことを呼びかけるキャンペーンがあるのよ。知っている?
はるか
聞いたことがあるわ。確か「キャンドルナイト」っていうんでしょう?
チェヨン
その通りよ。キャンドルナイトが行われるのは、夏至と冬至の夜。午後8時から10時まで、電気を消してキャンドルの灯りだけで夜を過ごすの。
はるか
素敵なキャンペーンだけれど、毎年行われている定番のイベントなの?
アイン
そうよ。キャンドルナイトのヒントになったのは、2001年、アメリカの原発政策に反対してカナダで行われた「自主停電運動」だそうよ。日本では「100万人のキャンドルナイト」と銘打って、2003年から大規模な呼びかけが行われるようになったの。
はるか
キャンドルナイトの目的は、エネルギー問題や環境問題についての意識を高めることなのね。
チェヨン
当たり前になっているライフスタイルを見直してみること。小さくても何か行動してみること。キャンドルナイトはそんなきっかけになると思うわ。でもね、大切なのは、暗闇の中でキャンドルを灯してゆっくりと時間を過ごすことなの。そのときどんなことに思いを馳せるかは、その人の自由なのよ。
はるか
忙しい毎日、少し立ち止まって考える時間を持つことに意味があるのね。
アイン
夏至や冬至の前後には、日本各地でいろいろなキャンドルナイトのイベントが開かれるのよ。東京で有名なのは、6月に増上寺で行われるイベントね。午後8時に向けて来場者全員でカウントダウン、お寺に隣接する東京タワーの明かりが消灯する瞬間を見届けるのよ。
はるか
それは楽しそうね! ぜひ、行ってみましょうよ。
チェヨン

いよいよ夏至の夜がやって来ました。3人はキャンドルを用意して、夜の8時を待ちます。

この間の増上寺のキャンドルナイト、幻想的で素晴らしかったわね。
アイン
本当に! でも、キャンドルナイトのいいところは、イベント会場に行かなくても、気軽に参加できるところよね。家族や友だちと集まったり、ひとりでゆっくりと過ごしたり。誰でも自由に楽しめるところが素敵だと思うな。
チェヨン
さあ、もうすぐ8時になるわよ。電気を消す前に、キャンドルを灯しましょう。
はるか
よし、準備はオーケー。電気を消すわよ。
チェヨン
わあ、きれいね。今この瞬間に、私たちと同じように暗闇の中でキャンドルの灯りを見詰めている人が日本中にたくさんいるのだと思うと、なんだか温かい気持ちになるわ。
アイン
いつもと同じ部屋にいるのに、いつもと違う場所にいるみたい。それでいて、とても心が落ち着くわ。世界中の人がこうして平和な夜を過ごせるようになればいいのに。ちょっと大げさかな?
チェヨン
そんなことないわよ。私は、こうして二人と特別な夜を過ごすことができて、とても嬉しいわ。また、次のキャンドルナイトも一緒に楽しみましょうね。
はるか

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