2017年12月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りEnjoy Tokyo らいふ バックナンバー

冬至の風習を知っていますか?

ホストマザーの佐和子さんとスーパーマーケットへ買い出しにやって来たフレデリカさん。青果売り場である光景を見て驚きます。

かぼちゃが山積みになって売られているわ!  いつもはこんなにたくさん置いていないのに。
フレデリカ
もうすぐ冬至だからよ。日本では冬至にかぼちゃを食べる風習があるの。
佐和子
冬至にかぼちゃを? 何か理由があるのですか?
フレデリカ
今のように食料を1年中豊富に得ることが難しかった頃、夏に収穫してから長く保存のできるかぼちゃは冬の大切な食料だったの。昔の人は厳しい冬を無事に越したいという願いを込めて、貴重な栄養源であるかぼちゃを冬至の日に食べたらしいわ。
佐和子
とても合理的ですね。かぼちゃはカロテンやビタミン類を豊富に含む栄養価の高い野菜ですから。
フレデリカ
そうね。だから今でも「冬至に食べると病気知らず」として、冬至の日にかぼちゃを食べる習慣が続いているのよ。それからもうひとつ、冬至の日に、名前に「ん」のつくものを食べると「運(うん)」が呼び込めると昔の人は考えたらしいわ。
佐和子
でも、かぼちゃは名前に「ん」のつく食べ物ではないですよね?
フレデリカ
それがね、実はかぼちゃは昔、「南瓜(なんきん)」と呼ばれていたの。「なんきん」には「ん」がふたつも入っているでしょう? それで縁起を担いで、冬至にかぼちゃを食べるようになったそうよ。
佐和子
なるほど、そういうことですか!
フレデリカ
冬至は1年で一番昼が短く、夜が最も長い日。冬至を過ぎると日照時間が長くなっていくことから、これまで悪かったことが良い方向に向かい、運が上向いていく始まりになると考えられたのでしょうね。
佐和子
私の母国フィンランドも含む北ヨーロッパの国々では、かつて太陽の復活を祝う冬至のお祭が行われていました。冬の日照時間が極端に短い土地に住む人間にとっては、冬至を境に日が延びていくというのは特別なことなんです。冬至祭は後にキリスト教と融合して「クリスマス」へと生まれ変わりますが、北ヨーロッパでは今もクリスマスを冬至祭と呼ぶところもあるんですよ。
フレデリカ
それは知らなかったわ! 冬至が特別な日なのは、日本だけじゃないのね。
佐和子

フレデリカさんは、かぼちゃの隣にオレンジによく似た果物が積まれているのに気づきます。

今日はこの黄色い果物もたくさん売られていますね。これも冬至に関係があるのですか?
フレデリカ
フレデリカさん、するどいわね! これは「ゆず」というのよ。日本の冬至では、これをお風呂に浮かべて入る「ゆず湯」という風習があるの。
佐和子
冬至にゆず湯に入るのにも、何か理由があるのですか?
フレデリカ
いろいろな説があるけれど、まずは運を呼び込む前に身を清めるという意味があるみたい。それに冬が旬のゆずは香りが強く、邪気を払うと信じられていたのよ。
佐和子
実際には、ゆず湯に入ることでどんな効果が期待できるんでしょうか?
フレデリカ
血行を促して冷えを緩和させる、疲労を回復させるなどの効果があると言われているわ。ゆずの香りでリラックスすることもできるし、「ゆず湯に入れば風邪を引かない」と言われているのは一理あるんじゃないかしら。
佐和子
ゆず湯は入浴剤のようなものなんですね。私もゆず湯に入ってみたいなぁ!
フレデリカ
じゃあ、かぼちゃとゆずを買って帰りましょうか。せっかくだから、フレデリカさんに日本の冬至の風習を楽しんでもらわなきゃ!
佐和子

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