

都内のとある日本語教室。ボランティアの大学生、由香里さんとおしゃべりをしていた受講生のチェヨンさんとクレアさんが、由香里さんのバッグに入っていた英語の本に目を留めます。

チェヨン
あら、由香里さん。英語の本を読んでいるのね。
由香里
これは、近所の図書館で借りたんです。こっちが絵本で、こっちは児童書。子ども向けの英語の本は、大人の英語学習者にもおすすめだと聞いたので、いろいろ借りて読んでいるんです。そういえば、クレアさんは英語の先生ですよね。
クレア
ええ、私もアメリカから持ってきた英語の絵本を授業で使うことがあるわ。でも、近所の図書館で借りることができるなんて知らなかった。
由香里
英語の絵本が置かれたコーナーが作られている図書館は、結構ありますよ。私はできるだけたくさん読みたいので、無料で借りることができる図書館をとことん活用しているんです。
チェヨン
私もときどき、図書館で外国語の絵本を借りることがあるわ。うちの子ども、日本に来て1年ですっかり日本語が上手になったの。日本人のお友だちと遊ぶのには、もうほとんど不自由ないくらい。
由香里
それは良かったですね!
チェヨン
ええ、ほっとしたわ。でも、自分の母語も忘れてほしくないから、近所の図書館で韓国語の絵本を借りて読んであげているの。
クレア
地域の図書館って、英語以外の絵本も置いているのね。
由香里
どの言語の絵本があるか、どの程度の冊数があるかは、図書館によって違います。クレアさんは、地域の公立図書館に行ってみたことはありますか?
クレア
ううん、まだなの。日本に来てから1カ月、生活に慣れるのに精一杯だったから。でも、そろそろ落ち着いてきたし、一度のぞきに行ってみようかしら。
由香里
ぜひ、行ってみてください!図書館によっては、子ども向けの絵本だけでなく、大人向けの外国語の雑誌や本が置いてあるところもありますよ。

3人は図書館について話し続けます。
由香里
最近、「多文化サービス」に取り組む図書館の数が増えてきているみたいです。
クレア
それは、日本に住む外国人が増えてきているからかしら?
由香里
ええ。地域で暮らす外国人が母語や母国の文化に触れる機会を得られるよう外国語の本を揃えたり、日本語を学ぶための図書や日本の文化を理解するための本、日本で生活するのに役立つ情報を掲載した資料などを置いている図書館もあるようです。
チェヨン
うちの近くの図書館では、外国語のおはなし会が開かれているわ。
クレア
それは楽しそうね!
チェヨン
一度、子どもを連れて参加したことがあるけれど、参加者には日本人も外国人もいて、みんなそれぞれに楽しんでいたわ。
由香里
多文化サービスは、日本語を母語としない人たちへのサービスであるとともに、日本人に外国の言葉や文化に触れる機会を提供することによって、異文化理解を進めてもらうためのものでもあるそうです。
チェヨン
図書館を異なる文化を持つ者同士が理解を深める場にしようということね。
由香里
どこの図書館でも取り組んでいるというわけでは、まだないようですけれど。
クレア
少しずつでも、「多文化サービス」に取り組む図書館が増えていくといいわね!


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