2020年1月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りクローズアップ バックナンバー

府中国際交流サロン

~ 府中に住む外国人のくらしを応援する ~

今月のクローズアップは、府中国際交流サロンのご紹介です。今から25年前、府中で生活する外国人のくらしを応援するために誕生した府中国際交流サロンは、多くの市民ボランティアに支えられながら様々な事業を展開してきました。その活動を府中市も全面的にバックアップ。主要事業である日本語学習会や、困りごとを抱えた外国人への情報提供、相互理解を深めるための文化交流などを通して、市内に住む日本人と外国人が助け合い、ともに楽しく生活していくことを目指しています。市の施設内にある府中国際交流サロンの事務所を訪ね、実行委員会の会長を務める鷹見正昭さんに、サロンの活動についてお話をうかがいました。

府中国際交流サロン
実行委員会会長 鷹見 正昭 氏

府中国際交流サロンが誕生した経緯を教えてください。

府中国際交流サロン
週5日開催される日本語学習会。
多くの学習者とボランティアで賑わいます。

鷹見さん

かつて府中には、外国人に日本語を教える活動をしている小さな団体が6つありました。この6団体が府中市の声かけでひとつにまとまることとなり、1995年に誕生したのが府中国際交流サロンです。市とサロンが委託契約を結び、日本語学習支援・生活情報支援・文化交流の3つを柱として、様々な事業を展開しています。活動の場や資金の提供のみならず、事務の係の人の雇用も市がしてくれるなど、とても恵まれた環境で活動してきた組織といえるでしょう。サロンの運営を担うのは、計28名の実行委員(役員8名、会報部会・文化交流部会・企画部会・ボランティア研修部会・生活情報支援部会の部会長・副部会長、5つの日本語学習会の代表者が2名ずつ)で、月1回開かれる実行委員会には、市からも職員2名が参加し、情報のやりとりを行っています。

活動の3本柱のひとつで、主要事業である日本語学習支援について教えてください。

鷹見さん

月曜日の午前・午後、水曜日の午後、金曜日の午後と夜間の週5回、日本語学習会を開催しています。対象は府中市在住・在勤・在学の外国人で、参加費は無料です。原則、学習者ひとりにボランティアひとりがつくので、それぞれのレベルに合わせて教えることができます。月曜と金曜の午後には託児サービスがあり、小さなお子さんがいるお母さんも学びやすいと好評です。2019年3月末時点で、登録している学習者の数は283名、その国籍は45カ国におよびます。また、ボランティアの登録数も140名にのぼります。学習者、ボランティアとも、都合のいい曜日・時間帯の学習会に事前登録してもらいますが、学習者とボランティアのマッチングは当日の出席受付後に担当者が行います。学習者一人ひとりに、どんな教材を使い何を学んだかを記録する“学習ノート”が用意されているため、どのボランティアでも対応することが可能なのです。

府中国際交流サロン
事務所に保管されている学習ノート。
学習内容が記録されたカルテです。

サロンでは、子どもを対象とした日本語学習支援活動も行われているそうですね。

鷹見さん

毎週金曜日の夕方に実施している児童学習支援ですね。2005年にスタートしたこちらの支援活動を担当しているのは、サロンの日本語学習会のボランティアではなく、東京外国語大学の学生ボランティアです。府中市在住で市内の学校に通う外国人の小中学生を対象とし、日本語の学習と学校の勉強の手伝いをします。ゲームや遊びも交えながら、楽しく日本語を学べるようやってもらっています。こちらも参加費は無料です。

活動の3本柱の2つめ、生活情報支援はどのように行われているのですか。

鷹見さん

病気になったときどこの病院に行けばいいのか、子どもが幼稚園や学校に入るときどんな手続きをすればいいのかなど、外国人の皆さんには、日々のくらしの中で不安に思うこと、わからないことがたくさんあります。そうした困りごとを日本語学習会のボランティアに話してもらえれば、そのボランティアが「生活情報支援部会」へとつなぎ、部会のメンバーが相談に対応します。場合によっては相談に乗るだけでなく、病院に同行することなどもありますよ。

活動の柱の3つめ、文化交流についてもお聞かせください。

府中国際交流サロン
料理教室も開催。
学習者にお国の料理を紹介してもらうことも。
府中国際交流サロン

鷹見さん

毎週金曜日の午前中に、生け花、絵手紙、ハワイアンダンスを習ったり、お茶を飲みながらおしゃべりするなど、様々な交流活動を行っています。こちらの活動を担っているのは、「文化交流部会」です。日本語を学ぶ学習者の皆さんには日本の文化に親しんでもらう機会を、日本人のボランティアには交流を通して学習者の国の文化を知ってもらう機会を提供し、相互理解を深めてもらうことを目指しています。市民桜まつり、よさこい in 府中の民踊流しといった市内の催しに参加する機会も提供しています。

規模の大きな行事も実施されているようですね。

鷹見さん

大きな行事の企画は「企画部会」が行っています。5月に実施する「バス研修会」では、府中市が提供してくれるバスで総勢40-50名の学習者とボランティアが日帰り交流バスツアーに出かけます。2019年は檜原村にある檜原都民の森へ行って木工を体験しました。10月に開催される「国際ふれあい会『わたしのふるさとを語る』」は、学習者にふるさとの思い出や日本での生活で感じたことなどを語ってもらう催しです。また、10月に多摩川の河川敷で開催する「バーベキューの集い」も人気の行事ですが、今年は台風で中止となってしまいました。毎年12月頃に行われる「府中国際交流サロンの集い」には、一般の市民や来賓の方々も来場します。200名以上の参加者がテーブルに並んだ手づくりのお国料理とアトラクションを楽しみながら交流する、サロン最大の行事です。

府中国際交流サロン
「府中国際交流サロンの集い」にて。
文化交流部によるフラダンス。
府中国際交流サロン

その他の部会の活動についても教えていただけますか。

府中国際交流サロン
年間を通して様々なイベントや行事を開催。
こちらは「国際ふれあい会」の一場面です。
府中国際交流サロン

鷹見さん

「会報部会」が、月1回発行する会報誌「くろすろーど」の編集・発行と、ホームページの運営・管理を行っています。また、「ボランティア研修部会」では、ボランティアのスキルアップのための勉強会を月1ペースで実施するほか、日本語教授法の研修会や、専門家や大学の先生による講演会も開催しています。ちなみに、ご紹介した5つの部会のいずれかに、ボランティアが必ず所属しなければならないわけではありません。ボランティア活動に費やせる時間は人によってまちまちですから、日本語を教えることに専念したいという方にはそうしていただいています。もちろん、新しくボランティアになった方がどこかの部会に所属したいと希望されたら、それは大歓迎です。

現在、活動の課題となっていることはありますか。

鷹見さん

サロンの日本語学習会には様々な在住外国人がやって来ますが、近年特に目立つのが就労者です。つまり、日中は仕事があるので夜にサロンで日本語を学びたいという人が増えているのですが、現在、夜の学習会は週に1回のみ。夜はボランティアの確保が難しく、受入れ人数や回数を増やしたくても増やせないのが悩ましいところです。活動休止状態になっているボランティアに声がけするなどして、夜の学習会のボランティアを一人でも増やしていきたいですね。

府中国際交流サロン
12年以上サロンに関わっている鷹見さん。
週1回は学習会のボランティアを務めます。

今後の活動予定を教えてください。

府中国際交流サロン
スピーチに挑戦する学習者。
ボランティアも準備を手伝います。
府中国際交流サロン

鷹見さん

毎年府中市が、東京外国語大学言語文化学部のコミュニティ通訳研究ゼミの学生と外国人のくらしに役立つ情報を提供する冊子を制作しており、サロンのボランティアもこれに協力しています。これまで「外国人のためのやさしい防災ノート」「日本語が母語でない子どもたち・保護者のための高校進学・進路ガイドブック」「外国人のための公共施設ガイドブック」などを発行してきましたが、今年は10月の台風の被害をふまえ、防災ノートの第二弾を作成する予定です。また、年度末には、学習者の有志がステージで日本語によるスピーチを行い、日頃の学習の成果を発表する恒例の日本語学習発表会を開催します。そして、府中国際交流サロンは今回ご紹介したような活動を通して、これからも府中在住の外国人の皆さんのくらしを応援し続けていきたいと考えています。

東京都国際交流委員会

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