2019年5月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りクローズアップ バックナンバー

江戸川アリスの会

~日本語学校で学ぶ留学生に、もっと日本に触れる機会を~

今月のクローズアップは、江戸川アリスの会をご紹介します。江戸川アリスの会は、およそ3万3500人、東京23区で第2位にのぼる外国人が暮らす江戸川区で活動するボランティア団体です。江戸川区の生涯学習の場である江戸川総合人生大学国際コミュニティ学科の有志によって2005年に設立されて以来、区内の日本語学校に通う留学生を対象として、さまざまな交流・支援活動を行っています。団体名称の“アリス”に込められているのは、“「あ」らゆる「り」ゅうがくせいの「す」けっと”になろうという思いだそうです。江戸川総合人生大学の活動室で、代表の長坂龍郎さん、副代表の日原幸世さん、広報の品田正子さんにお話をうかがいました。

代表 長坂さん(中央)、副代表 日原さん(右)、
広報 品田さん(左)

江戸川アリスの会設立の経緯を教えてください。

品田さん

江戸川アリスの会は、江戸川総合人生大学国際コミュニティ学科の1期生たちが結成したボランティア団体で、私も結成時のメンバーの一人です。江戸川総合人生大学は、これまでの知識や経験を活かして社会貢献を志す人たちを応援するために江戸川区が設立した学びの場で、2年次を迎えると何らかの社会活動体験を実践していくカリキュラムになっています。2005年に国際コミュニティ学科の1期生だった私たちも、“国際”につながる社会貢献ができる場を色々と探し求めました。そして、このときヒントとなったのが、後に江戸川アリスの会の初代代表となるメンバーが自宅に新聞配達に来る留学生から聞いた、「日本人との交流がない」という言葉でした。この言葉にニーズを見出した私たちは活動の対象を留学生に絞り、江戸川区内の日本語学校に手紙を送りました。そして、日本語学校で学ぶ留学生との交流活動が始まり、この活動に参加する有志たちが江戸川アリスの会を結成したのです。現代表の長坂さんは江戸川総合人生大学の2期生、そして副代表の日原さんは4期生になります。

江戸川アリスの会

はじめてお茶に挑戦する留学生
きちんと正座をして、お作法を習います。
© EDOGAWA ARIS

江戸川アリスの会

お筝の指導を受ける留学生
触れるだけでなく、実際に音を出してみます。
© EDOGAWA ARIS

おもな活動内容を教えてください。

長坂さん

江戸川区葛西にある東方国際学院で日本語を学ぶ留学生たちに対して、交流・支援活動を実施しています。「日本文化紹介」「日本語交流会」「クリスマスパーティ」のほか、「地域交流」の一環として外国人・障がい者向けの災害訓練への引率や、地元で開催される映画祭で一緒に映画鑑賞をするなどの活動を行っています。中でも留学生のみなさんに好評なのが、行船公園内にある源心庵で開催する「日本文化紹介」。純日本建築や和風庭園を楽しみながら、お茶・お筝・南京玉すだれを体験してもらっています。この「日本文化紹介」は卒業する留学生のための催し物としても東方国際学院の学校行事に組み込まれており、2018年度には186名の卒業生を招待するため、1月から2月だけで計6回開催しました。また学院の卒業式にも江戸川アリスの会から毎年5名ほどが列席し、代表の私が祝辞を述べさせてもらっています。こうした機会が得られるのは、学院が長年にわたる私たちの活動をいかに高く評価し信頼してくれているかの証だと思います。

江戸川アリスの会

江戸川消防署で行われた災害訓練にて。
消火器の使い方を学んでいます。
© EDOGAWA ARIS

江戸川アリスの会

日本文化を実際に体験
南京玉すだれに挑戦しています。
© EDOGAWA ARIS

イベントに参加した留学生のみなさんの様子はいかがですか。

長坂さん

年初めの「日本語交流会」では、東方国際学院の授業の中で日本の正月の遊びを紹介・実演させてもらっているのですが、いまや日本人もなかなかすることがなくなった福笑い、すごろく、坊主めくりといった遊びで大いに盛り上がります。学院の先生方も「彼らの顔がこんなに明るく華やぐのを見たことがない」と驚かれるほどです。また、12月のクリスマスパーティではビンゴゲームが恒例となっているのですが、このときの盛り上がりもものすごいです。

日原さん

どのイベントでも、参加した留学生たちはみな、「とても楽しかった。」と言ってくれます。それがお世辞でないことは彼らの様子からわかりますし、ふだんの授業では見せないような笑顔を見せてくれることが嬉しいですね。

江戸川アリスの会

はじけるような笑顔の留学生たち
© EDOGAWA ARIS

江戸川アリスの会

イベントを思い切り楽しんでいます。
© EDOGAWA ARIS

長く留学生との交流を続けてきて、どのような感想をお持ちですか。

長坂さん

留学生たちの日本語能力が年々高くなっていると感じます。かつては語学の習得よりもアルバイトに力を入れているような学生も見受けられましたが、今では一定レベルの日本語能力がなければそもそも学院に入学できませんし、どの学生も向上心に富んでいて感心させられます。彼らと話をしていると、がむしゃらに頑張っていた自分の青春時代を思い出すことも多く、バックアップしてあげたいという気持ちがどんどん増していきます。江戸川アリスの会のメンバーは留学生たちの“日本のお父さん、お母さん”になりたいと思っていますが、メンバーの多くが高齢になってきているので、実際は“日本のおじいさん、おばあさん”というところでしょうか(笑)。

長くボランティア活動を続ける秘訣はありますか。

長坂さん

江戸川アリスの会のモットーは「できる時間に、できることを、楽しく、誠意をもって」です。過度に義務感を持ってやるのではなく、その人なりのペースで楽しく参加することがボランティア活動を継続していく一番の力になります。活動に参加するのが年に1~2回というメンバーがいても、それがその人のベストなペースならばそれでいいのです。私の場合は、年が離れているにも関わらず真摯な態度で接してくれる若い留学生と話すのがとても楽しいので、それが活動を続けていく力になっています。

日原さん

現在江戸川アリスの会のメンバーは16名。この人数ですべての活動スケジュールをこなしていくのは難しいので、人手が足りないときはほかの団体から手伝いに来てもらいますし、こちらからほかの団体のイベントのお手伝いに行くこともあります。コラボレーションといいますか、団体同士が互いに力を貸し合うことで、無理なく活動を続けられていると思います。

活動における課題がありましたらお聞かせください。

長坂さん

メンバーの平均年齢が70歳を超えている状況で新しいメンバーがなかなか増えないことが悩みの種です。既存メンバーの仲がとても良いことが、新たに参加したいと思う人にとってはバリアになっているのではないかと心配になることもあります。交流先の東方国際学院とは強い信頼関係、友好関係が築かれているので、ぜひ我々の後を継ぎ、学院で学ぶ留学生たちとの交流活動を続けていくメンバーが出てきて欲しいと願っています。

品田さん

江戸川アリスの会では、江戸川総合人生大学の在校生に対して活動への参加を呼びかけるのはもちろんのこと、江戸川区のボランティアフェスティバルでもブースを出して、私たちの活動の紹介をしています。現在のメンバーには、江戸川総合人生大学の出身者だけでなく、働いている人たちもいますので、ご興味をお持ちになった方にはぜひ気軽にお問い合わせいただきたいです。

東京都国際交流委員会

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