2018年10月号


毎月1回ウェブ版ニュースレター「れすぱす」を配信しています。L'ESPACE(れすぱす)は、場所・空間・宇宙・間隔と、多岐にわたる意味をそなえたフランス語です。

ルビ入りクローズアップ バックナンバー

一般社団法人国際文化交流協会(ICEA)

~世界中の人たちと、文化やスポーツを通した交流を~

今月のクローズアップは、一般社団法人国際文化交流協会(ICEA)をご紹介します。ICEA設立の発起人である本間裕人さんは、JICAの青年海外協力隊の元隊員。派遣先の西アフリカ・ブルキナファソから帰国後、ブルキナファソの柔道家を日本に招待するプロジェクトに携わることになったのをきっかけに、日本と海外の文化交流やスポーツ交流を推進する団体として、ICEAを立ち上げたそうです。今回は、ICEAの活動を支えるサンクレイオ翼株式会社のアカウントプランナー・藤田直子さんにもご同席いただき、「ブルキナ柔道プロジェクト」や、アフリカからの留学生を受け入れる「企業インターンシップ」についてうかがいました。

ICEAの本間裕人氏と
サンクレイオ翼の藤田直子氏

ICEA設立の経緯を教えてください。

本間さん

ICEA設立のきっかけとなったのは、青年海外協力隊員として赴任していたブルキナファソで出会った日本の柔道家に、「柔道に打ち込むブルキナファソの人たちを柔道の聖地である講道館に招きたい」という相談を受けたことです。かつて西アフリカ圏を植民地にしていたフランス、ベルギーで柔道が盛んなため、西アフリカの国々でも柔道の人気は高く、ブルキナファソでも多くの人たちが柔道に励んでいます。また、柔道では、「礼」「始め」「引き分け」「一本」など日本語の単語をそのまま使うため、ブルキナファソの柔道家たちは、日本語や日本への関心も少なからず持ってくれています。そんな彼らを日本に招き、日本人にブルキナファソを知ってもらう機会にもしたい。「ブルキナ柔道プロジェクト」はこうした思いから始まり、このプロジェクトを進めていくために団体を設立することにしたのです。本業の映像の仕事で縁があったサンクレイオ翼株式会社の社長とスタッフのみなさんのご理解をいただき、会社の中に社団法人を設立したのが2015年。現在は、会社のスタッフ全員がICEAのスタッフであるという位置づけで活動しています。

ブルキナファソから来日した柔道家たち。
©International Cultural Exchange Associations

ホームステイで日本の家庭を体験します。
©International Cultural Exchange Associations

その後、「ブルキナ柔道プロジェクト」はどのように進んだのでしょうか。

本間さん

一般の方たちから広く寄付を募り、2017年11月に5名の柔道家を日本へ招待することができました。遠く西アフリカのブルキナファソからやって来た子ども3名と指導者2名が、柔道の練習や試合の見学はもちろんのこと、小学校での交流やホームステイなど、さまざまな体験をしながら2週間を日本で過ごしたのです。もちろん、Wi-Fiスポットを見つけると延々とスマホをやり続けたり、ディスカウントストアに夢中になったりという現代っ子らしい一面もありましたが(笑)、講道館を訪れた際、年配の指導者が感激して涙を流す姿も見られました。また、このプロジェクトでは、彼らが日本で過ごした2週間の記録映像に加え、柔道の創始者として有名な嘉納治五郎の紹介や各国の柔道家へのインタビューなども盛り込んだドキュメンタリー映画の制作を最終目標としています。映画が完成したら、英語・フランス語のナレーションに日本語の字幕をつけ、国内外で上映したいと考えています。

アフリカからの留学生を受け入れる企業インターンシップについて教えてください。

本間さん

JICAの事業である「ABEイニシアティブ」の登録企業としてインターン生を受け入れています。ABEイニシアティブとは、2013年の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)で安倍首相が提唱した「アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(African Business Education Initiative for Youth)」で、5年間で1000人のアフリカの若者に対し、日本の大学や大学院での教育に加え、日本企業でのインターンシップの機会を提供するものです。ICEAではこれまでに、南アフリカ、エジプト、モザンビーク、ブルンジからのインターン生を受け入れており、映像制作やWEB制作などを体験してもらいました。今年もまもなく、南アフリカの留学生がインターンとしてやって来ることになっています。

撮影現場でアシスタントとして活躍する
エジプトからのインターン生。
©International Cultural Exchange Associations

モザンビークからのインターン生が
カメラマンを務めています。
©International Cultural Exchange Associations

ICEAとしては、どのような思いでインターンシップに取り組まれているのですか。

本間さん

ABEイニシアティブの主要な目的は、日本とアフリカの間でビジネスを進めていくためのコネクションづくりですが、私個人としてはビジネスにつなげるというより、交流し互いを知ることによって、留学生が自分を相対化して、何か気づきを得るきっかけになればと思っています。ICEAに来てくれたインターン生には、お祭りに参加したり、新宿で街頭インタビューするといった活動をしてもらい、その人なりの視点で映像やWEBにまとめるということをしてもらっています。なるべく楽しんでもらえるようなプログラムを提供したいと考えているので、「ためになったし、面白かった」という感想を聞くとうれしいですね。また、「大学では留学生同士で固まりがちだし、知り合える日本人は学生だけ。インターンシップで一般の社会人と出会えてよかった」と話してくれたインターン生もいます。

モザンビークからのインターン生。
日本のお祭りをリポートしています。
©International Cultural Exchange Associations

殺陣に挑戦しているのは
南アフリカからのインターン生です。
©International Cultural Exchange Associations

活動における課題についてお聞かせください。

本間さん

活動の資金をどう確保していくかというところですね。現在は、一般の方からの寄付とサンクレイオ翼からの寄付でなんとか活動をしている状態です。特にビジネス化していこうというわけではないのですが、ある程度の資金は自分たちで確保していかなければ、団体を継続し、規模を拡大していくことは難しいと考えています。

藤田さん

実はちょうど今、団体のイメージキャラクターを作成しているところです。キャラクターが出来上がったらノベルティグッズの制作に取り掛かり、そのグッズをイベントで配布したり、アプローチ先にお渡しするなどして、周知に結びつけていきたいと思っています。地道なPR活動を続け、少しずつでも賛同者と活動の輪を広げていきたいです。

ICEAイメージキャラクターの「エールくん」。
取材後に完成しました。
©International Cultural Exchange Associations

今後の活動の展開について教えてください。

本間さん

まずは「ブルキナ柔道プロジェクト」のドキュメンタリー映画を完成させ、お披露目したいと思っています。中でもアフリカの人たちに、ブルキナファソの柔道家たちが日本で過ごした日々を追体験できるような機会を提供したいです。また、柔道に限らず、スポーツをひとつのキーワードとして、世界中の人たちが交流する場を設けられたらと考えています。特になかなか行き来することのない、アフリカなどのマイナーな国の人たちと日本人が知り合う機会を作れたらうれしいですね。ICEAは、政府が推進するスポーツ国際貢献事業「スポーツ・フォー・トゥモロー」にも加盟しており、そのつながりで、スポーツ鬼ごっごのイベントに参加したり、日本の「UNDOKAI」をアジアに広める活動にアドバイスをしたりということもしてきました。これからも何かお声掛けをいただけることがあれば、積極的に関わっていきたいと思います。

アフリカのブルキナファソについて
小学校の授業で話をしています。
©International Cultural Exchange Associations

早稲田大学で開催された
グローバルセミナーで講演する本間氏。
©International Cultural Exchange Associations

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