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特定非営利活動法人 外国語ボランティア・コートーク(LVC)~語学力や特技を活かして、外国人旅行者や在住外国人との懸け橋に~

© LVC

外国語ボランティア・コートーク(LVC)
代表 山崎 正和さん(右)
通訳・翻訳委員長 ハッチンソン 好江さん(左)

今月のクローズアップは、特定非営利活動法人 外国語ボランティア・コートーク(LVC)をご紹介します。江東区を拠点として活動するLVCは、日本を訪れる外国人や日本で暮らす外国人との懸け橋になることを目指して設立された外国語ボランティアグループです。“コートーク(Co-talk)”は、「江東区」と「お互いに話す」というふたつの意味をかけ合わせた造語とのこと。通訳ガイドや留学生に向けた日本文化体験プログラム、地域住民のための英会話教室など、さまざまな活動を通じて国際交流や異文化交流を行っています。今回は、代表の山崎正和さんと通訳・翻訳委員長のハッチンソン好江さんに、LVCの活動の詳細や今後の展望についてお話を伺いました。

Q. LVC設立の経緯を教えてください。

A. 山崎さん LVCが発足したのは、2013年8月です。当時、江東区のボランティアセンターに、「外国語を活かしたボランティアをしたい」として登録していた方々によって設立されました。ところが、ボランティアセンターの要請で会を立ち上げたにも関わらず、センターからも江東区からも一向にボランティアの依頼が来ない。予想外の開店休業状態です。そこで、会員たちが手分けをして、「ボランティアは要りませんか」といろいろなところにアプローチをしていく、地道な「営業活動」を始めたんです。すると面白いことに、ぽつぽつと声がかかるようになり、江東区内の大学の留学生に日本文化を紹介する活動などが始まりました。そして、少しずつ活動を進めていくことによって人とのつながりができ、そこからまた新たなボランティアの話が生まれるといった具合に、だんだんと活動範囲が広がっていったのです。昨年4月には、江東区外にも活動の場を広げるべく、特定非営利活動法人の認証も受けました。

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留学生向けの日本文化体験プログラムはLVCの会員にも大人気。
浴衣の着付けや手工芸品づくりに挑戦します。
© LVC

Q. LVCのおもな活動内容を教えてください。

A. 山崎さん 先ほどお話した留学生向けの日本文化体験プログラムがLVCの活動の中で一番大きなもので、2015年から、有明にある武蔵野大学の夏期留学生の課外授業をお手伝いしています。LVCの会員がそれぞれの語学力や特技を活かして、世話役・ガイド役、講師、通訳、カメラマンなどとして同行、茶の湯や浴衣を着る体験をしたり、清澄庭園や深川江戸資料館を見学したりしながら、日本への理解を深めてもらっています。2015年は37名、2016年には45名の留学生がこのプログラムに参加、そして今年は70名の留学生が参加する予定です。また、深川を訪れる外国人観光客が年々増えているため、深川江戸資料館通り商店街の方々に向け、初級の英会話教室を開催しています。英語に親しむ場を提供することで、海外からのお客さまにも臆せず対応できるようになってもらえたら嬉 しいですね。

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商店街の人に向けた初級の英会話レッスン(左)のほか、
日本文化を紹介できるよう、茶の湯などを体験・勉強する機会も設けています(右)。
© LVC

Q. 通訳・翻訳の依頼にも積極的に対応されているそうですね。

A. 山崎さん LVCには、ハッチンソンさんのように海外在住歴が長かったり、同時通訳のスキルを持っている会員がいて、通訳・翻訳の活動はそうした人たちが中心になって進めています。現在の対応言語は英語と中国語です。イベントなどで通訳ボランティアを行うほか、江東区内の特別支援学校と学童保育で、外国人生徒の親御さんが先生と面談する際の通訳も引き受けています。
ハッチンソンさん 地元紙「東都よみうり新聞」の依頼で、銭湯に関する連載記事の英語への翻訳も行ってきました。東京の下町で今も元気に営業している銭湯を、さまざまなエピソードや町の歴史的変遷とともに興味深く紹介する連載で、たくさんの記事を世界に発信していくお手伝いができたことを嬉しく思っています。日本語の連載は続いているので、英訳も引き続き依頼があれば、ぜひ、続けていきたいです。

Q. その他、注目してほしい活動があったら教えてください。

© LVC

A. ハッチンソンさん 首都直下型地震などに備え、外国人にどう防災情報を伝えていくかを考えるのはとても大切なことです。LVCでは今後、有明の防災学習体験施設「そなエリア」を利用して、外国人と一緒に防災訓練を実施したいと考えており、そのためのシミュレーションを行っています。また、観光ガイドの活動により力を入れていこうと、LVC内で勉強会を立ち上げました。会員の中で「興味がある」と手を挙げた10数名が、東京シティガイド検定や通訳案内士などの資格取得を目指して頑張っています。

Q. これから力を入れていきたい活動はありますか。

A. 山崎さん 近年大きな問題となっている、外国人の子どもたちに対する教育支援です。親御さんの都合で来日した子どもたちが、急に入った母国と環境の異なる日本の小・中学校で、十分な支援を受けることができず置いてきぼりをくってしまう。この問題をどうにかしたいと考えています。現状は日本語指導が必要な児童生徒が入学すると、教育委員会から派遣された日本語指導員が最長36時間の日本語教育を行っているそうなのですが、それでは十分でないのが現実です。私たちは、隣の墨田区で外国人の子どもたちの学習支援を行っているボランティア団体へ見学に行き、江東区でも同様の活動をやっていこうと準備を始めました。新学期が始まる4月から、外国人児童生徒に対する日本語と教科学習の支援をスタートさせる予定です。今後はこの教育支援を、LVCの活動の柱のひとつにしていきたいと思っています。

Q. LVCが求めるボランティアとは、どのような人材なのでしょうか。

A. 山崎さん 外国語が得意でないと参加できないと思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。大切なのは、「外国人のお手伝いをしたい、役に立ちたい」という思いがあるかどうかです。LVCには、企画、広報、スキルアップ、マーケティング、通訳・翻訳、ITという6つの委員会があり、会員は自分のスキルを活かせる委員会に任意で所属し活動する形となっています。語学には自信がないけれど、茶道・華道のたしなみがある、経理やITが得意だ、そんな方も大歓迎です。自分のスキルを活かしてどんなことができるかを考え、興味を持った活動にどんどん参加してほしいと思っています。

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江東区民まつりでは、英語・中国語を使ったゲームを実施(左)、
区内で活動するアメリカ人主宰の団体「Jambo International」との交流会も行っています(右)。
© LVC

Q. 今後の展望をお聞かせください。

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A. 山崎さん 2020年の東京オリンピック・パラリンピックで活躍することが、LVCの目標のひとつです。江東区にもいくつか会場ができる予定なので、駅から会場までの案内や観光名所の紹介など、私たちにできることはいろいろあると思います。今はまだ、自治体に具体的な動きがないので、観光ガイドや商店街での英会話教室といった活動を発展させながら、いつでも要請に応えることができるよう準備しておくつもりです。
また、江東区に国際交流協会を設立することも、私たちが目指すところのひとつです。江東区には在住外国人が2万人以上もいるのに、残念ながら国際交流協会がありません。LVCはさまざまな切り口で活動を広げていますが、単に一つのNPO法人としてだけでやっていたら、いずれパンクしてしまうでしょう。ざまざまな活動を統括する国際交流協会の設立に向け、行政や関係団体のご理解とご協力を得ることができるよう、LVCも力を尽くしたいと思っています。


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