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くにたち地域外国人のための防災連絡会(KUNIBO) ~防災をツールとして地域で暮らす外国人との共生を進める~

©  KUNIBO

くにたち地域外国人のための防災連絡会(KUNIBO)
山崎由紀子さん、河津征二さん

今月のクローズアップでは、くにたち地域外国人のための防災連絡会(KUNIBO)をご紹介します。国立市の公民館を拠点として活動するKUNIBOは、地域で暮らす外国人住民と日本人住民が共に防災について学び、その学びを生かした共生社会を作り上げていくことを目指してさまざまな企画を実施しています。市内にある大学と連携し長期滞在予定の留学生から外国語支援ボランティアの登録を募るなど、国立市ならではの取組みも行っているそうです。今回は中心メンバーとして活動する山崎由紀子さんと河津征二さんに、KUNIBOの活動の成果や課題についてお話をうかがいました。

Q. KUNIBO設立の経緯を教えてください。

A. 山崎さん KUNIBO設立の起点となったのは1995年の阪神淡路大震災です。神戸でご両親が被災された国立市公民館の前館長から、避難所で外国人らしい人たちが困っている様子がうかがえたという話を聞いたことがきっかけとなり、国立市の国際交流ボランティア団体と、国立地域で暮らし公民館で日本語を習得した外国人たちとで、東京で大地震が発生したときのことについて意見交換をするようになったのです。
河津さん その後国立市の防災計画書の中で、公民館が外国人のための防災情報の拠点と位置づけられることになりました。国立市公民館では公民館主催の日本語講座とボランティア団体による学習サポートが行われており、日本語を勉強したい外国人が多く集まるからです。そして、それに伴い2009年に発足したのが、「くにたち地域外国人のための防災連絡会(KUNIBO)」なのです。公民館の日本語講座で学ぶ外国人住民を中心とし、国立市にキャンパスがある一橋大学の留学生たちにも加わってもらい、自然災害から命を守るための共助を進めることを目的として、積極的に地域交流に取り組んでいます。

Q. おもな活動内容を教えてください。

A. 山崎さん 2カ月に一度のペースで防災に関する企画を実施しています。ライフラインの防災対策や災害時の対処法など、年によってはテーマを決めて連続講座を行うこともあります。今年度実施した企画としては、家具転倒防止器具の取り付け方の体験学習会や、カードゲーム「ぼうさいダック」を使っていざという時の身の守り方を学ぶ講演会などが挙げられます。毎年恒例で開催しているのは、災害時に役立つ「ポリ袋クッキング」を体験する企画です。また、国立市の総合防災訓練や東京都主催の外国人のための防災訓練にも参加しています。
河津さん KUNIBOでは、一橋大学の日本語が流暢な留学生たちから「外国語支援ボランティア」の登録を募っています。今年も3月に大学の新規留学生オリエンテーションに参加、6月には、新しくボランティアとして登録してくれた留学生を対象とした研修として、立川防災館体験ツアーを実施しました。立川防災館では、震度7の地震の揺れや火災の煙が体験できるほか、消火やAEDを使った応急救護なども学べるので、大変勉強になります。

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家具転倒防止器具の体験学習にて。実際に器具を設置してみます(左)。
立川防災館の地震体験室にて。震度7の揺れは驚きの体験です(右)。
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Q. 防災マップや防災ステッカーなどの作成も行われていますね。

A. 山崎さん くにたち生活防災マップには、地域に住む外国人の意見を取り入れ、スーパーやドラッグストアなどの位置も掲載しました。また、中国語、韓国語、英語に日本語を付記、漢字にルビをふり、日本語の教材としても活用できるようにしています。日本語学習者との協働で作成した防災ステッカーは、裏にマグネットを付け、冷蔵庫などに貼れるよう工夫しました。さらに、AEDの音声ガイダンスを中国語、韓国語、英語、スペイン語、タガログ語、タイ語、ベトナム語等で表記したものも作成、国立市が設置しているAEDへの封入を進めています。

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防災マップや防災ステッカーは、日本語の教材としても利用できるように工夫されています。

Q. 外国人の積極的な参加を促すために心掛けていることはありますか。

A. 山崎さん 災害に関する企画というと「真面目で固いイベント」と思われがちなので、できるだけ「お楽しみ」的な要素も含む企画を立てるようにしています。先ほどお話したポリ袋クッキングなどは、災害時の調理の仕方を学べるだけでなく、作った料理を食べながらコミュニケーションも図れるため、「楽しみながら学べる」と非常に好評です。1月には、災害時にも普段の暮らしにも役立つ「風呂敷の活用術」を学ぶ催しを実施することになっています。

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大好評の「ポリ袋クッキング」。たくさんの人が集まる人気企画です。
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Q. これまでの活動の成果について教えてください。

A. 山崎さん ポリ袋クッキングは「おかずクラブ」という料理の団体との共催で行っているのですが、このようにして、ほかのボランティア団体と連携してこられたことが良かったと思います。つながりが増えるほど人と人との出会いも増え、この地域に外国人住民がいることを知ってもらう機会も増えます。いざというとき、まったく知らない人より、顔を知っている人の方が手助けしやすいですよね。ですから私たちは、外国人に限らず誰もが参加でき、多くの人の顔と顔をつなげられるような企画づくりを心がけています。
河津さん KUNIBOが活動を続けていくうちに、国立市や一橋大学、自治会など、様々な組織が「今度一緒にやりませんか」と声をかけてくれるようになり、いい波及効果が生まれたと感じています。また、KUNIBOの活動の軸は防災ですが、全体としては「防災を含めた多文化共生」という形に移行しつつあります。防災のみをテーマとするのではなく、文化交流も含めることでより多くの人たちに参加してもらいたいと思っています。もちろん、防災訓練など繰り返し行う必要があるものは、今後も毎年実施していくつもりです。

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何度も経験してほしい防災訓練。KUNIBOでは、今後も参加の機会を提供し続けていきます。
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Q. 活動において課題となっていることはありますか。

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A. 山崎さん 私も河津さんも100%ボランティアでやってきましたが、KUNIBOの活動に多くの時間を割いてくれる外国人住民や留学生には何とか活動費を払えるようになりたいと思っています。たとえば、外で働くことはできないけれどKUMIBOの活動には協力できるという子育て中のお母さんがいた場合、ほんの少しでも謝礼を出せたら積極的に関わってもらえると思うのですが、その資金の確保が大きな課題となっているのです。

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河津さん また、防災マップなども一度作ればいいというものではなく、ある程度時間が経過したら、情報を更新して新しいバージョンを作る必要性が出てきます。公民館は場所の提供と活動への協力はしてくれますが、資金的な援助をしてくれるわけではありません。活動を継続するための資金をどこから調達してくるかということは、常に頭を悩ます問題です。

Q. 今後の活動予定を教えてください。

A. 山崎さん 直近では、公民館が主催する「世代間交流」という企画に参加する予定です。こちらは日本人・外国人を問わず誰でも参加できるイベントですが、今回は子どもに防災を学んでもらうことをテーマにしており、KUNIBOはポリ袋クッキングで参加、子どもが大好きなパンケーキの粉で美味しいケーキ作りに挑戦します。公民館で日本語を学ぶ学習者は比較的若い世代なので、こうしたイベントで若い日本人と接点ができればうれしいですね。幅広い世代が集まり、その中に地域の人も外国人も入っているというのが一番自然体でいいのではないかと思います。


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