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一般財団法人 NGO時遊人 ~旅の途中にボランティア。アジアの子どもたちに文房具を届けるPOSTMANになろう~

NGO時遊人 代表理事の道下龍生さん。

NGO時遊人 代表理事の道下龍生さん。

3月のクローズアップは、一般財団法人 NGO時遊人です。「教育支援による貧困からの脱却」を理念に掲げ、ベトナム、カンボジアなどで活動しているNGO時遊人。支援する側も感動を共有する「体験型の支援」を目指しながら、文房具を現地の学校や施設に届ける“POSTMANプロジェクト”、奨学金を受けた子どもとサポーターが交流を行う“One to Oneプロジェクト”など、さまざまな支援活動を実施しています。今回はNGO時遊人の代表理事である道下龍生さんに、POSTMANプロジェクトを中心にお話を伺ってきました。

■POSTMANプロジェクトとは、日本全国からNGO時遊人へ寄付された文房具を、ベトナムやカンボジアに旅行に行く人たちが提携先の施設に届けるというユニークなボランティア活動です。現地の施設・学校の手配はNGO時遊人が行うので、POSTMANとなる旅行者は文房具を持って行くだけ。施設によっては、文房具を届けた際に現地の子どもたちと交流することも可能です。誰でも簡単にでき、通常の海外旅行では味わえない感動を得られるボランティアとして人気を集めるPOSTMANプロジェクト。文房具を手渡しすることにこだわるのには、「思い」を直接届けたいということ以外に、もうひとつの理由があるそうです。

Q. POSTMANプロジェクトを始められた経緯について教えてください。

A. 仲間内でボランティア活動を始めようとなった時、お金も人脈もない自分たちにできることとして思いついたのが、文房具を集めて持って行くことでした。ところが、いろいろと調べていくうちに、文房具を集めるのは比較的容易だけれど、それを現地に持って行くために大変なコストがかかることに気づいたんです。コンテナで運ぶとすると、1台で約20万円の費用がかかります。だったらハンドキャリーで運ぼう、ということで始めたのが“POSTMANプロジェクト”です。海外旅行に行く人たちに文房具を運んでもらうことで、輸送コストを大幅に削減することが可能となりました。


©NGO時遊人 ©NGO時遊人

日本全国から集まったたくさんの文房具。 ボランティアスタッフが仕分けを行います。
©NGO時遊人

Q. POSTMANとして参加しているのはどんな人たちですか?

A. ほとんどが学生です。学生団体やサークルの活動として参加したり、グループ旅行のついでにというケースが多いですね。こうしたボランティアは初めてという人の割合が高く、文房具を届けるだけでなく、現地の子どもたちと遊ぶのを楽しみにしているようです。1人で行くという人も稀にいますが、そういう方は英語が堪能で海外慣れしています。住所だけを頼りに支援先の施設までたどり着くというのは相当難しいことなので、それは本当にすごいなと思いますね。


©NGO時遊人 ©NGO時遊人

現地の支援先を訪ねたPOSTMANが子どもたちに文房具を手渡します。
©NGO時遊人

Q. POSTMANプロジェクトの支援先はベトナムが中心のようですね。

A. 縁あって人脈をうまく築けたことから、これまでベトナムを中心として支援を行ってきました。ただ、ベトナムはここ5年ほどで急速に発展していて、文房具を切実に必要としているところへ届けようとすると、今の支援先よりもっと奥地の方まで行かないといけない状況になってきています。しかし、半日程度の時間があれば参加できるという気軽さがPOSTMANプロジェクトの売りですから、文房具の需要があり、なおかつ学生が訪れやすい支援先を新たに増やしていく必要があるでしょう。今後は、カンボジアでの支援により力を入れて行くつもりです。

Q. 新たに加えられる予定の支援先があったら教えてください。

©NGO時遊人

新たな支援先となるカンボジアのフリースクール。
アンコールワットへのアクセスも抜群です。
©NGO時遊人

A. カンボジアで、アンコールワットのある都市シェムリアップ郊外にあるNGOのフリースクール、Educating Center for Community (ECC)が新しく支援先となります。公立の学校に通えない村の子どもたちにも教育を受けさせるべきだと考えた現地の人によって設立された学校で、5歳から17歳までの子どもたち約140人が、英語と日本語、韓国語を学んでいます。子どもたちにITの技術を習得させたいという想いから、コンピューターのクラスも定期的に行われており、家でご飯が満足に食べられない子どものために、お昼ご飯の支給も始められました。



©NGO時遊人

文房具を詰め込んだランドセルを背負って
支援先へ向かうPOSTMANたち。
©NGO時遊人


将来的にはカンボジア人がカンボジアの子どもたちを育てることが一番だという考えの下、教えることのできる子どもの育成や、年長者が小さい子どもに教えるクラスも開講されています。とはいえ現在は、物資も足りなければ、教師も不足している状態で、何とか観光客をボランティアの先生として取り込みながら、授業を続けています。学校側が必要としているのは、絵本、ノートや鉛筆が入る鞄(ランドセル)、コンピューターなどです。シェムリアップからアンコールワットまでは、トゥクトゥクを使って10分程度。さらに日本語も通じる施設なので、観光の合間にPOSTMANをしたいという方には最適だと思います。

Q. POSTMANプロジェクトの今後の展開についてお聞かせください。

©NGO時遊人

本業を持ちつつ、NGO時遊人の活動を
続けてきた道下さん。
「学力を上げて貧富の差を埋める」という
ゴールを見据えてやってきたそうです。

A. 現地でランドセルの需要が高いことがわかったので、ただ文房具を持って行くだけでなく、ランドセルに文房具を詰めて持って行くということを始めています。1人のPOSTMANが、文房具を満杯に詰め込んだランドセルを少なくとも一個は持って行く、というサイクルができれば、支援先にもより喜んでもらえると思います。また、全国からたくさんの文房具が寄付として届いているのに、それを運ぶ旅行者が足りないという状況なので、できるだけたくさんの人が行ってみたいと思える支援先を増やして、HPなどでアピールしていきたいですね。ぜひ、多くの方にPOSTMANプロジェクトに参加していただきたいです。


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