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公益社団法人 Civic Force ~一人でも多くの命を救うために! 災害支援プラットフォーム構築で平時から備えを~

Civic Force、広報・渉外部の新城卓さん(右)と、事業部でアジアパシフィック アライアンスを担当している韓国出身のイ チャンウさん(左)です。

Civic Force、広報・渉外部の新城卓さん(右)と、
事業部でアジアパシフィック アライアンスを担当している
韓国出身のイ チャンウさん(左)です。

9月1日は防災の日。各自治体で防災訓練が行われ、私たちも日頃から災害に備えることの大切さを再認識する時期です。そこで今月のクローズアップでは、公益社団法人 Civic Force(緊急即応チーム)をご紹介します。Civic Forceは、大規模災害が起きた際に、NPO/NGO、行政、企業などの連携により、迅速で効果的な支援を実現するために設立された災害支援プラットフォームです。今回は、広報・渉外部の新城卓さんと事業部のイ チャンウさんに、東日本大震災における支援活動や次の大規模災害に備える緊急即応体制づくり、また国境を越えた災害時の相互支援を目指して創設された「アジアパシフィック アライアンス」について、お話を伺ってきました。

Q.Civic Forceはどういった経緯で設立されたのでしょうか?

A.新城さん Civic Force代表の大西健丞は、国際協力NGOピースウィンズ・ジャパンの責任者として世界各地の紛争や自然災害の現場で支援を行っており、2004年に新潟県中越地震が起きた際も、バルーンシェルターという大型のテントを使った被災者の寝泊り場所の提供、企業と連携した炊き出しなどを実施し、400人以上の方を支援しました。しかし、自治体との連携が不十分であったことなど準備が十分ではなかったため、避難所として登録するまでに時間がかかり、その間は市から物資も情報も入手できませんでした。その反省を踏まえ、大規模災害時に迅速で効果的な支援を行うための連携機関として2009年の1月に設立されたのが、災害支援プラットフォームの役割を担うCivic Forceです。

バルーンシェルター©Peace Winds Japanバルーンシェルター©Peace Winds Japan

バルーンシェルターは、空気を送り続けて支える構造になっているため、
余震が続く中でも倒壊のおそれがありません。1セットで約100人を収容可能です。
©Peace Winds Japan

Q.災害支援プラットフォームとしてのCivic Forceの役割について教えてください。

A.新城さん NPO/NGO、企業、政府、行政など、災害支援に関わるさまざまな組織が日頃から連携を密にし、支援の想定プランを確認し合っておけば、いざという時に多くの被災者のニーズに応えることができます。Civic Forceはその調整機関であり、大規模災害が発生した際には、災害時支援に必要な「情報」「人」「資金」「モノ」などのリソースを集約して被災地に届けます。「一刻も早く、一人でも多く救う」ため、関係機関としっかり連携を取り、調整組織としての機能を果たすことが我々の使命です。

Q.2011年の東日本大震災では、どのような支援活動をされたのですか?

Civic Forceのパートナー企業「高橋ヘリコプターサービス」は、東日本大震災の発生直後からヘリを飛ばし、約1ヵ月間にわたって被災地に支援物資を運びました。cCivic Force

Civic Forceのパートナー企業「高橋ヘリコプターサービス」は、東日本大震災の発生直後からヘリを飛ばし、約1ヵ月間にわたって被災地に支援物資を運びました。
cCivic Force

A.新城さん 発災翌日の3月12日から、事前に協定を結んでいたヘリ会社の協力でヘリコプターを投入し、緊急支援をスタートしました。緊急支援物資の調達・配送事業では、3月11日から5月末までに380トン・546品目もの物資を調達・配布。サポートしてくださった企業は600社以上、支援者は5万人に上ります。そのほか、被災地のニーズに合わせ、離島と結ぶカーフェリーの貸与、手作り風呂の設営・運営、トレーラーハウス・コンテナハウスの提供、社員ボランティア派遣などの事業を展開してきました。

Q.どんなところで災害支援プラットフォームの力が活きたと感じましたか?

東日本大震災では、ハート引越センターの4トントラック10台が毎日定期運行し、協力企業からの支援物資を届けました。cCivic Force

東日本大震災では、ハート引越センターの4トントラック10台が毎日定期運行し、協力企業からの支援物資を届けました。
cCivic Force

A.イさん 震災が起きた後、多くの企業から「何かできることはないか」という声が上がりましたが、どこの行政もNGOもキャパシティを超えるほどに忙しく、個別に対応することは難しい状況でした。そこで災害支援プラットフォームであるCivic Forceが、どこで何をすればいいのか、どんなものが必要とされているのかを把握し、中間団体として調整しました。
また、災害支援で一番のネックとなる物流の問題を、引っ越し業者と組むことで解決することができました。こちらの業者さんとは協定を結んでいたわけではないのですが、「協力関係ができたらいいですね」という話を事前にしていたのでお声掛けしたところ、即座に、ご対応くださいました。

Q.今後の災害に備え、どのような準備をされているのでしょうか?

A.新城さん 東日本大震災で経験した「連携の力」を次の災害でも最大限生かすため、自治体との協定締結や新たな企業、NPO/NGOとのパートナーシップなど、各団体との連携を強化し、緊急即応体制を整備しています。これまでに「災害時相互協力協定」を静岡県の袋井市、愛知県、三重県、宮城県気仙沼市と締結しました。
また、NPO法人のオールラウンドヘリコプター(ARH、宮城県気仙沼市)をCivic Forceが主導して立ち上げました。通常は離島などの遠隔地で発生した急患の搬送を行う医療用ヘリコプターとして運航していますが、大規模災害が起きた時には、優先して被災地の支援に活用するという協定を結んでいます。2014年6月には、東南海地震を想定し、愛知県のパートナー団体、千葉県の病院と協力し、医師を乗せたヘリを被災地に派遣するシミュレーションを実施しました。
さらに、2012年10月に「アジアパシフィック アライアンス」を設立、自然災害が頻発するアジア太平洋地域でも、災害即応体制の構築に取り組んでいます。

オールラウンドヘリコプターcCivic Force

2013年10月に運航開始したオールラウンドヘリコプターは、気仙沼を中心とした三陸沿岸地域における
医療用多目的ヘリコプターです。機内にはストレッチャー(担架)が搭載できます(右上)。
下の写真は、愛知県で行われた訓練で、ヘリに燃料を補給するイさん。
cCivic Force

Q.アジアパシフィック アライアンスについて教えてください。

A.イさん アジア太平洋地域の各国に、企業、NPO/NGO、行政が各組織の壁を越えて連携するCivic Force型プラットフォームの基盤を作り、さらに各国のプラットフォーム(ナショナルプラットフォーム)が国境を越えて連携することで、大規模災害が起きた際、相互に支援し合う仕組みづくりを目指しています。
たとえば今後、日本で災害が起きたとき、他の国のNGOや企業が個々に日本へ支援を申し出るのではなく、日本以外のプラットフォーム内で資金、人員、物資などの支援を集約してから日本のプラットフォームに連絡が来るという流れになるので、スムーズに援助を受け入れられるようになります。そして、被災地の国のプラットフォームがその地元NGOを通して支援を展開することで、より効果的・効率的な支援活動が可能となるのです。

緊急支援物資を1,900世帯11,400人に配布しましたcCivic Force 避難用テント960張9,600人分も提供しましたcCivic Force

2013年11月にフィリピンを襲った台風30号の被災者支援で、Civic Forceは、現地NGOの協力により
いち早く被災地の情報を入手し、緊急支援物資を1,900世帯11,400人に配布しました(左)。
また、避難用テント960張9,600人分も提供しました(右)。
cCivic Force

Q.今後、アライアンスはどのように展開していくのでしょうか?

「今後も一国では対応できない災害が起こりえるので、各国が信頼できるプラットフォームを構築したい」と語るイさん。

「今後も一国では対応できない災害が起こりえるので、各国が信頼できるプラットフォームを構築したい」と語るイさん。

A.イさん 現在アライアンスの加盟国は、日本、フィリピン、インドネシア、スリランカ、韓国の5カ国ですが、バングラデシュ、ミャンマーなどの国でもナショナルプラットフォームの設立に向けた取り組みが進んでいます。
2013年11月にフィリピン中部を襲った台風30号の被災者支援活動では、海外での災害対応の経験がない韓国のNGOが、フィリピンのNGOと連携して迅速で効率的な支援を行うことができました。いずれのNGOも現在ナショナルプラットフォームを構築中で、こうした実績を積み重ねることが、お互いを信頼し協力し合える関係づくりにつながっています。また災害時は、届けられた支援物資がどこの国から送られてきたかが現地ではわからないというようなことがあるのですが、それぞれの支援者の顔が見えるようなしくみを構築し、アジア太平洋地域内で相互協力が深まるようにしていきたいです。

Q.最後に読者へのメッセージをお願いします。

「災害時に一人でも多くの被災者を救い、いかに早く迅速に支援できるかが私たちの活動の根底にあります」と語る新城さん。

「災害時に一人でも多くの被災者を救い、いかに早く迅速に支援できるかが私たちの活動の根底にあります」と語る新城さん。

A.新城さん 災害はいつ、どこで起きるかわかりません。毎年9月の「防災の日」には、全国各地で防災イベントが開催されているので、防災訓練に参加するなどして、一人ひとりが日頃から災害について考えることが大切だと思います。
Civic Forceは「災害支援のプロ」として、引き続き次の災害に備える活動を展開するとともに、日本国内だけでなく、アジア太平洋地域での緊急支援活動を行っていきます。


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