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一般社団法人JAOS海外留学協議会~Global ACE-海外体験を就活に生かしたい人たちを応援する!~

今回お話をしてくださった専務理事の林隆樹さん(左)と、キャリアコンサルタントの本橋幸夫さん(右)。

今回お話をしてくださった専務理事の林隆樹さん(左)と、
キャリアコンサルタントの本橋幸夫さん(右)。

4月のクローズアップは、一般社団法人JAOS海外留学協議会です。安心できる留学環境の実現を目指して、広く留学サービス事業者が集まり組織されたJAOSは、グローバル人材育成のニーズが高まる中、そのステップとしての留学を推進する様々な取組を行っています。平成25年度には、厚生労働省の「勤労青少年の国際交流を活用したキャリア形成支援事業」(通称:Global ACE)の委託を受け、海外経験を生かした就職を希望する若者たちの支援も始めました。今回は、JAOS専務理事の林隆樹さんと、Global ACEでキャリアコンサルタントを務める本橋幸夫さんに、海外経験で身につく力やその生かし方について伺ってきました。

Q.JAOSとは、どのような組織なのでしょうか?

JAOS認定留学カウンセラー養成のためのテキスト。留学カウンセリングや手続きのノウハウ、留学慣例法規、海外留学の危機管理など、幅広い知識を得られます。

JAOS認定留学カウンセラー養成のためのテキスト。留学カウンセリングや手続きのノウハウ、留学慣例法規、海外留学の危機管理など、幅広い知識を得られます。

A.林さん JAOSが設立されたのは、今から22年前の1992年です。留学業界全体をよりよいものにするため、留学サービス事業者が集まって組織しました。我々の活動の柱は四つ。まず一つ目は、安心・安全な留学を実現するガイドラインの制定で、JAOSの会員となる留学事業者にはこのガイドラインを遵守する必要があります。二つ目は、留学に関する適切なアドバイスができるプロのカウンセラーの育成です。JAOS認定留学カウンセラー養成講座と認定制度の運営を行っており、認定試験の合格者は既に300名を超えています。そして、三つ目が各国大使館との連携です。各国の留学情報を正確かつ迅速に伝えられるように、それぞれの大使館の教育担当部署と密な連携をとるようにしています。四つ目は、我々が蓄積してきた留学希望者の送り出しのノウハウを活用してもらえるよう、例えば、このGlobal ACE プロジェクトもその1つですが、国に働きかけるという活動も行っています。

Q.Global ACEとは、どのような事業なのですか?

A.林さん Global ACEは、厚生労働省の委託事業で、海外インターンシップやワーキングホリデー、語学研修などの海外経験を持つ若者が、その経験を生かした就職を実現できるよう、キャリア形成の支援をするものです。渡航前から帰国後にかかるコンサルティング費用、就職研修などを無料で提供します。対象となるのは、学生を除くおおむね35歳くらいまでの未就労者。学生であれば大学のキャリアセンターなどで留学やその後の就活について相談することができますが、学生以外の人たちにはなかなか相談の場がありません。そこで、そうした人たちに、海外経験をキャリア形成に生かすためのアドバイスをしましょう、ということで始まったのがGlobal ACEなのです。


Global ACEでは、渡航前と帰国後にセミナーや就職研修を実施し、一貫したキャリア形成のサポートを行っています。   Global ACEでは、渡航前と帰国後にセミナーや就職研修を実施し、一貫したキャリア形成のサポートを行っています。
Global ACEでは、渡航前と帰国後にセミナーや就職研修を実施し、
一貫したキャリア形成のサポートを行っています。

Q.Global ACEのキャリアコンサルティングでは、どんなことを大切にされていますか?

A.本橋さん 厚生労働省の海外体験者へのアンケートによると、海外体験で習得したものは、語学力以上に、国際感覚・異文化適応能力、積極性、幅広い視野、コミュニケーション能力などであると答える人が多いことがわかります。ところが、海外から帰国しても、こうした力がついているという自覚のない人が結構いるんです。身についた力を自覚していないということは、就職活動でそれを企業にアピールできないということ。そこで、キャリアコンサルタントがその人の成長度合いを引っ張り出してあげることが必要になります。「こういった力が身につき、あなたは成長しましたよね」と言葉にして他者承認する。すると、語学力が思うようにつかず落ち込んでいた人も、「やはり海外に行ってよかった」ということになり、中には涙をこぼす人もいるんですよ。


※「グローバル人材へのニーズ」、「海外経験で身につく力」の調査結果は、Global ACEの下記サイトをご覧ください。
http://www.global-ace.jp/career/

Q.多くの人が海外に行くこと=語学を身につけることだと思いがちです。

A.林さん もちろん語学はひとつの大きな目的でしょうが、海外でたった一人になって行動することは、自主性や問題解決能力を身につける訓練にもなります。さらに、異文化の中で初めて「日本人」として扱われ、あれこれ聞かれてわからず勉強し始める。そうして身につける日本人としてのアイデンティティ、幅広く他文化を理解する教養、コミュニケーション能力などがグローバル人材には必要とされます。大切なのは何を言うべきかであって、語学は極論すれば後からでもついてくると思いますよ。

A.本橋さん 海外に行くと、若くてもみな自分の意見をきちんと持っているため、いかに自分が今まで物事を考えていなかったかを自覚する人が多いようです。自分の意見を持ち発言することは、周りに貢献することになる。こうした考え方を海外に行っている間に身につけてほしいと、渡航前に伝えてあげるとずいぶん違います。

Q.渡航前のコンサルティングでは、ほかにどのようなことを伝えますか?

20年間、留学事業に携わり、留学生の就職サポート経験も豊富な本橋さん。Global ACEのセミナーで。©JAOS

20年間、留学事業に携わり、留学生の就職サポート経験も豊富な本橋さん。
Global ACEのセミナーで。
©JAOS

A.本橋さん Global ACEでは、渡航を思い立ったきっかけやどんな力を身につけたいかなどを目標設定シートや能力開発シートに書いてもらい、ヒアリングのツールとして使います。シートには自分の自信をチェックする欄もあるのですが、海外に飛び込もうという意思はあるのに自己効力感が低い人が多いですね。そこで、「海外へ行こうと決めたんだから決断力がありますね」などと話しながら、自信を引き出すようにしています。

Q.帰国後、就職に向けてどのようなキャリアコンサルティングをされているのですか?

自分の長所は他人が思っている長所と少し違うかも。Global ACEのキャリアコンサルティングでは、その人の新たな魅力を発見し、就活力アップのお手伝いをします。©JAOS

自分の長所は他人が思っている長所と少し違うかも。Global ACEのキャリアコンサルティングでは、その人の新たな魅力を発見し、就活力アップのお手伝いをします。
©JAOS

A.本橋さん 帰国した人たちの多くは、英語を使う仕事を希望します。それに対して私は、必ずしも外国語をバリバリ使うグローバル企業に拘る必要はないのでは、とアドバイスするんです。それよりも、まだ海外進出していない企業に就職して、そこで「海外へ進出しましょう」と自分で提案すればいい。つまり、自分が主体的に提案することで、「海外での仕事を自分が創り出せる」という仕事の醍醐味もあるんです。また日本では労働者人口が激減しているので、今後は外国人を雇用することも増えてくるでしょう。海外で「外国人」という立場を経験してきた人たちは、日本での外国人の立場もわかるわけですから、「日本人と外国人をつなぐ接着剤のような人材になれますよ」という話もしますね。これから海外を体験した人の活躍の場は、確実に増えると思います。

Q.海外体験が本当に就職活動に生きるのか、悩む人たちもいるようです。

A.本橋さん 海外の人と物怖じせず、対等にコミュニケーションが取れる人材を求める会社は増えていますよ。求められているのは、国際感覚、適応力、そして主体的に動く力です。企業は、自分で成長できる人材を採用したいんです。就職活動に有利かどうかばかりを考えず、自分が成長できる道を選んで魅力的な人間になってほしいですね。

Q.海外インターンシップやワーキングホリデーに挑戦したいけれど躊躇しているという人たちにメッセージをお願いします。

「皆さんが海外で得た成長や成果を引っ張り出し、自信を持って就活に望めるように全力でサポートします」と語る本橋さん。

「皆さんが海外で得た成長や成果を引っ張り出し、自信を持って就活に望めるように全力でサポートします」と語る本橋さん。

A. 本橋さん 「今の自分で勝負しますか? それとも海外に行ってよりバージョンアップした自分で勝負しますか?」と問いかけたいです。言葉、文化、生活習慣が違う中で生活すれば、人は否が応でも成長します。海外で社会人基礎力をしっかり培ってくれば、私たちキャリアコンサルタントがその成果を言語化し、就職活動で伝えられるようお手伝いいたします。

ご自身の経験からも「海外での体験は、帰国後、何年も経ってから、より生きてくることもある」と語る林さん。

ご自身の経験からも「海外での体験は、帰国後、何年も経ってから、より生きてくることもある」と語る林さん。

A.林さん 語学力や大きな困難を乗り越える力は、日本にいても何らかの形で身につけることができるかもしれません。ただ、国際感覚だけは、海外に行って経験しないと身につかないんです。これからは、ますます他の文化と理解し合ってやっていかないといけない時代になります。ぜひ海外で色々な経験をしてほしいですね。


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