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LunchTrip 美味しいランチを楽しみながら、旅した気分で世界を学ぼう!

左から、Nahoさん、Kyokoさん、代表のAmiさん。もともと友人同士だった3人。息もぴったりです。

左から、Nahoさん、Kyokoさん、代表のAmiさん。
もともと友人同士だった3人。息もぴったりです。

11月のクローズアップは、LunchTripのご紹介です。海外旅行が好きな若手社会人の勉強会として、2008年にスタートしたLunchTrip。都内の異国レストランや大使館を巡り、美味しいランチを食べながら、メディアが発信する情報や観光で訪れるだけでは知ることができない、その国のリアルな姿を学びます。"旅すること"と"食べること"が大好きな3人の女性が始めた活動は多くの人の共感を呼び、今では開催の告知をするとすぐに満席になってしまうこともあるとか。そんなLunchTripの魅力について、代表を務める松澤亜美(Ami)さんと、設立メンバーである畠田那穂(Naho)さん、長谷川恭子(Kyoko)さんにお話を伺ってきました。

Q.LunchTripとは、どのようなプロジェクトなのか教えてください。

A.Nahoさん 「美味しい笑顔が、世界を好きになる直行便」というのが、LunchTripのコンセプトです。各回をその国に向かう飛行機に見立て、私たちスタッフを"クルー"、参加者を"パッセンジャー"、その国について話をしてくれる人を"ガイド"と呼んでいます。2時間半の"旅"の内容は、大きく分けて、ランチ、プレゼンテーション、ワークショップの3つです。その国の料理を食べ、その国にゆかりのある人の話を聞き、さらに参加者同士が話し合うことで、その国についての理解を深めます。知らなかった世界の一面を学ぶ場を提供して、社会をより良くしたいと行動する人を増やし、国や地域、異文化を尊重し理解し合う社会を目指すというのが、私たちLunchTripのミッションです。

駐日イラン大使によるプレゼン©LunchTrip イランの留学生を交えたワークショップ©LunchTrip 大使公邸でイラン料理のランチビュッフェ©LunchTrip

駐日イラン大使によるプレゼン(左)、イランの留学生を交えたワークショップ(中央)、
大使公邸でイラン料理のランチビュッフェ(右)、2013/9/21のイラン大使館便にて。
©LunchTrip

Q.なぜ、こうした活動を始めてみようと思われたのですか。

A.Amiさん 私がアメリカに留学していたとき、近所で起きた憎悪犯罪にショックを受けたことが、LunchTripを始めるひとつのきっかけとなりました。ターバンを巻いていたために「アメリカの敵のイスラム教徒」として殺された男性は、実際にはシーク教徒でした。「イスラム=悪」「ターバン=イスラム教徒」という二重の誤解が起きてしまったのは、犯人に"知る機会"がなかったからだと思います。国も人も本来は多面的なもの。ですからLunchTripでは、良い面も悪い面も含めて、「その国の意外な一面を知る」ということを大切にしています。そして、実はLunchTripの原型となったのが、留学中に日本をあまり知らない友人たちを集めて開いていた手巻き寿司パーティーなんです。このとき、美味しいものを食べながら話をするというのは、伝える側も聞く側も楽しくていいなと思ったことがLunchTripへとつながりました。

Q.LunchTripで取り上げる国は、どのようにして選んでいるのですか。

A.Amiさん 私たちクルーが興味のある国を選ぶこともあれば、パッセンジャーの方から「この国を取り上げてほしい」という声が上がって決まる場合もあります。たとえば、先日(2013/9/21)開催したイラン大使館便は、大使館のイベントに参加する機会を得たことから交渉して実現することができたのですが、実はずっと、イランを訪れたことのあるパッセンジャーの人たちから、「メディアから出てくる情報はネガティブなものが多いけれど、イランはとてもいい国だから取り上げて!」という声をいただいていたんです。また、アイスランド便の場合は、LunchTripのパッセンジャーだった女の子が「自分が留学していたアイスランドの良さを伝えたい」とガイドに立候補してくれたので開催を決めました。

アイスランド便ガイドの杉山弥央さん。自然の素晴らしさや女性の生き方について語ってくれました(2013/ 2/10)。©LunchTrip

アイスランド便ガイドの杉山弥央さん。
自然の素晴らしさや女性の生き方について
語ってくれました(2013/ 2/10)。
©LunchTrip

アイスランド便の北欧料理。左からニシンのマススタード漬け、エッグキャビア、ラムモモ肉のロースト ローズマリー風味。©LunchTrip

アイスランド便の北欧料理。
左からニシンのマススタード漬け、エッグキャビア、
ラムモモ肉のロースト ローズマリー風味。
©LunchTrip

Q.プレゼンテーションを行うガイドを務めるのは、どのような人たちですか。

A.Nahoさん その国出身の方、その国に住んでいた方、あるいは旅行で訪れたことがある方など、色々な人がガイドとしてお話をしてくださっています。共通しているのは、その国について伝えたいことがある、という強い思いを持った人たちだということです。
A.Amiさん 各大使館便で大使にガイドをお願いしたり、サウジアラビア便ではキャスターの池上彰さんにご搭乗いただいたりしているので、専門知識がないとガイドになれないのかなと思われるかもしれませんが、そんなことはないんですよ。旅行でその国を訪れたという方でも、メッセージ性のある話をしていただけるなら大歓迎です。第1~3回のLunchTripでは、Kyoko、Ami、Nahoがそれぞれ旅の体験を活かして、カンボジア便、ハワイ便、イスラエル便のガイドを務めました。ガイドをやるのは大変ですが、旅を通して自分が感じたこと、考えたことをまとめるいい機会になると思います。

Q.パッセンジャーはどのような人たちが多いのですか。

BSジャパンのドキュメンタリー番組「ウーマノミクス」によるイラン便の取材。©LunchTrip

BSジャパンのドキュメンタリー番組
「ウーマノミクス」によるイラン便の取材。
©LunchTrip

A.Amiさん 私たちクルーと一緒で、"食"と"旅行"と"学び"が好きな人たちですね。自分と同じような興味を持つ人たちとの出会いを楽しみにいらっしゃる方もいます。もともと友人のつながりで広げていったので20~30代が多いのですが、今は色々なメディアで紹介していただいていることもあり、幅広い年代の方が来てくださるようになりました。英語が話せる方も多いので、ワークショップでは英語でディスカッションするグループも作るようにしています。

Q.パッセンジャーに事前課題を出すそうですね。

A.Kyokoさん その国の情報が掲載されているページのリンクを張って、この記事をチェックしておいてくださいね、とお願いしたりします。実際の旅行でも、「どこに行こうかな」と、ガイドブックやネットを見ながらその国の情報を調べているときがわくわくしますよね。そういう感じで受け止めていただければと思います。
A.Amiさん 「事前課題をやらないと来られません」ではなく、「より"旅"を楽しむためにお願いします」ということなんです。基本的に30分程度あればできるものなので、LunchTripに来る電車の中で済ませるという方もいらっしゃいますよ。

Q.ワークショップの内容を教えてください。

A.Amiさん たとえばイラン便では、イラン行きのツアー作りをしました。パッセンジャーに教育・ビジネス・アートなどのテーマを事前に選んで勉強してきてもらい、さらに当日、イラン人留学生に質問をしながらテーマに合ったツアーを組み立ててもらいました。
A.Kyokoさん 大使館便ではその国の留学生を紹介してもらえるので、ワークショップの際に各グループに加わってもらうのですが、「少人数で話すとすごく距離が縮まって、色々な話が聞けて良かった」という感想をいただきます。

ワークショップでツアーの企画に挑戦。事前課題で勉強してきた知識を持って臨みます。©LunchTrip

ワークショップでツアーの企画に挑戦。
事前課題で勉強してきた知識を持って臨みます。
©LunchTrip

各グループに加わったイランの留学生。写真やPCを使って説明してくれます。©LunchTrip

各グループに加わったイランの留学生。
写真やPCを使って説明してくれます。
©LunchTrip

JICA地球広場J's cafeでのシリア便(2013/4/14)。シリアの学生が避難先のイスタンブールから、スカイプでガイドとして参加してくれました。©LunchTrip

JICA地球広場J's cafeでのシリア便(2013/4/14)。
シリアの学生が避難先のイスタンブールから、
スカイプでガイドとして参加してくれました。
©LunchTrip

A.Nahoさん 今年の初めに開催したシリア便では、スカイプを利用して、シリアからトルコのイスタンブールに避難している人の話を聞いた後に、日本から何かインターネットなどを通してできることはないか、グループで話し合いました。
A.Amiさん ガイドの話を聞くだけではなく、ワークショップでパッセンジャー同士が自分の感じたことを言葉に出して話し合うことがとても大事だと考えています。20分程度のディスカッションでも、その続きを各自で考えてもらうきっかけになると思うんです。

Q.LunchTripを行う際に大切にしていることを教えてください。

「実際どうなの?幸せの国」をテーマにしたブータン便(2013/5/11)。日本に一軒しかないブータン料理店のレシピで作られた料理です。©LunchTrip

「実際どうなの?幸せの国」をテーマにした
ブータン便(2013/5/11)。日本に一軒しかない
ブータン料理店のレシピで作られた料理です。
©LunchTrip

A.Amiさん その国を多面的に理解していただけるよう心掛けていますね。シリア便でも、今のシリアの大変な状況だけではなく、美しい部分も同時に知っていただきたかったので、考古学者の方にシリアの歴史について語っていただきました。
A.Kyokoさん 料理はできるだけ現地に近いものを食べていただけるようにこだわっています。とはいえ、ブータン便のときは、ブータンの料理は世界一辛いと言われているので、日本人が食べられる範囲で最高に辛くしてもらいました。

Q.LunchTripをきっかけに、生き方が変わったという人はいらっしゃいますか。

西アフリカのブルキナファソで青年海外協力隊員として活動したKyokoさん。最後の報告会で集まってくれた配属省庁や巡回先の公立幼稚園の先生達と一緒に。©LunchTrip

西アフリカのブルキナファソで
青年海外協力隊員として活動したKyokoさん。
最後の報告会で集まってくれた配属省庁や
巡回先の公立幼稚園の先生達と一緒に。
©LunchTrip

A.Kyokoさん クルーである私自身がそうです。海外や社会貢献に興味がないタイプだった私が自分の考え方を見直す最初のきっかけになったのは、学生時代に行ったカンボジア旅行。LunchTripの第1回目のガイドとして発表したのは、そのときの体験です。その後もクルーとして活動を続け、LunchTripを通して世界のことをどんどん知るうちに、もっと知らない世界を見てみたいと思うと同時に、世界の色々な問題に対して私にできることは何だろうと考えるようになりました。そして、2010年から2年間、西アフリカのブルキナファソで、青年海外協力隊の幼児教育隊員として過ごしてきました。行動を起こすことができたのは、LunchTripのガイドやクルーの経験があったからこそだと思います。

Q.LunchTripを今後どのように展開していこうと考えていらっしゃいますか。

LunchTripをもっともっと広げたい!夢に向けて羽ばたく3人。©LunchTrip

LunchTripをもっともっと広げたい!
夢に向けて羽ばたく3人。
©LunchTrip

A.Amiさん やりたいことは大きく分けて3つあります。LunchTripを全国展開すること、異世代に広げること、そして日本便を海外でやることです。開催地は今、大阪、福岡、静岡へと広がっていますが、もっと誰でも気軽にLunchTripを開催できる仕組みを作れないかと考えています。世代についても、新聞やテレビでLunchTripを知ったという上の世代の方が参加されるなど広がってきたと感じますが、あとは若い世代にもLunchTripを体験してもらう機会を作りたいですね。学校、あるいは幼稚園や保育園などで開催できたらいいなと思っています。最後の「海外で日本便を」というのは、私の夢であり、一番やりたいことです。留学中に日本のことを伝えたくて開いた手巻き寿司パーティーがこの活動の原点。LunchTrip日本便は必ず実現させます!

Q.最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

Kyokoさん

A.Kyokoさん 東京には色々な国のレストランが集まっているので、世界中を旅する気分を味わうことができます。ぜひ一緒に旅をしましょう。そしてLunchTripに参加すると、実際にその国に行ってみたくなりますよ。私は先月、アイスランドに行ってきました!

Nahoさん

A.Nahoさん 食事を一緒にするとその人のことがよくわかるのと同じように、食を通して文化を学ぶとその国のことをより深く理解できると思います。世界を知るきっかけとして、LunchTripに参加してみてください。私たちのミッションである異文化を尊重し合う社会を一緒に作り上げてくれる人たちを増やしていけたらいいなと思っています。

Amiさん

A.Amiさん 「海外には興味がない」と言っている人の中にも、食べることが好きだという人はいると思います。まずは食に興味を持つことから始めてもいいと思うので、ぜひLunchTripにご搭乗ください。世界が開けますよ!ご搭乗お待ちしております。


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