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特定非営利活動法人NAGOMI VISIT “おうちごはん”を通して、世界中の旅行者と交流を!

NAGOMI VISIT運営チームのお二人。楠めぐみさん(左)と真田ありささん(右)。

NAGOMI VISIT運営チームのお二人。
楠めぐみさん(左)と真田ありささん(右)。

7月のクローズアップは、特定非営利活動法人NAGOMI VISITです。NAGOMI VISITは、日本にやってくる旅行者を自宅に招き、普段のおうちごはんを一緒に食べながら2~3時間の異文化交流をするホームビジットを行っている団体です。ホストとして登録すると、NAGOMI VISITのウェブサイトに入ってくる世界中の旅行者からのリクエストを見て、気になるゲストの受入れをすることができます。今回は、代表理事の楠めぐみさん、副理事の真田ありささんに、気軽に国際交流を楽しめるホームビジットについて、じっくりとお話を伺ってきました。

Q.NAGOMI VISITを設立されたきっかけについて教えてください。

NAGOMI VISIT代表理事の楠さん。

NAGOMI VISIT
代表理事の楠さん。

A.楠さん NAGOMI VISITの活動を始めたのは2011年の9月です。きっかけとなったのは、その数年前、デンマークで知人の家に泊めてもらい、彼の家族と一緒に食事をするという経験をしたことでした。ヨーロッパを訪れるのは初めてだったこともあり、見ること話すこと、すべてが私にとって新鮮で、こういうエキサイティングな体験をみんなができたらいいなと、単純に考えたんです。でも、旅行者が一般の家庭に入っていくというのは、現地に友達がいなければできないことですよね。じゃあ、友達がいなくても旅行者が一般家庭に入っていける仕組みを作ろうというところから、ホームビジットプログラムを運営するNAGOMI VISITはスタートしました。

Q."食卓を囲むホームビジット"にフォーカスされた理由はなんですか。

A.楠さん 宿泊を伴うホームステイは、受け入れる側にとっても旅行者側にとっても、かなりハードルが高いですよね。でも、2~3時間、食事を一緒にするということであれば、誰でも気軽に参加できるのではないかと思ったんです。食事にフォーカスしたのにも理由があります。日本には「同じ釜の飯を食う」ということわざがありますが、まさにその言葉通り、手作りのごはんを一緒に食べると、あっという間に仲良くなれるんです。短時間でお互いの距離を縮める一番の近道だと思います。

お椀とお箸をデザインしたNAGIMI VISITのロゴ(左)とキャッチコピー(右)。 ©Nagomi Visit

お椀とお箸をデザインしたNAGIMI VISITのロゴ(左)とキャッチコピー(右)。
©Nagomi Visit

Q.ホストはどんな料理を出すのですか。

A.楠さん ご飯にお味噌汁におかず、というような感じで、普通に日本の家庭で食べる料理を出してくださいとお願いしています。おかずも、肉じゃが、サバの味噌煮、卵焼きといった家庭料理ですね。また、ゲストと一緒に何かを作るというホストも多いです。お好み焼きやたこ焼き、それに手巻き寿司も人気があります。また、冬場は鍋料理やおでんを囲んだり。どれも家庭だからこそ、一緒に楽しめるものですよね。お寿司やラーメンといった日本食は世界中で人気がありますが、日本食というのは実はお寿司だけではないんだよ、ということをわかっていただくきっかけになると思います。

たこ焼きに挑戦!一緒に作ることでゲストにもホストにも楽しい思い出に。 イタリアからのカップル(左)とアメリカからの家族(右)。©Nagomi Visit

たこ焼きに挑戦!一緒に作ることでゲストにもホストにも楽しい思い出に。
イタリアからのカップル(左)とアメリカからの家族(右)。
©Nagomi Visit

NAGOMI VISIT副理事の真田さん。

NAGOMI VISIT
副理事の真田さん。

A.真田さん 日本食のイメージが変わったと言われるゲストの方は多いです。たとえば豆腐。海外では、肉の代わりに使われるヘルシーだけどあまりおいしくないもの、というイメージがあったりしますが、「豆腐が本当に繊細でおいしかった」というような感想をゲストからいただくことがあって、ホストの方もびっくりされますね。

Q.ゲストはどういった方が多いのですか。

A.楠さん これまで参加してくださった方は約400人。20代から70代まで、幅広い年齢層の方たちにご利用いただいています。中でも30代~40代のカップルやご夫婦、もしくは小さなお子さんのいるご家族が多いですね。その他、親子や友だち同士で参加される方や一人旅の方もいらっしゃいます。共通しているのは、普通の観光ではできないことをしたいと色々と検索した結果、NAGOMI VISITを見つけてくださった方たちだということです。

フィンランドで出会いオランダで暮らしているベルギーとハンガリー出身のカップル。©Nagomi Visit

フィンランドで出会いオランダで暮らしている
ベルギーとハンガリー出身のカップル。
©Nagomi Visit

カナダから12歳の娘さんと一緒に参加したお母さん。©Nagomi Visit

カナダから12歳の娘さんと
一緒に参加したお母さん。
©Nagomi Visit

Q.どこの国からのゲストが多いのでしょうか。

A.楠さん 今は英語が話せる方を対象にしているので、アメリカ、オーストラリア、シンガポールからの旅行者が多いですね。後は、ヨーロッパや中東、南アメリカなど、本当に色々な国からの参加者がいらっしゃいます。日本に住んでいる外国人の方からのお申し込みもあるんですよ。一度日本の家庭を体験してみたいと参加される方もいれば、家族が日本に遊びに来るのでと申し込まれる方もいます。

これまでゲストとして参加された方の出身国。©Nagomi Visit

これまでゲストとして参加された方の出身国。
©Nagomi Visit

Q.日本を知りたいだけではなく、自分たちの文化を伝えたいというゲストもいるとか。

ハネムーンで日本を訪れたイスラエル人カップル。出会いは兵役だとか。
ゲストと話して視野が広がったと語るホストの夫妻と。©Nagomi Visit

ハネムーンで日本を訪れたイスラエル人カップル。
出会いは兵役だとか。
ゲストと話して視野が広がったと語るホストの夫妻と。
©Nagomi Visit

A.楠さん そうですね。私たちのプログラムに参加してくださるゲストは、交流に積極的な方が多いと感じます。ホストがゲストに日本のことを教え、逆にゲストがホストに自分たちの国のことを伝えるという交流がホームビジットでは起こります。「○○人ってこんな感じ」という先入観やイメージが、実際に話してみると意外と違っていたとか、あるいはまったくその通りだったとか、色々な発見がゲスト側にもホスト側にもあるようです。

Q.ホストに登録される方たちの動機について教えてください。

ホームビジットを始めてから英語の成績が上がったというホストの息子さん。©Nagomi Visit

ホームビジットを始めてから英語の
成績が上がったというホストの息子さん。
©Nagomi Visit

A.楠さん 異文化交流に興味があるという方、バックパッカーとして世界を旅した経験からこのプログラムに共感したという方、英語を勉強しているので話す機会がほしいという方、また、お子さんが英語や異文化に興味を持つ環境を作ってあげたいという方や、料理が趣味で食を通して交流できるならやりたいという方もいらっしゃいます。動機は様々ですが、気軽な感じでできるならやってみようかなという方が多いです。

Q.ホストはどういった家庭の方が多いのでしょうか。

A.楠さん 年代は20代後半ぐらいから60代ぐらいまで。一番多いのは30代~40代のご夫婦やお子さんのいるご家族ですね。その他、シェアハウスの方や一人暮らしの方もいらっしゃいます。さらに、ご家族がいてもご主人やお子さんが出かける平日の昼間に一人で受入れをする主婦の方や、一人暮らしだけれどホームビジットの日はお友だちを呼んで一緒に食卓を囲むという方などもいるんですよ。
A.真田さん 今の日本で、お父さんがいて、お母さんがいて、子どもがいるという家庭が当たり前というわけではないですよね。リアルな日本を知ってもらうことがこのプログラムの目的ですから、NAGOMI VISITには、ホームビジットの受入れを楽しみたいという方なら、どなたでもご登録していただけます。

登録しているホストの家族構成。 ©Nagomi Visit

登録しているホストの家族構成。
©Nagomi Visit

Q.ホストに興味があるけれど、不安があって踏み出せないという方もいるのでは。

A.楠さん ホストにエントリーされた方とは、私たち運営チームが最初にスカイプで面談をしています。その時、色々と質問していただければ、私たち自身の経験や、他のホストの方たちはこんな感じでやっていますよ、というお話しをすることができます。また、よくいただく質問をまとめたQ&Aやホスト経験者のインタビューなどをウェブサイトにアップしているので、ぜひ見ていただきたいです。なるべくホストの実体験がリアルに伝わるよう、写真や動画などもどんどん出していきたいと思っています。
A.真田さん NAGOMI VISITは顔の見えるコミュニティであることを目指しています。私たち運営チームと直接話すこともできますし、ホスト経験者もたくさんいますので、心配しないで、とにかく一度参加してみてほしいです。

シンガポールからのゲスト二人は、「リアルな日本文化に触れた貴重な一日」とコメント。©Nagomi Visit

シンガポールからのゲスト二人は、「リアル
な日本文化に触れた貴重な一日」とコメント。
©Nagomi Visit

夕食後に近所のスーパーでグレープフルーツ用スプーンを購入。ヨーロッパでは売ってないそうです。©Nagomi Visit

夕食後に近所のスーパーで
グレープフルーツ用スプーンを購入。
ヨーロッパでは売ってないそうです。
©Nagomi Visit

Q.「英語が通じるか不安」という方に対してのサポートはありますか。

「ホームビジットを重ねていくと、英語もどんどん出てくるようになる」と、5回の受け入れをしたご夫妻。©Nagomi Visit

「ホームビジットを重ねていくと、英語もどんどん
出てくるようになる」と、5回の受け入れをしたご夫妻。
©Nagomi Visit

A.楠さん 食材やお料理の説明を英語に訳したリスト、ゲストと交流するのに役立つ簡単な会話集などを作ってホストにお渡ししています。「中学卒業程度の英語力しかないんです」と言われる方がとても多いのですが、とりあえず単語を繋げるだけでも、伝えたいことは伝わるんですよ。スマートフォンを使って、その場で単語を調べたり、画像を見せたりすることもできますし。「思っていたより自分の英語が通じた」という方は多いです。

Q.皆さん、外国人ゲストとの交流を楽しんでいらっしゃるようですね。

A.楠さん 100%の方が楽しかったと言ってくださいます。様々な国の様々な年代のゲストを迎えることになるので、何度やっても新しい発見があるようです。また、異文化を知るだけではなく、ゲストの話を聞くことでホストが日本の良さを再発見したという感想もよく聞きます。お子さんがいる家庭の方からは、「子どもが異文化に興味を持った瞬間を目の当たりにできた」という感想もいただきますね。ホームビジットを通して色々な国の人が家にやって来るようになれば、小さい頃から「見た目が違うのも普通」という感覚になっていくのではないでしょうか。グローバル人材の育成とよく言いますが、英語を話せればいいわけではないですよね。私たちは、違いがあることを認めつつ相手とうまくコミュニケーションできる人を増やしたい。そんな思いでホームビジットプログラムの運営をしています。

初めは緊張しているホストの子供達も、すぐにゲストに馴染んで積極的に英語で関わろうとするそうです。©Nagomi Visit

初めは緊張しているホストの子供達も、
すぐにゲストに馴染んで積極的に英語で関わろうとするそうです。
©Nagomi Visit

Q.今後の展望について教えていただけますか?

A.楠さん まずは、活動の規模を大きくしていきたい。それから、それぞれのホストとゲストの交流を通して生まれる発見をもっとしっかり情報として発信していきたいです。そしてもうひとつ、世界中にNAGOMI VISITのホストがいるようにしたいと考えています。私たちのプログラムに参加してくださったゲストが自分の国でホストとなり、日本でホストをしている人が海外に行くときに逆ホームビジットができるといいな、と。いつ実現できるかわからない大きな話ですが、そこを目指していきたいです。
A.真田さん 個人的なミッションになりますが、外国人に対しての固定観念を覆すというのが私の最終目標です。日本国内にもたくさんの外国人が住んでいますが、その人たちに対しての偏見や差別がなくなって、普通に"ともに働く人たち"になる日がくればいいなと思っています。それから、日本はミステリアスな国だと思われがちですが、一人ひとりは同じように悩みを持って生きていて、人間くさいところもあるんだよというのを、日本に来る人たちに知ってもらいたいですね。


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