文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

特定非営利活動法人 国際留学生協会(IFSA)~外国人留学生のための就職支援のパイオニア~

左から、事務局長の藤岡さんと就職支援情報サービス担当の神元さん。

左から、事務局長の藤岡さんと
就職支援情報サービス担当の神元さん。

5月のクローズアップは、特定非営利活動法人 国際留学生協会(IFSA)のご紹介です。
IFSAは日本に住む外国人留学生に向け、様々な情報提供や就職支援などを行っているNPO。中でも力を入れているのが、留学生のための就職支援サービスです。今でこそ留学生向けの就職フェアなどが数多く開催されるようになりましたが、留学生への就職支援はIFSAがパイオニア。今回は、事務局長の藤岡和之さんと、就職支援情報サービス担当の神元葉子さんに、外国人留学生をめぐる環境や、6月に東京、大阪で開催する合同企業説明会「IFSA外国人留学生就職フォーラム2014」について伺ってきました。

Q.国際留学生協会(IFSA)の設立の経緯を教えてください。

A.藤岡さん:IFSAが設立されたのは1989年。外国人留学生に対する支援が手薄であるという現状に対し、とりあえず何か始めようという気持ちのあるメンバーが集まって、アパートの一室に事務局を設けたのが最初です。大学を卒業したばかりの若いメンバーを中心に、任意団体としてスタートしました。私は大学時代の知り合いが代表を務めていた縁で、設立から何カ月か経ってから参加したのですが、みんな手弁当で、ほかで働きながら草の根の活動を続けていくという状況でした。若いからできたのでしょうね。今は専従スタッフを置いて運営していけるようになりました。ここまで続けてきたのは、やはりニーズがあるからにはやめられない、やめようという気持ちにはならなかったというのが正直なところです。

Q.現在、外国人留学生の数は約13万7千人。彼らはどんな理由で日本を留学先に選ぶのでしょうか。

A.藤岡さん:やはり日本が経済発展した先進国であるというのが大きいと思います。アメリカやイギリスが留学先として人気があるのはもちろんですが、アジアの中で留学するなら日本に、というところでしょう。自分の国に研究したい分野の学会がないため、最先端の研究成果に触れたいと日本に留学してくる人、母国で大学に進学したからには、「エリート」として社会貢献しなければならないという使命感を持って、さらなるスキルアップを目指して留学してくる人もいます。最近ですと、日本のアニメを見て育った人が、作品を通じて日本の文化に魅力を感じて日本を留学先に選ぶということも増えていますね。それから、日本の大手企業の世界での活躍、ブランド力というのも大きいでしょう。

Q.外国人留学生をめぐる環境について教えてください。

A.藤岡さん:世界と比べて日本が特別悪いというわけではないと思いますが、やはり日本語が一番の壁となりますね。さらに、日本ならではの慣習も多いので、日本に来て生活すること自体にいろいろとハンディがあるのです。たとえばアパートひとつ借りるにしても、保証人がいないと借りられませんし、敷金礼金も必要ですよね。早い段階で、留学先の学校や、住居、奨学金といった問題が決まればもっと留学しやすくなるケースもあると思います。そういう環境であるがゆえに、留学生には特別なサポートが必要だと思っています。

Q.外国人留学生に対してさまざまな支援をしていらっしゃいますね。

「向学新聞」の記事の一部はIFSAのHPでも閲覧できます。

「向学新聞」の記事の一部は
IFSAのHPでも閲覧できます。

A.藤岡さん:設立と同時に創刊したのが、「向学新聞」という月刊情報紙です。全国の大学、専門学校、日本語学校、留学生の寮・宿舎などに配布しています。留学生に関する報道や、留学生や外国人有識者、企業担当者へのインタビューのほか、海外で学び日本と世界で活躍した日本人の人物伝など日本文化の紹介コーナーも設けています。また、交流・学術イベントや住まい・奨学金・アルバイトといった情報を留学生に届けるメルマガの配信も行っています。そして、IFSAが最も力を入れてきた事業が、1990年から始めた留学生の就職支援です。

Q.外国人留学生の就職支援を始められたのは、サポートが手薄と感じられたからですか。

留学生のための就職情報誌。就職活動の進め方や求人情報などが満載です。

留学生のための就職情報誌。
就職活動の進め方や求人情報
などが満載です。

A.藤岡さん:そうですね。最近は「グローバル人材」として留学生が注目され、大手の就職会社なども力を入れていますが、当時は日本企業と外国人留学生との橋渡しということをやっているところがまったくなかったんです。大学の就職課に行っても「外国人向けの求人はありませんね」で終わってしまうし、日本人に混じって会社訪問に行っても試験結果で日本人の学生に勝てない。言葉の問題もありますし、日本に関する知識が日本人ほどにはないわけですから、同じ土俵で勝負しようとしても難しいのは当然ですよね。そもそも外国人を採用しようという企業もほとんどありませんでした。

Q.外国人留学生の採用が増えてきたのは最近のことなのでしょうか。

A.藤岡さん:IFSAは90年から就職支援を始めましたが、その頃は中国がこれほど経済開放しておらず、中国人留学生を採用する企業はほとんど見当たりませんでした。当時からニーズがあったのは、古くから日本の大手メーカーが工場を造り進出していた東南アジアの留学生で、ブリッジ人材や現地の幹部候補を求める企業と、タイ、マレーシア、インドネシア出身の留学生をつなげるところからスタートしました。中国人留学生のニーズが増えてきたのは、90年代の半ばくらいです。今はグローバル人材ということで、能力が高く、積極性もある外国人留学生の人気は総合的に上がってきていると思います。

Q.具体的にはどのような形で、留学生の就職支援を行っているのですか。

A.神元さん:IFSAの「就職支援情報サービス」では、会員登録をしていただいた留学生に、語学力や専攻など登録内容に合った求人情報をメールで配信しています。登録は無料で、登録者数は現在1万3000人ほど。いわゆる「新卒」の方は年間で3000~3500人になります。母国と関連する業務に就くことを希望する留学生にとって、一般的な日本人向けの就職サイトなどで自分の求める情報を得るのは難しいのが現状です。IFSAのサービスは、留学生向けでかつ自分に合った情報がダイレクトに届くというところで、多くの留学生に使っていただいているのだと思います。応募してきた学生のエントリーシートの添削や、その方にあった求人をこちらで探してアドバイスすることもあります。また、会員登録していただくと、IFSAが開催する留学生のための合同企業説明会に参加することもできます。

全国から多くの留学生が参加し、熱気あふれる外国人留学生就職フォーラム。

全国から多くの留学生が参加し、熱気あふれる外国人留学生就職フォーラム。

Q.6月にも合同企業説明会「IFSA外国人留学生就職フォーラム2014」が開催されますね。

IFSA外国人留学生就職フォーラム

A.神元さん:合同企業説明会は、東京と大阪で年に4~6回程度開催しています。参加企業は毎回25社前後ですが、今年2月の説明会には31社にご参加いただきました。全国から600~700人の留学生が集まります。6月というと、一般的には日本人の学生の就職活動は終わりに近づいている時期だと思いますが、留学生の就職活動の開始時期にはばらつきがあり、毎年この6月のフォーラムの直前に就職活動を始めたという方もいます。また、この時期は日本人の学生と同じ流れではなく「留学生」に特化して採用したいという企業の参加が増える傾向もあるので、留学生にとっても企業側にとっても、やりやすい時期かもしれませんね。

Q.日本で働きたいと希望する留学生は増えているのでしょうか。

就職フォーラムでは多くの留学生が就職のチャンスをつかんでいる。

就職フォーラムでは多くの留学生が
就職のチャンスをつかんでいる。

A.神元さん:今年2月に開催した合同企業説明会で行ったアンケート調査のデータを見ると、日本で何年働きたいかという質問に対して、「永住を希望」と答えた外国人留学生が30.2%で最多となっています。続いて「6~10年」が18.3%、「3~5年」が18%で、より長期間日本で働くことを希望する留学生が増えてきていると思います。

Q.外国人留学生と接していて、どんなことを感じられますか。

A.藤岡さん:バイタリティやメンタリティの強さ、積極性や主体性、自分が結果を出す、自分が切り開くという気力は、相対的に見てやはり日本人より強いのかなというところはありますね。少なくとも母国と日本というふたつの国を知っているので、ものの見方や発想がよりボーダレスだとも思います。日本自体のグローバル化のためにも留学生の存在というのは欠かせないのではないでしょうか。

「留学生には日本の文化も伝えたい」と藤岡さん(左)。
「留学生のパワーに刺激を受けています」と神元さん(右)。

A.神元さん:ちょうど今、就職活動をしているベトナムからの留学生の話なのですが、「ぜひこの会社に入りたい」と、これまで自分が学んできたことや、どれだけその会社に貢献できるかということを切々と訴えてきた方がいて、そのパワーに圧倒されました。自分の経験や能力を生かせる会社や、自分にしかできない仕事を求めて熱心に問い合わせてくる留学生は多く、毎回こちらも刺激を受けています。

Q.外国人留学生と日本人に向け、メッセージをお願いします。

A.藤岡さん:日本を留学先に選んでくれた外国人留学生には、日本の技術だけではなく、日本人の精神性や文化も合わせて学んでもらいたいと思っています。東日本大震災の際に被災者の方々の行動が、世界の人たちに驚きを持って受け止められ、称賛されたことがありました。日本人には、そういった日本の良い部分を外国の人たちにもっと知ってもらえるよう、自分たちのアイデンティティとして、誇りを持ってアピールしていってほしいです。


【ルビ入りクローズアップ】のボタンを押しますと自動的にルビが入ったPDFデータがダウンロードされますので、デスクトップなどに保存してください。なお『Acrobat Reader』が入っていない方は、こちらをクリックしてください。