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エイズ孤児支援 NGO・PLAS
~エイズ孤児が笑顔でいられる社会を目指して~

事務局長の小島美緒さん。世界エイズデーに合わせて作成したブックレットを手に

事務局長の小島美緒さん。
世界エイズデーに合わせて作成したブックレットを手に

12月のクローズアップは、エイズ孤児支援 NGO・PLAS(プラス)です。
プラスは、2005年12月に、日本で初めてエイズ孤児の問題に特化した国際協力NGOとして設立されました。以来、ウガンダ共和国、ケニア共和国の2ヶ国で現地の団体とともに、エイズ孤児の教育支援やエイズ啓発、母子感染予防といった活動に取り組んでいます。毎年12月1日は、世界保健機関(WHO)によって定められた「世界エイズデー」。今回は、事務局長の小島美緒さんにプラスの活動内容について伺うとともに、世界エイズデーに合わせてプラスが実施しているキャンペーンのお話なども聞かせていただきました。

プラスの設立の経緯について教えてください。


A.プラスは、2005年12月に当時学生だった7名によって設立されました。きっかけは、設立メンバーの中のひとりがボランティアとしてウガンダを訪れた際に、エイズ孤児が学校に通わせてもらえず、家庭内でも差別を受けている姿を見て衝撃を受けたことでした。彼は日本に帰国後、そのとき所属していたNPOのメーリングリストに「エイズやエイズ孤児について話をしませんか?」と投げかけました。それに応えて集まったのが、同じように途上国でエイズ孤児や貧困の問題を目の当たりにしてきた若者たちで、その中の7名が設立メンバーとなって立ち上げた団体がプラスです。


まずはどのような活動から始められたのですか。

A.エイズ孤児の多く暮らすウガンダのスラム地域で、学校運営に関するアドバイスなどの教育支援や地域でのエイズ啓発活動を行うことから始めました。当会のミッションは「HIV/エイズによって影響を受ける子どもたちが笑顔でいられる社会を実現する」ことです。そのためにはお金やものを送るのではなく、現地の人たちと一緒に地域を変えていき、プラスがいなくなった後もその地域が自立して子どもたちを支えていける基盤作りをすることが必要だと考えています。

エイズ孤児支援NGO・PLAS

©エイズ孤児支援NGO・PLAS

現地のエイズ孤児たちの状況について教えてください。


エイズ孤児支援NGO・PLAS

©エイズ孤児支援NGO・PLAS

A.HIV/エイズに対する正しい知識がまだまだ広まっていないため、エイズで親を失って孤児となった子どもたちに対して「呪われた子どもたち」というようなレッテルを貼ってしまったり、エイズ孤児の引き取り先で子どもが来てから農作物が売れなくなったり、エイズ孤児は将来長く生きられないから学校に行かなくていいと言われたりといった、偏見による差別が地域によってはまだ根強く残っているようです。

これまで行ってきた活動の成果を教えてください。

A.エイズ孤児への教育支援活動については、ウガンダとケニアでエイズ孤児が多く通う小学校の支援をしていてきて、これまで実施してきたすべての事業を通して就学できるようになった子どもは300名を超えています。またエイズ啓発活動については、現在ケニアで母子感染予防事業を行っており、啓発リーダーと呼ばれる現地のボランティアの育成を通して、累計で1万人近くの地域住民に啓発活動を提供してきました。

啓発リーダーはどのような人たちが務めているのですか。

A.20代から年配の方まで、年齢も幅広いですし、職業もさまざまです。学校の先生や保健の知識を持っている人もいれば、バイクの運転手や農業をやっているという人もいます。共通しているのは、HIV/エイズの知識が豊富にあるわけではないけれど、自分たちが立ち上がることで地域を少しでもよくしていきたいという思いのある人たちだということです。プラスが直接啓発活動をしてしまうと、HIV/エイズの正しい知識を自分たちで身に付けて広めていこうという地域の人たちのモチベーションをそいでしまうこともあるので、なるべく私たちは陰で支えるというスタンスで行っています。

エイズ孤児支援NGO・PLAS

©エイズ孤児支援NGO・PLAS

母子感染予防の啓発で気をつけているのはどのようなことですか。


エイズ孤児支援NGO・PLAS

©エイズ孤児支援NGO・PLAS

A.母子感染の予防については、当事者であるお母さんに伝えるということももちろん大切なことですが、お母さんを取り巻く家族、特に男性の配偶者ですとか、地域住民全体に知識が広まって、初めて成果が出るのではないかと考えています。たとえば、女性が出産前にHIV/エイズの検査を受けたいと思っても、病院に行くだけでHIVに感染していると周りから疑われるので「そういった恥ずべきことはやめてほしい」と止める配偶者がいたり、やはり伝統的に「自宅で出産してほしい」という声も多く、まだまだ浸透させるには努力が必要かなという状況です。そこで、男性が多く参加する会議で啓発活動を実施するといったアプローチも行っています。

啓発活動は日本国内でも行っているそうですね。

A.日本のみなさんに、アフリカのエイズ孤児が直面する課題を知っていただき、日本からでも問題を解決する手段があることを伝えようと、さまざまなイベントやキャンペーンを行っています。2009年の時点でエイズ孤児は全世界に1,660万人いると言われていますが、これは東京都の人口よりはるかに多い数字です。また、HIV陽性のお母さんから生まれる赤ちゃんの約30%が生まれながらにしてHIVに感染しており、そのうちの約半数が2歳の誕生日を迎えることができません。エイズ孤児という存在自体を知らない方も多く、こういった事実を初めて知ると衝撃を受けられるようですね。

エイズ孤児支援NGO・PLAS

©エイズ孤児支援NGO・PLAS

今まさに「世界エイズデーキャンペーン2012」を展開されていますね。


エイズ孤児支援NGO・PLAS

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A.プラスでは、世界エイズデーに合わせて11月1日から12月25日まで世界エイズデーキャンペーンを実施しています。チャリティパーティー、チャリティオークション、ブックレット、寄付付き商品など様々な企画を通して、気軽にキャンペーンに参加していただくことができます。今回1万部発行する無料のブックレット『エイズ孤児って知っていますか?』は、イデアインターナショナルの直営ショップ、THE BODY SHOPで配布するほか、サイトからダウンロードしていただくことも可能です。エイズ孤児の子どもたちが直面する問題、母子感染の現状などを紹介しており、ブックレットを通して一人でも多くの方にエイズ孤児について知っていただきたいと思っています。
「世界エイズデーキャンペーン特設サイト」
http://www.plas-aids.org/wad2012

そのほかに私たちが支援に協力できることはありますか?

A.身近なところからできる支援としては、本を送るだけで気軽に寄付できる「プラスのチャリボン」というものがあります。これは、読み終わった本のリユースを活用して、買い取り相当額がプラスに寄付されるというシステムです。たとえば、査定金額が1冊50円だったとすると、1冊の古本で4人のお母さんにHIV母子感染についての予防教育を提供することができます。多くの方に参加していただくことで、より多くの活動を行っていくことができますので、是非参加していただければと思っています。5冊から着払いでお送りいただくことが可能です。
「プラスのチャリボン」
http://www.plas-aids.org/support/charibon

エイズ孤児支援NGO・PLAS

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さらに一歩進んで積極的に寄付をしたい人におすすめの方法はありますか。

A.11月1日から12月25日まで、世界エイズデーキャンペーンと同時併行で行っている「エイズ孤児を学校へ」という寄付キャンペーンがあります。ウガンダでエイズ孤児の支援を行っている現地の団体と連携し、養鶏事業を通じて生まれた収益をエイズ孤児の就学支援に充てるというキャンペーンです。目標額は134万2,000円で、達成率を特設ページで見ていただくことができるようになっていますが、ご覧のとおり、現時点ではまだまだ遠い道のりといったところです。また、継続的にご支援いただけるマンスリーサポーターというシステムもありますので、その方に合った形でプラスの活動を応援していただけたら嬉しいです。
「エイズ孤児を学校へ」
http://www.plas-aids.org/support/donation

プラスのイベントに参加することも支援につながるのでしょうか


エイズ孤児支援NGO・PLAS

©エイズ孤児支援NGO・PLAS

A.もちろんです。イベントでは参加費を頂戴していますので、それが支援につながるということもありますし、何か新しいことを知っていただくだけでもいいのではないかと思います。プラスでは今、月に1~2回、トークイベントやセミナー型イベントを実施していて、12月にも2つのイベントが予定されています。12月12日(水)には、プラスが得意とするソーシャルメディアやデータベースの活用方法を考えるセミナー型のイベントを、12月14日(金)には、私が登壇して、アフリカの現場を支えるプラスの国内事業のご紹介や、日本からできる国際協力などについてお話しするトークイベントを開催しますので、興味を持たれた方は、プラスのサイトをチェックしてみてください。

ボランティアは受け付けていますか。

A.ウェブサイトの人材募集ページからボランティア登録ができるようになっています。こちらにご登録いただくと、事務作業が発生したり、イベントで人手が必要になったときに、プラスからご連絡がいくようになります。デザイナーやコピーライターなど専門的なスキルをお持ちの方は、プロボノとしてご登録ください。また、日本事務局では現在6名のインターンが活動していますが、まだまだ足りないので、学生の方は是非インターンに応募していただきたいです。

エイズ孤児支援NGO・PLAS

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最後に読者に向けてメッセージをお願いします。


A.エイズ孤児の問題というと、どうしても遠い問題と受け止められがちですが、ひとりの子どもが自分の価値を自分自身で認め、また周りの人たちにも認めてもらって生きていけるかどうかの問題だと考えれば、「アフリカだから」「日本だから」ということに関係なく大切なことだと感じていただけるのではないでしょうか。アフリカと日本は距離は遠く離れていますが、日本から身近に関われることはたくさんあります。「何かやりたい」と思う方がいたら、一緒にこの問題に取り組んでいけたら嬉しいなと思っています。



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