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特定非営利活動法人TOKYO FREE GUIDE ボランティアガイドを通じて外国人観光客にリアルな日本を楽しんでもらいたい!

理事長の川本佐奈恵さん(右)理事の篠﨑由美さん(左)。

理事長の川本佐奈恵さん(右)
理事の篠﨑由美さん(左)。

11月のクローズアップは、特定非営利活動法人TOKYO FREE GUIDEです。
TOKYO FREE GUIDE(TFG)は、日本を訪れる外国人旅行者一人ひとりのニーズに合わせ、自由なプランで東京を案内する観光ボランティアガイドグループ。ガイドを通じて日本の文化や日本に暮らす人々をより深く知ってもらう機会を作り、外国人観光客(ゲスト)に日本での滞在を最大限楽しんでもらおうと、ボランティアでのガイド活動を行っています。今回は、理事長の川本佐奈恵さん、理事の篠﨑由美さんのお二人に、TEGの活動やボランティアガイドの魅力についてお話を伺ってきました。

TOKYO FREE GUIDE設立の経緯について教えてください。


A.■川本さん:外国に旅行に行くと、「プロのガイドまでは必要ないのだけれど、ちょっと案内してくれる現地の人がいたらいいのに」と思うことがありませんか?あるいは、逆に外国のお友達が日本に来たときに、「自分は仕事があって時間が取れないのだけれど、誰か代わりに案内してくれる人がいたらいいな」と思ったことはありませんか?TOKYO FREE GUIDE(TFG)設立の背景には、こんな2つの思いがあったそうです。最初は創設者とその友人数名で活動を始めたグループがだんだん大きくなり、2010年12月にNPO法人化し、現在に至っています。


アメリカからのご夫妻と浅草 フランスからのゲストと新宿御苑

アメリカからのご夫妻と浅草

フランスからのゲストと新宿御苑

©TOKYO FREE GUIDE

いま何カ国語に対応していますか。また、どこの国からのゲストが多いですか。

A.■篠崎さん:ガイドの対応言語は、英語、スペイン語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、韓国語、中国語の7カ国語ですが、圧倒的にガイドの数が多いのは英語です。この夏に、スペイン語のガイドを増やそうと募集をかけました。ガイドの登録数は、現在300名近くになっています。
■川本さん:これまでに約70の国と地域からいらしたゲストがTFGを利用してくださっています。みなさん個人旅行でいらっしゃる方たちですが、TFGのサイトが英語なので、ゲストも英語圏の方、もしくは英語の情報にアクセスできる国の方が多いですね。次に多いのがスペイン語圏の国の方々です。国で言うと、アメリカ、オーストラリア、カナダ、イギリス、スペイン、あとはイスラエルからのゲストも最近増えています。

どのようなガイドの依頼が多いですか。


ミャンマーからのゲストと鎌倉へ

ミャンマーからのゲストと鎌倉へ
©TOKYO FREE GUIDE

A.■川本さん:大きくふたつに分かれます。まずひとつは、ガイドブックに載っている定番の観光ルート、浅草、原宿、新宿などに行ってみたいけれど、一人で回るのは不安だから案内してくださいという依頼。もうひとつは、東京に何回も来ていて、メジャーな所は自分たちで回れるから、自分たちでは行けない所、ガイドブックに載っていないような所に連れて行ってほしい、という依頼です。

何か変わった依頼を受けた経験はありますか。

A.■篠崎さん:スイスから来るゲストのガイドを引き受けたときのことです。来日前にメールのやりとりをしていたら、「自分は青少年の心理学者なので、ぜひ日本の学校に行ってみたい。できれば授業にも参加したい」とリクエストされまして。ちょうど娘が公立の中学校に通っていたので、ゲストの強い想いを学校関係者に伝えたところ、許可を頂くことができました。
■川本さん:消防士さんから、日本の消防署を見学したいとリクエストされたこともあります。そのときも担当のガイドが都内の消防署にコンタクトを取ってみたら、「どうぞいらしてください」と快く迎えてくださったそうです。こうした特別なリクエストについても、TFGのガイドたちはすべて自分で交渉して道を作っています。

アメリカからのご家族とお花見

アメリカからのご家族とお花見
©TOKYO FREE GUIDE

日本の文化や生活を体験してみたいという依頼もありますか。


アメリカからのゲスト打ち掛け体験

アメリカからのゲスト打ち掛け体験
©TOKYO FREE GUIDE

A.■川本さん:茶道を体験したいというリクエストはよくありますね。ホテルなどでも提供していますが、TFGのガイドの中にお茶の先生がいるので、そこのおうちに連れて行ったり、自分のお友達が習っているお茶の先生のところに連れて行くガイドもいます。あとは、ガイドが自宅に呼んで一緒に天ぷら作ったりですとか、できるだけいろいろなリクエストにお応えできるようにしています。
■篠崎さん:ファミリーレストランや100円ショップ、ごく普通のスーパーマーケットなどに連れて行くこともあります。みなさん、とても喜びますよ。観光地ではない所に行くことをすごく楽しんでいらっしゃいますね。「自分たちでは来られなかった。有難う」と言われることが多いです。

ゲストたちはリアルな日本人と触れ合いたいということでしょうか。

A.■川本さん:その通りです。私たちも海外に行ったら、ツアーじゃなくてちょっと変わったことをしてみたいし、現地の人とお話してみたいですよね。TFGは、まさしくそれを実現しているんです。
■篠崎さん:先日、お孫さんのために洋服を買いたいという方がいらっしゃったので、渋谷の109に連れて行ってあげたんです。「これがはやっているのよ」なんて話をしながらお買い物のお手伝いをしました。こちらも自分のお友達が来たと思って案内している感覚ですね。

アメリカからのファミリーでのゲスト~浴衣を初体験~ アメリカからのゲスト~茶道初体験~

アメリカからのファミリーでのゲスト
~浴衣を初体験~

アメリカからのゲスト
~茶道初体験~

©TOKYO FREE GUIDE

ゲストとガイドの組み合わせはどのように決められるのですか。

A.■川本さん:ゲストがTFGのサイトに登録したリクエストを見て、ガイドの側が「この人のガイド、私がやります」と手を上げるんです。それから日本に来るまでにたくさんメールのやりとりをしますので、その間に信頼関係が生まれますし、会う時にはもうお友達関係ですよね。
■篠崎さん:年齢や家族構成などを見て、この人は自分に合いそうだなという人を選ぶわけですから、元々お友達になりやすいんですよね。もちろん相手は人間ですから、予定通りにいかないことは多々あります。リクエストを元にルートを考えておいても、会った途端に「実は昨日、全部見ちゃいました」なんてことも。でも、そんなときも臨機応変に対応します。お友達とカレーを食べる約束をしていたとして、「ごめん、昨日食べちゃった」と言われたら、「じゃあ、今日はおそばにしようか」となりますよね。それと同じです。

イスラエルからのゲスト

イスラエルからのゲスト
©TOKYO FREE GUIDE

ガイドというよりフレンドのようですね。


カナダからのゲストを神社へご案内

カナダからのゲストを神社へご案内
©TOKYO FREE GUIDE

A.■川本さん:それは、ボランティアによる活動だからでしょうね。一人のお友達として接しようとする。それに団体に対してのサービスではなく、個人対個人のガイドになりますから、より親しい関係が生まれてくるのだと思います。仲良くなると、「今度はうちに泊まりにおいで」と言ってくださるゲストの方もたくさんいらっしゃいます。世界中のお友達の間を泊まり歩いているガイドもいるんですよ。

ボランティアガイドの魅力とはなんでしょうか。


A.■川本さん:いろいろな外国人の方と会えるということはもちろんですが、自分と同じ気持ちを持ったボランティア精神旺盛な日本人の方たちと出会えることも魅力のひとつですね。あとは、ガイドを始めてから日本の良さに改めて気付かされました。外国から来たゲストの第一声は、たいてい「日本はクリーンだ」なんですよ。私たちからすれば「このレベルで?」と思いますけれども。
■篠崎さん:日本のサービスの質の良さにもみなさん驚かれますよ。どこへ行っても、チップも払わずに五つ星のサービスを受けられると。どこのお店でも「贈り物です」と言うときれいにラッピングしてくれるのに、みなさん感動されますね。ガイドをやっていると日本の良さを再発見させられますし、世界中にお友達ができますし、人生が豊かになるんじゃないでしょうか。

ガイドに求められる能力について教えてください。

A.■川本さん:メールのやりとりをして、一人でお迎えに行って自己紹介をして、まる一日外国語で案内できるだけの語学力があればOKです。一番大事なのは、ゲストの方に日本を楽しんでいただきたいという気持ちがあるかどうかだと思います。
■篠崎さん:フレンドリーであること、ホスピタリティとフレキシビリティがあることが大切なんじゃないでしょうか。ホスピタリティがあれば、語学力は後からついてくると思いますね。

カナダからのゲストと

カナダからのゲストと
©TOKYO FREE GUIDE

日本の歴史や文化についての専門知識は必要ですか。


A.■篠崎さん:私たちはプロではありませんから、わからないことがあったら訊けばいいんですよ。お寺や神社の方に説明してもらってそれを通訳したり、立札があればそれを読んで訳してあげればいいんです。後からネットで調べてメールするというのもありだと思います。

今後どのように活動を展開されていきたいと思われていますか。


スペインからのゲスト

スペインからのゲスト
©TOKYO FREE GUIDE

A.■川本さん: なるべく多くの方のリクエストに応えられるようにしていきたいですね。今、リクエストの数の方が圧倒的に多くて、対応しきれていないんです。ガイドの登録数が300名近いといっても、その中でアクティブに活動している人というとやはり限られます。ガイドの活動率をどのようにして上げていくかが今後の課題ですね。新しいガイドも募集していくと思いますが、できるだけたくさん活動できる方、そして、語学が目的ではないということをご理解いただける方に入っていただきたいです。TFGでガイドをやれば日本にいながらにして世界が感じられますし、語学を使う場にもなります。ですが、決して自分たちの練習台にはしてほしくないんです。自分のためではなくゲストのために活動できる方、そこは強調していきたいですね。これからも、ゲストの方たちに日本の良さを楽しんでいただきたい。それが一番です。



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