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公益財団法人プラン・ジャパン すべての女の子たちが夢を持てる世界をめざして!

コミュニケーション部広報担当の後藤亮さん。

コミュニケーション部広報担当の後藤亮さん。

10月のクローズアップは、公益財団法人プラン・ジャパンです。
75年の歴史を持つ国際協力NGOプランの特徴は、子どもたちを中心においた地域開発。アジア・アフリカ・中南米などの50カ国で、途上国の子どもたちとともに、彼らが住む地域が「自立」できるよう、さまざまな地域開発プロジェクトを行っています。そのプランが2007年から展開しているのが、より社会の底辺に置かれることの多い途上国の女の子たちを支援するBecause I am a Girlキャンペーン。そして、このキャンペーンの一環としてプランが国連に制定を働きかけてきた「国際ガールズ・デー」が、いよいよ今年の10月11日からスタートします。今回は、世田谷区にあるプラン・ジャパンの事務所を訪ね、コミュニケーション部広報担当の後藤亮さんにお話を伺ってきました。

プランが女の子にフォーカスしたキャンペーンを始めたきっかけを教えてください。


A.現在プラン国際本部の副本部長を務めるティプケ・バーグスマが、ドイツのジャーナリストを連れて、プランが支援活動を行っているネパールのある村を訪問したときのことです。村の住民たちが木の下で輪になってプロジェクトについて話している様子を見ていたジャーナリストがふと顔を上げると、遠くから彼らをじっと見ている女の子の姿が目に入りました。その女の子は粗末な服を着てやせ細り、寒い季節でもないのに震えていたそうです。ところが彼女の家を訪ねてみると、そこにはきちんとした制服を着て健康そうに育っている男の子がいて、二人はきょうだいとのことでした。驚いた一行が「同じ家のきょうだいでこんなに差があるのはどうしてですか?」と尋ねると、母親はこう答えたそうです。「あの子は女の子だから(Because she is a Girl)」と。

とてもショッキングな言葉ですね。

A.プランでは、ずっと子どもの権利を中心に支援を行ってきました。しかし、国や地域によっては男の子と女の子の扱いが異なり、「女の子だから」という理由でさまざまな支援を受けられないという現実を目の当たりにしたことは、非常に大きな衝撃でした。それから2年ほどかけて女の子の状況についてリサーチを行ったところ、世界で7500万人の女の子が学校に行くことができず、3人に1人が中等教育を受けられない状態にある、といったことがわかってきたのです。教育を受けられなければ、将来自立していく上で大きな困難が伴います。そこで、女の子がどこの国にいても、初等教育、中等教育をきちんと受けられるような制度づくりを国際社会に訴えかけようということで始めたのが、「Because I am a Girl」というキャンペーンなのです。

「Because I am a Girl」のパネルが飾られたオフィスの入り口。

「Because I am a Girl」のパネルが
飾られた オフィスの入り口。

女の子が教育を受けられるようになると、世界はどう変わっていくのですか。


ベナンでのRaise Your Hand プラン・ジャパン

ベナンでのRaise Your Hand
©プラン・ジャパン

A.女の子がきちんと教育を受け、なりたい自分を追及しながらしっかりと稼げるような社会を作ることは、世界の貧困問題を解決する上で大きな力になると統計上からも証明されています。子育てをするということもあって、女性は稼いだお金を家庭にしっかりと持ち帰り、必要なものに使う傾向が強いです。また、そういう女性たちは地域をよくするための活動に関わろうという意識も高く、それは、やがてその国全体を良くしていくことになります。マイクロファイナンスなどでも、参加者は圧倒的に女性が多いのです。女性が稼ぐことは、家庭や地域への再投資を促すことにつながります。さらに中等教育を1年長く受ければ、その人の所得は15~20%向上し、経済的な効果がより大きくあらわれるというデータもあります。

女の子が教育を受けているかどうかが、子どもの死亡率とも関わってくるそうですね。

A.学校に行かせてもらえない女の子たちは、その時間に弟や妹の面倒を見て家事労働をし、ある程度大きくなったら結婚させられてしまいます。身体が幼く、保健や子育ての知識がないまま妊娠・出産するわけですから、どうしても生まれてくる子どもの死亡率が高くなってしまうのです。しかし、初等教育でもいいので1年教育を受けることができれば、その女性が生む子どもの死亡率は低くなると言われています。さらに、教育を受ける中で女の子が自分の権利について学んでいけば、強制的に結婚させられそうになったり不当な児童労働を強いられたときに、声を発して抵抗することができるようになります。自分を守っていくためにも、地域の中で新しい女性の生き方を根付かせていくためにも、女の子が教育を受けることは非常に重要なのです。

プラン・ジャパン

ニジェールでの国際ガールズデーアピール
©プラン・ジャパン

今年から始まる「国際ガールズ・デー」について教えてください。


A.プランはBecause I am a Girlキャンペーンを展開していく中で、国連に国際ガールズ・デー制定の働きかけを積極的に行ってきました。国際社会の中で意識を高め、ムーブメントを起こしていくためにも、国連の記念日として制定することが必要だと考えていたからです。そして、昨年の12月に開催された国連総会で、10月11日を「国際ガールズ・デー」とすることが決まりました。今年の10月11日が第1回目のガールズ・デーとなります。国連の記念日としては、すでに「世界子どもの日」や「国際女性デー」などがありますが、女の子をテーマとした記念日はこれが初めてです。

初の国際ガールズ・デーを記念するイベントが開かれるそうですね。


プラン・ジャパン

バングラデシュでのRaise Your Hand
©プラン・ジャパン

A.10月8日に、「Girl's Impact ~ガールが世界を変える~」というイベントを、渋谷の国連大学で開催します。イベントは二部構成で、第一部では、女の子たちの先輩として活躍する国連広報センター所長の山下真理さん、そしてプランからは、国際本部副本部長とプラン・インドのエグゼクティブ・ディレクターが登場し、ガールズ・デー制定までの道のりと途上国の女の子たちの現状についてお話します。さらにガールスカウト日本連盟の女の子たちが、日本の女の子たちを取り巻く環境について発表する予定です。 第二部では貧困をなくすために立ち上がる世界同時アクション「STAND UP TAKE ACTION」が行われます。

「ガールが世界を変える」というコピーは、とてもインパクトがありますね。

A.「ガールが世界を変える」というのは、単なるキャッチコピーではありません。女の子がきちんと教育を受け、夢を持って社会に出て行くことで世界が変わっていくというのは、いろいろな統計から見ても現実的なことです。途上国では夢を見ることすら知らない女の子たちがたくさんいます。教育の機会がないということは、「将来、こんなことをやってみたい、あんなことをやってみたい。」と夢見るような情報を得る機会がないということなのです。「教育によって女の子たちの可能性を引き出せるのだ」というビジョンを、みんなで共有できればと思っています。

「国際ガールズ・デー」記念イベント
http://www.plan-japan.org/girl/news/120829.html


プランでは、女の子たちを応援する新たなアクションも始められたとか。

A.2012年9月からスタートした「Raise Your Hand ~世界の女の子のために手を上げよう!~」は、世界の女の子が学校教育を受けられるように応援する世界規模のアクションです。世界中の女の子たちが学校の教室で元気よく手を上げられる社会の実現を願う方は、賛同の意思表示として、手を上げた写真を撮ってプラン・ジャパンのサイトに投稿してください。集まった写真はWEBなどで紹介されるほか、「すべての女の子に教育を」という提言として国連事務総長や世界の各支援機関に送られます。プラン全体では400万人、プラン・ジャパンでは14万人の参加者を集めることを目標にしています。募集期間は、2013年6月30日までです。


プラン・ジャパン

フランスでのRaise Your Hand©プラン・ジャパン

簡単に参加の方法を教えてください。


A.まず、「Raise Your Hand」のサイトから、メッセージボードをダウンロードしてください。ボードには女性版と男性版があり、女性版には「Because I am a Girl」、男性版には「Because I am a …… of a Girl」と書かれているので、この後につづけて、女性は同じ女の子・女性としての世界の女の子たちへの思いを、男性は自分が女の子にとってどんな存在としてどのように女の子たちを応援していきたいかなどを書き込み、そのメッセージボードを持って手を上げ、撮影した写真を投稿してください。メッセージを考えるのが難しかったら、ただ手を上げて写真を撮るだけでかまいません。Facebookでクリックするだけで手軽に参加できる「Raise Your Hand」も行っていますが、できれば写真を撮って送っていただきたいですね。実際にアクションを起こすことで生まれる意識の変化というのが必ずあると思います。

「Raise Your Hand ~世界の女の子のために手を上げよう!~」
http://www.plan-japan.org/girl/special/ryh/


メッセージボード 募金箱

女の子たちを応援するためのメッセージボードと募金箱


最後に読者へのメッセージをお願いします。

A.国際協力というと敷居を高く感じてしまうことがあるかもしれませんが、まずは問題の存在を知り、できる範囲で何かやってみるということが大事なのではないかと思います。Raise Your Handで手を上げて写真を撮るようなところから参加して、「途上国の女の子が学校でいきいきと生活できたら」という願いを共有していただけたらうれしいです。そして、ご家族やお友達など周囲の人たちに趣旨を伝え、一緒に写真を撮ってもらえたら本当にありがたいですね。世界には「女の子だから」という理由で学校に行けない子どもたちがいるんだということを、まず日本の同じような年代の女の子たちの意識の片隅に置いてもらうだけでも、世界が変わっていくきっかけになると思います。



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