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特定非営利活動法人 フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

8月のクローズアップは、特定非営利活動法人 エコ・リーグです。
1994年に設立されたエコ・リーグは、全国各地で環境活動を行う若者たちをつなぐ環境NGO。持続可能な社会の実現を目指して、若者主体の環境活動の活性化に取り組み続け、2012年2月にはNPO法人化を果たしました。今回、取材にご対応くださったのは、現在、副事務局長を務める福島宏希さん。6月にブラジルのリオデジャネイロで開かれた「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)から帰国されたばかりの福島さんに、エコ・リーグの活動内容やリオ+20の感想などを伺ってきました。

副事務局長の福島宏希さん。
<br />新宿区の事務所前にて

副事務局長の福島宏希さん。
新宿区の事務所前にて。

エコ・リーグの設立の経緯について教えてください。


A.1992年にリオデジャネイロで「地球サミット」(国連環境開発会議)が開催されるのに先立ち、若者の声を集めて届けようというキャンペーンが日本を含む世界約50カ国で展開されました。この頃から学生などによる環境活動が生まれ、環境活動を行う若者のネットワークを構築する団体が必要なのではという話が出てきました。そして1994年に設立されたのが、「全国青年環境連盟」(通称エコ・リーグ)です。当初はその名のとおり、若者の環境団体が加盟する連合体でしたが、2000年から環境に意識のある若者個人が集まって作る組織へと在り方を変えました。若者のネットワークを拡大し、若者による環境活動を活性化していくという団体の趣旨は、設立以来変わっていません。

エコ・リーグのおもな活動内容について教えてください。


A.「ネットワークの活性化」「人材育成」「社会への発信」の3つを活動の柱としています。もともとネットワーク構築のために作られた団体なので、現在も活動の一番の基盤としているのは「ネットワークの活性化」です。その中でも中心的な事業が「ギャザリング」という合宿型の環境イベント。環境問題に関心のある大学生や若手の社会人、高校生などが集まり、活動の報告をし合ったり、課題をぶつけ合ったり、環境問題に関する勉強会なども行われます。年に一度開催される4泊5日の全国ギャザリングには、毎年200名を超える参加者が集まります。また、関東、関西、東北などの各地域でも定期的に開催されています。

全国ギャザリング 全国ギャザリング

全国ギャザリングの会場にて©エコ・リーグ

合宿型のイベントへの参加はハードルが高いという人もいるかと思います。


A.エコ・リーグでは、日帰りで気軽に参加できる「エコ情報交流会」(東京)・「econnect(エコネクト)」(大阪)というイベントも開催しています。これから環境活動を始めたいという人が、どういう団体があって、どのような活動ができるのかといった情報を得ることができる交流イベントです。また、東京と関西の事務所で、ゆったりと少人数で環境について語り合う「エコ・リーグカフェ」を開催しています。とてもラフなものなので、気軽に参加していただければと思います。

「人材育成」ではどのような事業を行っているのでしょうか。


A.まず「環境」就職・進路相談会を関東と関西で開催しています。関東では、エコプロダクツ展という環境展示会の会場で行っているのですが、毎年300名ぐらいの学生が集まります。そして、いろいろな立場で環境の仕事に携わっている社会人50名ぐらいにカウンセラーとして参加してもらい、働いている企業や行政、団体の代表としてではなく、一個人として、なぜその仕事を選んだのか、仕事の現状はどうであるのかといったリアルな話を学生たちに伝えてもらっています。またエコ・リーグでは、様々な活動を行っていく上で求められるスキルを学ぶ「スキルアップセミナー」も開催しています。組織マネジメントやファシリテーションといったテーマごとに、20代~40代くらいのなるべく近い目線で話をしてくれる人に講師をお願いしています。

「環境」就職・進路相談会 「環境」就職・進路相談会

「環境」就職・進路相談会 ©エコ・リーグ

「社会への発信」ではどのような事業を行っているのでしょうか。


CCCのアンケート結果をまとめた冊子。

CCCのアンケート結果をまとめた冊子。

A.これまでエコ・リーグが培ってきたネットワークやイベント運営のノウハウなどを活かして環境問題に切り込んでいこうと、いくつかの取組を行っています。まずひとつ、学生から大学の気候変動対策を促進させようという取組、「Campus Climate Challenge」(CCC)があります。全国750の大学法人すべてにアンケートを送り、各大学がどれぐらい環境負荷をかけているのか、どのような温暖化防止対策を行っているのかなどの調査を行い、回答のあった中から上位の大学を「エコ大学ランキング」として発表するものです。アンケート調査をベースにした「全国エコ大学白書」の作成も学生たちが行っています。それぞれの着眼点で地道に努力をしている大学がこの調査によって浮かび上がってくるのが面白いですね。全体的に、温暖化に対する取組を前向きに行おうとしている大学が増えてきていると感じています

そのほかに「社会への発信」として行われている事業についても教えてください。

A.金属資源にまつわる様々な問題に取り組む「Resources & 3R Revolution」というプロジェクトでは、パナソニック株式会社にご支援いただきながら、「紛争鉱物」についての中学生向けの教材作りに取り組んできました。例えばアフリカのコンゴでは、鉱山を武装勢力が支配し、採掘されたレアメタルを売って得たお金で武器を買っています。しかし、携帯電話などに使われているレアメタルが紛争の資金源になっているという問題を日本の若い人たちはほとんど知りません。ぜひこの教材を使って、多くの中学校で出張授業をやらせていただきたいと思っています。そのほか、共催事業として、「全国大学生環境活動コンテスト」(ecocon)も行っています。

中学生向けの「紛争鉱物」の教材について 説明してくださる福島さん

中学生向けの「紛争鉱物」の教材について
説明してくださる福島さん

国際的な活動も積極的に行われているようですね。


A.国連環境計画(UNEP)が「TUNZA」というユース向けの戦略プログラムを行っているのですが、ここから派生した地域ネットワークのひとつTUNZA-NEAYEN(北東アジア青年環境ネットワーク)で、エコ・リーグは日本の窓口団体を務めています。NEAYENは中国・日本・韓国・モンゴルの4カ国で構成され、年に1度、各国の若者たちが集まる会議を開催しています。エコ・リーグでは、TUNZAネットワークで培った人脈を通じて、アジアで活躍する若者の環境活動家や環境団体に記事を書いてもらい、「The Generation of Change」という冊子にまとめました。そのほか、「日中韓三カ国環境大臣会合」に付属する形で行われている「日中韓環境ユースミーティング」のコーディネートや、2010年の「第10回生物多様性条約締約国会議」(COP10)に先立って開かれた「生物多様性アジアユース会議 in 愛知 2009」への協力なども行っています。

国際的な活動の経験を活かして エコ・リーグが作成した冊子。 009年に開催された 生物多様性アジアユース会議in愛知

国際的な活動の経験を活かして
エコ・リーグが作成した冊子。

2009年に開催された
生物多様性アジアユース会議in愛知
©エコ・リーグ

「国連持続可能な開発会議」(リオ+20)にも参加されたそうですね。


A.会議には様々な市民セクターの参加が促されており、エコ・リーグは「子ども・若者」というユースのセクターでの参加となりました。本会合に先立って行われたユース会議には約1000名が集まり、地球サミットの歴史やリオ+20の意義について話し合ったり、本会合で取り上げられるテーマについて若者の立場から何をどう主張すべきなのか戦略を立てたりしました。また、世界中のユースが一堂に会したので、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカに分かれて地域ごとの会合も行いました。

リオ+20ユース会議 ユース会議のアジア地域ミーティング

リオ+20ユース会議
©エコ・リーグ

ユース会議のアジア地域ミーティング
©エコ・リーグ

リオ+20におけるユースのロビー活動について教えてください。


A.未来世代の子どもたちのために、もっと長期的な視野で開発政策やプロジェクトの影響を調査し国連総会に報告する専門調査室を設立しよう、という提案が交渉のテキストに含まれていたのですが、交渉が進んでいく中で完全に削除されてしまいました。そこでユースでは、手分けをして各国の交渉担当者にその内容を戻すようロビー活動を展開し、さらに会議場の前でテープで「口をふさぐ」パフォーマンスを行って、「未来世代の子どもたちにも声を与えて」と訴えました。最終的には妥協案として、「未来世代のためのレポートを事務総長が国連総会に提出することを検討する」という内容が成果文書に入ることとなりました。

Rio+20 アクション Rio+20 アクション

会議場前でユースが行ったパフォーマンス©エコ・リーグ

リオ+20に参加されて何か新しい展望を得られましたか。


A.ヨーロッパのユースたちの活動を見て、強いリーダーシップを核にした若者による組織的な活動が日本でも必要だと痛感しました。まずは地域レベルで若者の意見を吸い上げる場を作り、そこから出てきた若者の代表が集まって、地域レベル、国レベル、あるいは地球規模の環境問題について話し合う場を作り、そこで議論したことを日本の若者の意見として国や企業へ持って行ったり、さらに世界に向けて発信できる仕組みを作っていきたい。それが私が今、一番やりたいことです。

最後に読者に向けたメッセージをお願いします。


A.「環境活動は、こまめに電気を消す、ごみになるものをなるべく買わないといった自分ひとりでできることから始まります。そんな些細なことに意味があるのかとか、ほかに無駄遣いをしている人がいるのになぜ自分がやらなければならないのかと思ったりするかもしれません。しかし、今起きている環境問題は、私たち一人ひとりの行動の結果として起こったものであり、一人ひとりが自分のできることから始めなければ何も変わっていかないのではないでしょうか。また、今、日本は国をあげて将来のエネルギー問題について模索しています。この夏の間に、2030年までの長期的なエネルギー政策が決まっていくでしょう。今どのようなことが議論されているのかを知り、自分なりに考えて、家族や友人など身近な人たちと話し合うことも大切です。地域で話し合いの場があれば積極的に参加し、自分の意見を伝え、他の人の意見もしっかり聞いて、その上でこれから何をしなければいけないかを考えてほしいと思っています。


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