文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

特定非営利活動法人 フリー・ザ・チルドレン・ジャパン

7月のクローズアップは、特定非営利活動法人 フリー・ザ・チルドレン・ジャパンです。
カナダの12歳の少年、クレイグ・キールバーガーによって立ち上げられたフリー・ザ・チルドレンは、「子どもによる、子どものための」国際協力団体。子どもが主体となって世界の子どもの問題を解決していこうという活動が共感を呼び、そのネットワークは世界へと広がっていきました。日本でも、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンが設立され、現在、約300名以上の子どもが活動に取り組んでいます。今回は、フリー・ザ・チルドレン・ジャパンで子ども活動応援事業のリーダーを務める町井望さんにお話を伺ってきました。

中央が町井さん。インターンのお二人と。

中央が町井さん。
インターンのお二人と。

フリー・ザ・チルドレンの設立の経緯を教えてください。


クレイグとFTCの初期メンバーたち。

クレイグとFTCの初期メンバーたち。
©FTCJ

A.1995年、当時12歳だったクレイグは、パキスタンの少年イクバル・マシフくんが何者かに殺害されたというニュースを新聞で目にました。イクバルくんは絨毯工場で不当な労働を強いられていましたが、NGOの助けで脱出し、児童労働反対を訴える活動をしていた男の子で、クレイグと同じ12歳でした。このニュースに衝撃を受けたクレイグは、自分たちにも何かできることがあるのではないか、子どもの問題なら子どもが関わるべきなのではないかと思い、友人たちに呼びかけてフリー・ザ・チルドレン(FTC)という団体を立ち上げたのです。日本でフリー・ザ・チルドレン・ジャパンが設立されたのは1999年。アメリカに留学していた中島早苗(現・代表理事)がFTCの活動を知り、それを日本に紹介するというところからスタートしました。

どのような目標を掲げて活動しているのですか。


A.私たちが目指しているのは、ふたつのフリー(解放)です。まずひとつは、「貧困や児童労働から子どもを解放する」というフリー。もうひとつは、「子どもには社会や世界を変える力がないという考えから子どもを解放する」というフリーです。フリー・ザ・チルドレン・ジャパン(FTCJ)では、途上国の子どもたちだけでなく、日本の子どもたちにもアプローチして、「子どもにもできることがあるんだよ」ということを伝える活動をしています。

町井さんも高校生の頃、FTCJで活動されていたそうですね。


A.2000年に『僕たちは、自由だ!』というクレイグが書いた本の日本語版が出版され、クレイグが来日講演を行いました。FTCJの活動が広まるきっかけとなったこの講演会に、実は私も行ったんです。そのときクレイグは17歳で、私はひとつ下の16歳。世界にいろいろな問題があることは知っていましたが、それは大人が解決すべきことだと思っていました。でも、たった1歳年上の男の子が世界中を回って児童労働をなくすための活動をしているということを知って、衝撃を受けたんです。クレイグは「子どもだからできることがある」と言っていました。「大人が訴えてもなかなか関心を示してもらえないけれど、子どもが訴えることで関心を寄せてもらえる」と。それで、今からやれることがあるならやるべきなんじゃないかと思い、活動を始めたんです。

クレイグと町井さん。2000年の講演会にて。 今はFTCJのスタッフとして活躍する町井さん。
2011年のインドスタディツアーにて

クレイグと町井さん。2000年の講演会にて。
©FTCJ

今はFTCJのスタッフとして活躍する町井さん。
2011年のインドスタディツアーにて。
©FTCJ

FTCJの活動や国際協力に興味を持ったらどうしたらいいでしょうか。


A.「やってみたいが活動の始まり」というのがFTCJのキーワードですので、まずはメンバー登録をしてください。子どもメンバーは高校生までが対象で、登録は無料です。登録するといろいろなメニューが入ったメンバーキットが届きます。活動の最初のステップは、「知って、伝えよう!」です。クレイグの本を読んで勉強したり、それを友だちに貸して広めたり。また、FTCJからDVDを借りて学校で上映会をすることもできますし、私たちを出張講演に呼んでもらうのもいいですね。フリー・ザ・チルドレンの設立者クレイグも、最初は何もわからず、調べたり先生に聞いたりするところから活動を始めました。まずは知ることから始めようというスタンスでいいと思います。

さらにもっとやってみたいというメンバーにはどんな提案をしていますか。


A.支援先の子どもたちとの文通プログラムや、現地の子どもたちと触れ合うスタディーツアーへの参加、また、現地の子どもたちを支援するために自分でどんどん企画して活動することを勧めています。街頭募金や募金箱の設置、お金を集めるのが難しい学校の場合は書き損じハガキを集めたり、文化祭でフェアトレード商品の販売や児童労働の現状を伝えるパネル展示をしたり。とにかく、自分ができること、自分に合ったことをやってみようとアドバイスしています。

昨年から新たにチーム活動もスタートしたそうですね。

A.以前は基本的に子どもメンバー独自で活動するように提案をしていたのですが、何をやったらいいのかわからないという声もあったので、チーム制度を作りました。私たちは自分が好きなこと、得意なことを通じて活動することが大事だと考えていて、「ギフト(gift)+イシュー(issue)=チェンジ(change)」という方程式を作っています。ギフトとは自分の好きなことや特技、イシューは自分が関心のある問題、これらを結び付けて活動することで変化を生み出そうということです。たとえば、自分たちでコンセプトやデザインを決めてチョコレートを販売し、その売上げを寄付に充てる「チョコレートプロジェクトチーム」には、デザインが好きな子やものを売ることが好きな子が集まっています。

チョコレートプロジェクトのメンバーたち。チョコをパッケージしています

チョコレートプロジェクトのメンバーたち。
チョコをパッケージしています。
©FTCJ

ほかにはどんなチームがあるのですか。


A.国際協力に携わる人たちを取材してニュースレターやブログに記事を掲載する「子ども記者チーム」や、演劇を通じて世界の問題を伝える「アクションキッズチーム」。絵の好きな子どもたちが集まる「アートキッズチーム」では、インドの子どもたちが描いた絵を編集してポストカードを作成、売上げを現地の支援につなげています。また、FTCJのPR活動をする「アンバサダーチーム」には人前でスピーチをすることが好きな子どもたちが、「Englishチーム」には英語が得意な子どもたちが集まっています。そのほか、フェアトレード商品を文化祭や国際協力フェスティバルなどで販売する「フェアトレードチーム」や、イベントやスタディーツアーで撮影された映像を編集してFTCJのサイトや動画サイトにアップする「Filmクリエーターチーム」もあります。もちろん、新しいチームを作るのも大歓迎。スポーツや音楽のチームもできるといいなと思っています。

アクションキッズチームのメンバーによる演劇。 アートキッズチームのメンバーによる展示。

アクションキッズチームのメンバーによる演劇。
©FTCJ

アートキッズチームのメンバーによる展示。
©FTCJ

今度はスタディーツアーの話を聞かせてください。


A.スタディーツアーの一番の目的は、現地でボランティアをすること。学校建設など体を動かすボランティアをしてもらうようにしています。そのほかに、現地の子どもたちと交流して児童労働の現状を知るプログラムや、FTCJが支援している村を訪問して現地の状況を学び、どのような支援が必要かを考えるプログラムなども組まれています。現在FTCJは、インド、モンゴル、フィリピンの3カ国で海外自立支援事業を行っていますが、その中でできるだけ安全が確保できる地域に連れて行き、自分たちが日本で行った活動がどのように支援につながっているかを実際に見てもらうようにしています。子どもたちも自分が寄付したお金で建てられた学校などを見るととても嬉しいですよね。「自分にできることがあるならもっと頑張ろう」という気持ちになって帰ってくるようです。

2011インドスタディツアーにて。ボランティアをするメンバーたち。
FTCJの支援によって建設されたインドの学校。

2011年 インドスタディツアーにて。
ボランティアをするメンバーたち。
©FTCJ

FTCJの支援によって建設されたインドの学校。
©FTCJ

スタディーツアーは子どもたちにとって貴重な体験となりますね。


支援先の子どもと交流する子どもメンバー。

支援先の子どもと交流する子どもメンバー。
©FTCJ

A.帰国後の報告会でのスピーチが、みんなとても生き生きとしているんです。自分の目で見てきたことを話すのと、テレビや本で学んだことを話すのはまったく違いますね。ひとりひとり問題だと感じたポイントも違いますし、それについて自分の言葉で語れるようになります。とても印象的だったのは、「自分はもう"助ける"という言葉を使うのはやめる」と言った子がいたんです。現地の子どもたちに会い友だちになったことによって、友だちとして自分にできることをやろうと思ったのでしょう。募金活動への熱意も行く前と行く後ではぜんぜん違って、「サリーを着て街頭募金をしてみよう」など、自分たちで工夫ができるようになりました。アクションキッズチームの子たちも現地で体験したことをもとに劇の台本を書いたり、みんなそれぞれに変化があります。見ていると、人生観も変わるのかなと思いますね。

FTCJの活動に参加した子どもたちからはどんな声が寄せられますか。


A.学校と違うコミュニティに参加することが刺激になるようで、良かった、楽しいと言ってくれます。ここに来るといろいろな子どもたちが活動しているので、考え方や視野が広がるのでしょう。自分の通っている学校には国際協力に興味を持っている子がいないので、ここが居場所になっているという子もいます。私たちも活動を続ける上で「楽しむことを忘れない」ことは大切だと思っているので、自主性を持ってなおかつ楽しくやってほしいですね。

子ども記者チームのミーティング フィリピンで作られたフェアトレードバッグ。
フェアトレードチームが販売とPRを行っている。

子ども記者チームのミーティング
©FTCJ

フィリピンで作られたフェアトレードバッグ。
フェアトレードチームが販売とPRを行っている。

最後に読者に向けたメッセージをお願いします。


A.「国際協力に興味はあるけれども何をしたらよいのかわからない」という子には、まず知ることから始めてほしいと思います。国際協力の問題は自分で動きださないと始まらないので、情報を探しに行くことも活動のひとつだと思ってやってみてください。FTCJには活動のメニューがたくさんあるので、自分にできることは何もないと考えるのではなく、自分にできることがあるかもしれないという希望を持って、まずはメンバー登録してほしいです。また、FTCJでは大人のメンバーも大歓迎です。子どもが好きな方、国際協力に興味があるけれど現地には行けないので国内で何かしたいという方は、ぜひユースメンバーやサポーターとして、子どもたちの活動をサポートしていただけると嬉しいです。


6月10日(日)に開催された児童労働反対世界デー2012のイベントで、FTCJのアクションキッズチームが少年兵をテーマにした演劇「コンゴの戦う子どもたち」を披露しました。演劇と元少年兵ミシェルのトークの模様はこちらから観ることができます。ぜひご覧下さい!
Youstream児童労働反対世界デー2012 http://www.ustream.tv/recorded/23208469


【ルビ入りクローズアップ】のボタンを押しますと自動的にルビが入ったPDFデータがダウンロードされますので、デスクトップなどに保存してください。なお『Acrobat Reader』が入っていない方は、こちらをクリックしてください。