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外国人総合相談支援センター ~外国人の立場に寄よりそう総合相談窓口を~

6月のクローズアップは、公益財団法人AFS日本協会です。
AFSは、1947年にアメリカで設立された高校生の交換留学のためのボランティア組織。ニューヨークの国際本部を拠点として50カ国以上にネットワークを持ち、世界中で交換留学プログラムを行っています。多くのボランティアに支えられ、これまでにAFSのプログラムに参加した留学生の累計は40万人を超えるそうです。今回は、公益財団法人AFS日本協会を訪ね、協会の理事で事務局長の髙田祐三さんと広報担当の藤澤紀子さんにお話を伺いました。

広報担当の藤澤さん(左) 事務局長の髙田さん(右)

広報担当の藤澤さん(左) 事務局長の髙田さん(右)

AFSの設立の経緯を教えてください。


A.■髙田さん: 第一次・第二次世界大戦で傷病兵の救護活動を行ったアメリカの青年たちのボランティアの組織、American Field Service(アメリカ野戦奉仕団)がAFSの起源です。第二次大戦の終了後、彼らはより積極的に平和をクリエイトする活動をすべきだと考え、留学生を一年間無償で家庭と学校に受け入れてもらう交換留学プログラムをスタートさせました。1947年のことです。このときヨーロッパからアメリカに派遣された留学生の中には、戦争が終わって2年しか経っていないにもかかわらず、ドイツやイタリアといった旧敵対国の若者たちも含まれていました。対象を高校生としたのは、ある程度思考力が育っており、かつ柔軟に語学の吸収もできる年代だからです。AFSの交換留学制度は世界に広まり、加盟国は現在約50カ国に上ります。さらに加盟国以外で派遣生の受入などを行っている国を入れると、100カ国以上でAFSの活動が行われていることになります。

留学生活で生まれる一生の絆

日本ではどのようにしてAFSの活動が始まったのですか。


虎ノ門事務所のAFS JAPAN Archives。設立初期の頃の貴重な写真も見られる

虎ノ門事務所のAFS JAPAN Archives。
設立初期の頃の貴重な写真も見られる

A.■髙田さん: 日本から初めて留学生が派遣されたのは1954年です。横浜から氷川丸でアメリカへと旅立ちました。そして、翌1955年に帰国した第一期生たちがAFS日本支部を設立しました。初めて派遣生が留学した年を起点とすると、2014年に60周年を迎えることとなります。これまで日本から派遣された留学生は約1万7千人強、日本に受け入れた留学生は約1万5千人に上ります。

交換留学とはどのような制度なのでしょうか。

A.■髙田さん: 交換留学とは異文化体験のためのプログラムであり、その根底にあるのが現地の家族の一員として日常生活をするということです。家庭や学校での生活体験を通して、その国の文化や歴史、言葉を学びます。AFSの年間の交換留学参加費が125万円と私費留学に比べ安いのは、ホストファミリーが無償で留学生を受け入れ、ホストスクールも授業料を免除するというボランティアの善意に支えられた制度だからです。また、AFSの交換留学では、留学生だけが参加者なのではなく、留学生を受け入れるホストファミリーもホストスクールも地域でサポートするボランティアも、留学生を送り出す保護者や学校の先生も参加者であると考えます。関係者みんなで異文化体験を共有しましょう、というコンセプトなのです。

インタビューに答えてくださる髙田さんと藤澤さん

インタビューに答えてくださる
髙田さんと藤澤さん

世界中にネットワークがあるため、留学先の選択肢が多様ですね。


A.■髙田さん: 現在、日本からの留学生の派遣先は約35カ国。そして、日本には約50カ国からの留学生を受け入れています。この多様さはAFSならではでしょう。また、ヨーロッパ、アジア、中南米など、非英語圏への派遣の多さもAFSの特徴のひとつです。AFSでは留学説明会やWebサイト上のビデオメッセージで、帰国生の体験談を紹介しているのですが、面白いもので、アジアや中南米からの帰国生の話を聞くと、行ってみようかなという生徒が出てくるんですよ。最近は積極的に非英語圏の国を第一志望にする生徒も増えてきて嬉しく思っています。

なじみのない言語を習得するのは難しいのではないでしょうか。


タイの学校にて。ランチタイム。

タイの学校にて。ランチタイム。

A.■藤澤さん: 私はタイに留学しましたが、半年ぐらいで簡単な意思疎通や友達との会話はできるようになりました。留学前に日本で半年ほどタイ語のコースに通いましたが、学べたのは基礎の基礎だけ。あとは現地に行ってから耳で学びました。「おなかがすいた」「トイレに行きたい」といった言葉は覚えなければ生きていけないという気になりますし、毎日聞いていると耳が慣れて自然と使えるようになってくるものです。

A.■髙田さん: 受入校の先生や現地のAFSボランティアが言葉の習得のサポートをしているところもあります。最初のオリエンテーションなどは英語で行われますので、非英語圏に行くと、英語とその国の言葉の両方を学んで帰ってきますよ。

選考から留学までの流れを教えてください。

A.■藤澤さん: 年によって異なりますが、2012年は一般選考試験を4回実施予定です。試験の内容は、英語と一般教養の筆記テスト、それと日本語の個人面接です。試験に合格すると、オリエンテーションがあって、英文書類の作成、健康診断、ビザを取るための大使館面接といった留学の準備が始まります。受入国の審査を経て配属先が調整され、出発前には配属先が決まります。応募から出発まで、1年から1年半ぐらいかかります。

コスタリカの学校で友人たちと。

コスタリカの学校で友人たちと。

帰国生からはどのような感想がありますか。


タイの学校にて。ランチタイム。

お互いの文字を教え合うことも。

A.■藤澤さん: やはり、生活体験をしたことが良かったとおっしゃいますね。言葉だけでなく、その国の人たちがどのように考えるのか、どういう習慣があるのか、生活レベルで学んでいけるところが交換留学の良さだと思います。

A.■髙田さん: よく言われるのは、中南米やアジアの国々と日本では、時間の感覚が違うということ。その違いを肌で感じたことを活かして、いま仕事で中南米の国を飛び回って活躍している帰国生もいます。逆に日本にきた留学生は、日本人が時間にきっちりしていることに驚きますね。1分過ぎたら校門がしまってしまうような学校もありますし。最初は、「5分遅れたら怒られたけれどなぜだろう?」と思う子もいるようです。

日本で留学生を受け入れるホストファミリーについて教えてください。


A.■髙田さん: いろいろなご家族がいらっしゃいます。住宅事情もさまざまですし、お母さんが専業主婦という家庭もあれば、共働きの家庭もあります。最近増えてきたのは、小さなお子さんがいて、その子に異文化体験をさせたいということで留学生を受け入れる若いご夫婦です。そういうケースですと、留学生を身近に感じながら育ったお子さんが、その後AFSで留学するということもあります。実は、日本は留学先としてとても人気があるのですが、受入人数を増やせない原因のひとつは、ホストファミリーが足りないということなんです。肩の力を抜いてできる範囲のことをやってくださればいいですし、やんちゃな子もいますが、必ず素晴らしい体験になりますから、ぜひ多くの方にチャレンジしていただきたいですね。

留学生とホストファミリーのみなさん。

ホストファミリーに興味はあるけれど迷っている場合、どうすればいいでしょうか。


A.■髙田さん: 体験者から話を聞く機会はいつでも提供できますのでご連絡ください。受け入れた生徒との関係がいかに続いているかという話を聞くと、とても感動しますよ。ホストファミリーは1年限りの体験ではなく生涯体験です。私も40年前に留学しましたが、10数回、アメリカのお父さん、お母さんに会いに行きましたし、私の子どもを孫と呼んでくれています。一度受け入れるとリピーターになるご家族も多いんですよ。

A.■藤澤さん: AFSにはサポートしてくださるボランティアの方がたくさんいるので、1年間1人で頑張らなければということはありません。何かあったらすぐに相談できますし、続けられるところまで続けるという気持ちで始められても大丈夫です。

ホストファミリー以外にも募集されているボランティアはありますか。


A.■髙田さん: AFSの活動は、世界で4万数千人のボランティアに支えられています。日本でも登録ボランティアが約3700名いて、全国に支部を作って活動しています。留学生と受入家庭、学校のサポート以外にも、留学生の受入家庭や学校を探したり、ホストファミリー同士の交流イベントを企画したり。留学生の説明会や選考会場の運営もボランティアによって行われています。興味のある方は事務所にご連絡いただければ、お近くの支部を紹介致します。最近はホストファミリーの経験者がボランティアになるケースも多く、受入家庭の喜びと大変さをわかっている人が今度はサポートする側に回るといういい循環になっていると思います。

AFSボランティアの全国会議。

地域ボランティア企画の料理交流会。

留学生と日本の高校生が交流するサマーキャンプも実施されているそうですね。


A.■藤澤さん: 首都圏では大島と御殿場で実施しています。どちらも大学生のボランティアが主体となって運営を行っています。日本人の参加者は、「留学するのはちょっと難しいけれど、国際交流に興味がある」というお子さんたちが多いです。キャンプに参加して、自分と同じように国際交流や異文化理解に興味のある同世代の人たちと語り合えてよかった、というご感想をいただきますね。

大島のサマーキャンプにて。

交流を楽しむ留学生と日本の高校生たち。

読者に向けてメッセージがありましたらお願いします。


A.■髙田さん: グローバル化の時代と言われるように、これから先、海外や異文化との関わりがない未来というのはあり得ないでしょう。高校時代に外国で過ごした1年間は、その人の人間形成や将来のキャリアパスに計り知れない効果をもたらします。ぜひオープンな気持ちで可能性にチャレンジしてほしいです。また、保護者の方々には、AFSは安全を第一に考えた留学を提供しているということを伝えたいと思います。


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