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財団法人 国際青少年研修協会
子どもたちに自分の世界を広げる体験の場を!

3月のクローズアップは、財団法人国際青少年研修協会です。
昭和48年に設立された国際青少年研修協会は、文部科学省所管の財団法人。団体生活や国際交流の場における体験を通じて、「自分の世界を広げる青少年」の育成を目指し、国内と海外でさまざまなプログラムを実施しています。今回は、常務理事の百瀬弘さん、国内プログラムを担当されている事務局長の高田裕之さん、海外プログラム担当で主任の山村紀子さんにお話を伺いました。

常務理事の百瀬さんをはさんで、
事務局長の高田さん(左)、主任の山村さん(右)

常務理事の百瀬さんをはさんで、
事務局長の高田さん(左)、主任の山村さん(右)

国際青少年研修協会のプログラムの概要を教えてください。


A.百瀬さん 当会のプログラムは、小学生から高校生を対象にしたものと大学生を対象にしたものと、大きくふたつに分けられます。国内も海外も主体となっているのは小学生から高校生までのプログラムです。それぞれの年代に合わせたプログラムを組んでいるので、簡単なものに参加してみて興味が湧いたら、次はもう少し目的を明確にしてプログラムを選ぶということができます。たとえば、海外派遣プログラムは、『生活・文化体験』・『学校体験』・『自然体験』・『ボランティア体験』・『語学研修』に分かれているので、まずは遊びを中心としたプログラムを体験してから、将来の留学を意識して『学校体験』に参加してみる、語学を磨きたいと思ったら『語学研修』に参加するというようにステップアップしていくことができます。

海外派遣プログラムについてもう少し詳しく教えていただけますか。


現地でホストファミリーと
©国際青少年研修協会

A.山村さん 参加者の約9割が、海外は初めてで英語もほとんど話せないというお子さんです。当会の交流先は20~30年にわたってお付き合いをしているところばかりなので、そうしたことを理解した上で子どもたちを受け入れてくださいます。ホームステイ先について心配される保護者の方が多いのですが、当会がお願いしているのは子どもが一人増えたという感覚で受け入れてくださるファミリーです。外での体験が充実していても残りの家で過ごす時間が楽しくなかったら、一生に一度の貴重な体験がだいなしになってしまいますから、ホストファミリーの選択はきっちりやっています。東日本大震災以降はどの交流先も日本のことを心配してくださっていて、特に東北のお子さんを預かるとなるととても優しくケアしてくださっています。

国際青少年研修協会の海外派遣プログラムの特色を教えてください。


A.百瀬さん キャンプが組み込まれているプログラム以外は、すべて着いた日から帰る日まで全日程がホームステイとなっています。また、必ず現地で「日本文化交流会」を実施します。歌ったり踊ったりと学芸会のようなものですが、交流先の人たちに日本の文化を紹介しましょうということでやっています。日本で各自準備をしてきてもらい、現地でもみんなで集まって練習します。会場の飾りつけなども参加者たちの仕事です。満足感を得ることができるのは、自分たちで何かするからこそ。友達だって作るのは自分ですよね。私たちにできるのは、そのためのツール、たとえばコミュニケーションのネタとなるアルバムづくりなどのアイデアを教えることです。

交流先で行われる日本文化交流会<br>
©国際青少年研修協会

交流先で行われる日本文化交流会
©国際青少年研修協会

参加した子どもたちからはどのような感想がありますか。

A.山村さん みなさんが共通して言うのは、「よくわからないけれど自信がついた」ということです。ひとりで国内線や新幹線に乗って東京に来て、日本全国からやってきた子と友達になって、さらに自分の国を離れ、海外で新しい家族とともに生活を送るという体験を通して、「どこでも友達が作れる」という希望や、「新しい環境でもやっていける」という自信を持つようです。また、海外の文化にふれることで、ほかの国と日本を比較できるようになったと実感するようですね。自分の住む地域がすべてだった子どもが、日本各地の友達と自分を比較できるようになり、世界のほかの国と自分の国を比べて考えることができるようになるというのは大きいと思います。

国内交流プログラムはどのようなものを行われているのですか。


冬の北海道でのかまくら体験
©国際青少年研修協会

A.百瀬さん 国内のプログラムは小学生がメインで、国際交流プログラムと野外活動体験プログラムのふたつに分かれます。国際交流は、春に「ちびっこ探険学校ヨロン島」、夏に「富士山・青少年国際交流キャンプ」を実施しています。プログラムは遊びが中心で、国際交流としては入り口の入り口ですが、ヨロン島は6泊7日、富士山は4泊5日と宿泊体験型プログラムとしては長いのが特徴です。そしてその合間に、交流とはひと味違う野外活動体験プログラムを行っています。ゴールデンウィークには、1日に10kmほど歩いて寝袋とブルーシートで野宿を体験する「歩いて巡る野宿の旅」。夏休みには、無人島でキャンプを行う「ちびっこ冒険学校 in 無人島」。そして年末には、冬の北海道でかまくら作りを体験する「ちびっこ探険学校 楽しさ丸ごと冬体験in 北海道」というプログラムがあります。

野外活動体験プログラムはなかなかハードな内容ですね。


A.百瀬さん 重い荷物を背負ったり、寒さに耐えて歩いたりとシビアな部分もありますね。無人島では、ブルーシートと竹でテントを作ったり、孟宗竹をのこぎりとなたで切って食器作りをしたりします。自分たちで釣った魚をナイフでさばくこともありますが、手取り足取り教えたりせず、リーダーのやり方を見よう見まねでやってもらいます。

A.高田さん すべてのプログラムに共通しているのは、いろいろな体験を通して自分の世界を広げてほしいということです。また、大人になる上で必要となる生活習慣を身につけてほしいとも思っています。基本的なあいさつや手助けしてもらった人に感謝の気持ちを伝えること、あとは身の回りの整理整頓ですね。自分のことは自分でやるという習慣づけをしないと、最近は親が過保護になりすぎていて、自分で考えて行動することができない子どもが多いです。できるだけ自分たちの力で与えられたテーマをクリアしていくことを目指しています。

国際交流プログラムには在日外国人の子どもが参加するのですね。

A.高田さん 春のヨロン島のプログラムでは、沖縄のアメリカンスクールの子どもたち、東京のインドネシア学校や大使館関係の子どもたちなど約120人の外国人と、全国各地からやって来た150~200人の日本の子どもたちが一緒に活動します。夏休みに行われる富士山キャンプはもっと小規模ですが、浜松のブラジル人学校の子どもたちなどが参加します。

富士山・青少年国際交流キャンプ
©国際青少年研修協会

間近に迫ったヨロン島のプログラムの様子を教えてください。


自分たちで作ったいかだで海へ!
©国際青少年研修協会

A.高田さん このプログラムは36年続いていますが、最近はパソコンやゲームなどのひとり遊びが増えたので、友達ができるか不安に思いながら参加してくる子が多いようです。誰かが声をかけてくれれば大丈夫だけれど、最初のひと声を誰がかけるかというところが問題なんですね。ヨロン島では7つの民宿に分かれて泊まるのですが、民宿ごとにスカーフを色分けしているので、まず同じスカーフの子に声をかけることから少しずつ打ち解けていきます。行きの船の途中でアメリカンスクールの子どもたちが乗ってきますが、言葉は伝わらなくても一緒に作業をすることで親近感がわいてくるようです。島ではいかだ作りにチャレンジします。みんなで作り上げたいかだで海にこぎ出すという体験で、最初から最後までやり遂げたという達成感と自信を得るようです。最後の夜はさよならパーティーを行い民宿ごとに出し物をするのですが、このころは結束も固くなっていてとても盛り上がります。

日本の子どもと外国の子どもの交流の様子はどうですか。


さよならパーティーで盛り上がっています!
©国際青少年研修協会

A.高田さん帰りの船では、沖縄のアメリカンスクールの子どもたちが先に下船するのですが、出航するまで港で手を振ってくれるんです。船を追って桟橋を駆けてくる子もいて、日本の子どもたちはみんな泣いてしまいます。プログラムが終わった後に文通を続けているという子たちもいますね。日本語しかできない子どもたちが、身振り手振りで一緒に活動していく中で、だんだん物怖じしないでアメリカやインドネシアの子どもたちと交流するようになっていくんです。言葉に頼らず自分の気持ちをいろいろな方法を使って伝えようという姿勢は、将来きっと役に立つと思います。

参加したお子さんの保護者からはどんな感想がありますか。


みんなすっかり仲良くなりました
©国際青少年研修協会

A.高田さん 当会のプログラムは期間が長いので、子どもを送り出すのに不安を感じる保護者の方も多いようです。でも、子どもが家に帰って来た途端、「楽しかった!」とヨロン島での出来事をどんどん話す様子を見て、「やはり行かせてよかった」とおっしゃってくださるのでありがたく思います。また、リピーターの子が増えているのもうれしいですね。今回ヨロン島へ行ったから次は富士山に行きたい、無人島に行きたい、さらに外国へ行きたいと、次のステップや目標を子どもたち自身が立ててくれたり、「今度は引率する側になりたい」とボランティアリーダーの講座を受けに来たり、そういう成長を目の当たりにするのが一番うれしいです。

ボランティアリーダーについて教えていただけますか。


A.高田さん 青年ボランティアリーダー養成講座は、年に30~40人が参加して、最終的に試験を受けて認定リーダーになるのは10人ぐらいです。これまでに、のべ280人ほどのリーダーが育ちました。大学生が8割ぐらいで、将来教職を希望している人、福祉関係や外国語を専攻している人などが多いです。夏のキャンプとヨロン島には、中・高校生のジュニアリーダーも参加します。過去の参加者で将来ボランティアリーダーになりたいという子が、リーダーと一緒に仕事をしながら実地体験していくもので、毎年10人ぐらいの参加があります。

読者にメッセージがありましたらお願いします。


A.百瀬さん ボランティアリーダーは学生さんが多いのですが、年齢・性別・職業は問わないので、社会人の方でもご年配の方でも、興味のある方はぜひ参加していただきたいです。また、外国の子どもたちを受け入れるホストファミリーの募集もしています。日本ではホストファミリーというと、お客さん扱いで大変だと考える人が多いのですが、ふだんと同じような生活でふだんと同じような食事で大丈夫です。こちらもぜひ多くの方に応募していただきたいですね。

ご興味を持たれた方や資料をご希望の方はこちらへ http://www.kskk.or.jp/inq/index.htm


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