文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム
NGO、経済界、政府のパートナーシップで、迅速で効果的な緊急支援を!

6月のクローズアップは「特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム」です。
世界各地で相次ぐ自然災害や地域紛争によって生み出される被災者や難民たち。これらの人道危機に対して、日本のNGO、経済界、政府が協力・連携し合い、より迅速で効果的な支援を行うために設立されたのが、国際人道支援組織「ジャパン・プラットフォーム(JPF)」です。政府の拠出した資金や、企業・市民からの寄付が、JPFを通して迅速に提供されることによって、各NGOが直ちに現地に出動、援助活動を開始できるのです。2000年の設立以降、世界各地での緊急援助活動に携わってきたJPFですが、今回は、東日本大震災の支援活動の話を中心に、事業部部長の椎名規之さんにお話を伺いました。

事業部部長の椎名規之さん(右)
広報担当マネージャーの瀧田真理さんと。

ジャパン・プラットフォームの活動の特色を教えてください。


千代田区大手町のJPF事務局

A. ジャパン・プラットフォーム(JPF)のNGOユニットには、現在33の人道支援NGOが参加しています。これらのNGO団体が、救援物資の配布や心のケア、生活支援など、現地に行って自分たちで事業を実施するのに対して、JPFは資金や支援物資などのリソースを集め、それを各NGOに提供することを通して支援を行います。
また、より効果的な支援が行われるように様々な調整活動を行うのも、JPFの役割のひとつです。たとえば緊急支援の現場において、同じ地域で活動をしている団体同士が、互いに何をやっているのか把握できていないということがあるのですが、どの団体がどこでどのような活動を行っているのか、JPFが情報を集約し、それを参加NGOに提供することで、NGO同士の横の連携が可能になります。その結果、各NGOが足りないところを補い合ったり、互いの活動が重複するのを避けることができるのです。

東日本大震災が発生した際、JPFはどのように動いたのでしょうか。


到着した支援物資をリレーで運び入れる
(宮城県気仙沼市)
©PWJ
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

A. JPFが組織として出動を決定したのは、地震発生から3時間が経過する前でした。これだけ大きな規模の国内の災害に対応するのは初めてですが、これまで外務省や日本経団連、そしてNGOユニットと共に、海外での緊急支援にあたってきた経験と実績が活きました。JPFの役割は、まず資金や物資といったリソースを集めることですが、災害が発生した際のリソースの質と量を増やせるよう、ずっと経団連と相談を重ねていたこともあり、多くの企業から早いタイミングで支援の申し出をいただきました。
また、JPFの参加NGOの出動決定も早かったです。どの団体も海外での活動の経験から、できるだけ早く動いた方がいいというのは身にしみていますし、緊急支援を行うにあたって何が必要かということもわかっているので、すぐに動くことができたのだと思います。

各参加NGOへのリソースの提供は、どのように行われるのですか。


現地での聞き取り調査(岩手県陸前高田市)
©KnK
特定非営利活動法人 国境なき子どもたち

A. JPFが、リソースを入れたバスケットを準備しているとイメージするとわかりやすいでしょう。参加NGOが事業を申請し、JPFで審査・承認されると、バスケットの中のリソースが提供されます。緊急時の初動対応については、数時間以内に決裁されるようになっています。各NGOがこうして得た資金で、まずは物資を配布しながら初動調査を行い、その後より大きな支援活動へと移行していきます。緊急支援ではスピーディな対応が求められるとはいえ、寄付していただいたお金を使って活動するわけですから、現地との調整は取れているのか、必要な専門家が活動に参加するのかなど、事業内容の確認はしっかりと行います。

支援物資の調整も行われているそうですね。


小学校に届けられた文具セット
(宮城県気仙沼市)
©SVA
公益社団法人シャンティ国際ボランティア会

A. JPFで、企業や団体から提供の申し出のあった支援物資のリストを作って、現地で活動するNGOから上がってきたニーズとマッチングしています。食糧、衛生用品、衣類、寝具、日用品などニーズは多岐にわたり、しかもどんどん変化していきます。新学期を迎える頃には教育にかかわる支援の申し出がたくさん寄せられましたが、ランドセルなどの配布において支援活動がうまく調整されず、支援物資などが学校などによって偏る懸念が生じたため、JPFが仙台に開いた事務所で教育支援にかかわる情報を集め、支援活動に重複がないよう調整を行いました。

海外からの支援の申し出も数多く来ているそうですね。

全国から集まった物資を住民の方々に配布
(宮城県石巻市)
©JEN 特定非営利活動法人ジェン

A. 海外の政府や企業、NGOから、たくさんの支援の申し出をいただいています。たとえば、タイ政府からはマスク、スリランカ大使館からは紅茶のティーバッグを送りたいとのお話をいただきました。これらの支援物資も、JPFの参加NGOを通して現地へ届けられます。また、海外のNGOからは、被災地に入って支援活動をしたいのでパートナーとなる日本のNGOを探したい、集めた支援金をこういう分野に使ってほしいなど、さまざまな問合わせがありました。これまでJPFや参加NGOが海外で支援を行なう際、必ず現地のNGOに情報提供などをお願いしてきましたが、今回、日本が支援を受けるにあたって、JPFが窓口としての役割を担うことになったわけです。

今後の支援活動の見通しを教えてください。


家屋の掃除を行う学生ボランティアの皆さん
(岩手県陸前高田市)
©NICCO  公益社団法人 日本国際民間協力会

A. ゴールデンウィーク中、たくさんの人たちがボランティアとして現地に入り、がれきの撤去や泥出し、避難所での炊き出しなどの作業にあたりましたが、連休が終わった今、一段落してしまったような感があります。しかし、まだまだボランティアの力を必要としている人たちはいます。今後は、避難所から仮設住宅に移る人、自宅へ戻る人、親戚宅に身を寄せる人などが増えることで、求められる支援の形も多様化していくでしょう。とりわけ仮設住宅に住む人たちに対して、どういう支援が必要なのかを考えなければなりません。コミュニティから切り離され、仮設住宅の中だけで生活が完結してしまう恐れがあるからです。特に年配の方が孤立しないよう気を配っていく必要があるでしょう。JPFは3年間の支援の継続を決めていますが、今回の震災の規模を考えると、それでもまだ十分ではないと思います。

これからの支援活動のポイントは何でしょうか。


仮設住宅に物資を運び込む(岩手県大船渡市)
©PWJ
特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン

A. やはり雇用の問題でしょうね。被災者の人たちというのは、ただ支援を待っているだけの存在ではありません。皆さん、自分たちの手で生活を取り戻そうとしています。そういう人たちをどうサポートさせていただくかが大切なところです。まずは、直接支援活動に加わっていただくことが、その第一歩となるでしょう。そして、彼らの生活を支えていた産業をどう復興させるのか、いわゆる「生計支援」が必要となってきます。漁協や農協の人たちと話し合いながら、中・長期的に取り組まなければなりません。できるだけ早く現地の人たちが自立して生活ができる環境が整って、JPFが早く撤退できるようになるというのが私たちの願いなのです。

被災者の方々に支援活動に加わってもらうための新しい試みを始められたとか。


地元の若者の協力を得て行われた炊き出し
(岩手県大船渡市)
©PB 特定非営利活動法人ピースビルダーズ

A.参加NGO以外の団体にもJPFから資金を提供できるよう、「共に生きる」ファンドを設立しました。元々東北で活動していた団体や、震災後、被災地で支援活動を始めた現地の団体を応援させていただきます。東北のことを一番よく知っているのは、東北の人たち自身です。彼らの活動をサポートさせていただくことによって、自立への道がスムーズになればと願っています。ぜひ被災地で活動をしている団体に応募していただきたいですね。

最後に、れすぱすの読者に向けてメッセージをお聞かせください。


ハイチ地震の被災者への支援活動
物資の配布を進める
©ICA 特定非営利活動法人 ICA文化事業協会

A. 今回、多くの方が支援金を寄せられたと思いますが、寄付をするだけに留まらず、自分たちが寄付したお金がどこでどのように使われているのかを知ってほしいと思います。JPFのサイトでは、参加NGOの活動をまとめて紹介していますので、ぜひご覧下さい。そして、東日本大震災での人道支援NGOの支援活動に興味を持ったら、彼らが海外で行っている活動にも関心の幅を広げてほしいと願っています。日本では海外での人道支援NGOの活動があまりよく知られていませんが、多くの団体が支援のプロであり、世界各地で災害や紛争の犠牲となった人たちのために、とてもいい活動をしているのだということを知っていただきたいです。また、どれほど大きい災害でも、時間とともに関心が薄れていってしまうものです。それは仕方のないことかもしれませんが、季節が変わるごとに、また環境が変わるごとに新たな支援のニーズが生まれてきます。東日本大震災の支援は長期戦になるでしょう。ぜひ長い目で見てください。

【ルビ入りクローズアップ】のボタンを押しますと自動的にルビが入ったPDFデータがダウンロードされますので、デスクトップなどに保存してください。なお『Acrobat Reader』が入っていない方は、こちらをクリックしてください。