column1 世界エイズデーを機に考えてみませんか?私たちにもできること
12月1日は世界エイズデー(World AIDS Day)。 1988年、エイズの拡大防止と患者や感染者に対する差別・偏見の解消を図ることを目的にWHOが定めたもので、 現在活動はUNAIDS(国連合同エイズ計画)が継承しています。UNAIDSと世界保健機関(WHO)の推計によれば2005年末、 HIV感染者の数は4030万人に上り、過去最多を記録しています。南・東南アジアやサハラ以南のアフリカでは、 働き盛りの世代へのまん延や母子感染によるエイズ孤児の急増で、国家経済への影響が心配される事態にもなっています。 感染者には女性や少女を始め、社会的に弱い立場の人が多いことも指摘されており、国境を超えた支援体制が必要です。 今月はそうしたアジア・アフリカ諸国でHIV感染者やエイズ患者への支援、 感染拡大防止への啓発活動に取り組む主な団体を紹介します。

HIV予防啓発の劇を見る農場の労働者(南アフリカで)。劇の後にはエイズにかかわる様々な質問が出ます
南アフリカでのプロジェクト開始
特定非営利活動法人シェア=国際保健協力市民の会

タイやカンボジア、日本でエイズプロジェクトに取り組んでいるシェア。その経験をアフリカで生かそうと現地調査を進め、今年から日本国際ボランティアセンター(JVC)と共同で南アフリカ共和国でのプロジェクトを開始しました。予防啓発や在宅ケアなど、地域に根差した活動を行っています。
エイズデーイベントとして、12月7日(19時開演)に世田谷区の砧区民会館で元m-floのヴォーカリスト・LISAのライブを開きます。南アフリカの今の様子を映像で伝え、収益は南アフリカのエイズプロジェクトに寄付される、南アフリカ支援ライブです。
※参加希望者は申し込みフォームをご覧下さい(チケット2000円)。

ザンビアの孤児たちに教育を
認定NPO法人難民を助ける会


難民を助ける会ザンビア事務所では2004年から深刻なエイズ問題に取り組んでいます。ザンビアではHIV感染者が100万人を超え、国民の寿命の低下とともに急増するエイズ孤児が大きな社会問題になっています。同事務所ではまず、孤児の就学支援と、検査・カウンセリングセンターの建設を2本柱として活動を開始しました。地域のボランティアの人たちの温かい協力もあり、2005年1月にはルサカ市内の低所得者居住区、ンゴンベに住む子どもたち89人が念願の学校に通い始めています。
また、世界エイズデーに合わせ、葉祥明氏デザインの同会キャラクターウサギ「サニーちゃん」のピンバッジ(500円税込)レッドリボンバージョンを発売(=写真)。希望者にはサニーちゃんの絵柄にレッドリボンをイメージした募金箱も配布します(詳細はHP参照)。

エイズ募金を随時受け付け
特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン


世界の子どもの支援を掲げるワールド・ビジョンでは、HIV/エイズ対策事業を優先課題として、世界各国で取り組んでいます。活動の柱は、HIV感染者・エイズ患者、エイズ孤児始め、弱い立場にある子どもたちへのケア・サポート、感染予防活動、そして、差別・偏見を撤廃し、住民主体の対策活動を推進するためのアドボカシー(提言)です。HIV/エイズ募金を常時受け付けており、募金協力者には1年に1度、活動の詳細な報告を行っています。

ガーナでの紙芝居上演
アフリカでのエイズ対策を強化
財団法人ジョイセフ(家族計画国際協力財団)


ジョイセフでは、今年の世界エイズデーを機に「SAVE MOTHER from AIDS」キャンペーンを開始。すべての母親がエイズを心配することなく赤ちゃんを産めるよう、アフリカでのエイズ対策を強化していきます。エイズウイルスに感染していない母親に予防啓発を行う一方で、感染している母親への差別や偏見がなくなるよう活動します。農村地区で保健ボランティアを育て、紙芝居などを使った草の根からの啓発活動にさらに力を入れます。今後は感染している母親が出産する際、生まれてくる赤ちゃんに感染させないような医療ケアを受けられるよう、現地の保健行政とも連携していきます。※キャンペーンへの募金方法詳細はHPをご覧ください。

全員の集合写真
タイのHIV感染孤児を支える
バーンロムサイ


両親をエイズで亡くし、自分たちもHIVに母子感染してしまったタイのHIV感染孤児が暮らす共同の家をタイのチェンマイで運営しています。両親の死、差別や偏見など辛い経験をした30人の子どもたちを家族のように温かく包み、子どもらしく暮らせる環境づくりを進めています。今年開設6年目です。最近では将来的な自立に向け、染めや織りなどの家業も始めました。活動は賛助会員らの寄付などによって支えられています。
12月9日から17日まで港区六本木のAXISギャラリーでバーンロムサイの子どもたちと日本人アーティストのコラボレーションによる展覧会「第5回UNDER THE TREE」を開きます。作品やオリジナル商品を展示販売するほか、期間中、子どもたちによるタイの古典音楽と舞踊のパフォーマンスも予定しています。問い合わせは実行委員会(03-3499-0227)まで。

エイズ予防啓発活動、あるいは、HIV感染者、エイズ患者、エイズ孤児の生活支援を実施している民間団体は、他にも数多くあります。
【参考サイト】
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kansen/aids/aindex/006_001.html


column2 ミレニアム開発目標(MDGs)を知っていますか?
今年は英スコットランドのグレンイーグルズ・G8サミットに始まり、 ミレニアム+5国連総会(ミレニアム・プラス・ファイブ)、今月のWTO(世界貿易機構)閣僚会議と、 大きな国際会議が続けて開かれています。 そこで、いつもニュースになるのが「2015年までに1日1ドル未満で生活する世界で最も貧しい人たちの割合を半減させる」などのミレニアム開発目標(MDGs)が本当に達成できるのか、 ということです。NGOや市民社会、民間企業なども巻き込みながら世界的に関心が高まっているミレニアム開発目標とは、 どんな内容なのでしょうか?

「極度の貧困は人権の侵害である」と確認され、画期的であった2000年の国連ミレニアム総会。この場で189カ国の支持を得て採択された国連ミレニアム宣言に1990年代に行われたサミットや国連の一連の会議における議論をもとにした国際開発目標を統合したものが、ミレニアム開発目標(MDGs)です。貧困の削減、保健・教育の改善、環境保護、人権に関する8つの達成目標と18のターゲットが策定されています。“8つの目標”とは以下の通りです。

目標1:極度の貧困と飢餓の撲滅
目標2:普遍的初等教育の達成
目標3:ジェンダーの平等の推進と女性の地位向上
目標4:乳幼児死亡率の削減
目標5:妊産婦の健康の改善
目標6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病のまん延防止
目標7:環境の持続可能性の確保
目標8:開発のためのグローバル・パートナーシップの推進

ミレニアム開発目標の象徴とも言える目標1のターゲットで「2015年までに1日1ドル未満で生活する人口比率を半減させる」と打ち出されています。貧困の定義は難しいですが、あえて1日1人当たり最低限必要な栄養を得るための購買力などから算出し、極貧困層の目安を掲げてアピールしたということは、世界の貧困がそれだけ待ったなしの非常事態であることを示しています。
極貧困層が集中するサハラ以南のアフリカでは、冷戦の終結で先進国の援助が減り、軍事独裁政権や内戦の傷跡が国の膨大な借金として残りました。7月のG8に先駆けた6月のサミット財務相会合では、アフリカなどの18カ国が国際機関に対して負う債務を帳消しにすることを決めました。また、「途上国援助(ODA)を国内総所得(GNI)の0.7%に引き上げる」との当初の目標に基づき、7月のG8サミットでは、2010年までにアフリカへの援助額を倍増することで合意。実現には世界各地のNGOによる熱心なアドボカシー(提言)活動や「ライブ8」など市民運動の力もありました。“3秒に1人の命が失われている”と最貧国の現状を訴え、国の首脳たちに政策転換を迫ろうと呼びかけたNGO連携による「ホワイトバンドキャンペーン」もその1つです。
これまでの、いわば強者有利の貿易体制によるグローバル化で先進国は恩恵を受けましたが、アフリカやアジアの一部では貧富格差が広がっていました。補助金で保護された富裕国の農産物が途上国の農業を破壊してしまっていたからです。本来のグローバル化とは、世界のあらゆる国が恩恵を受けるものであるべきと、先進国が農産物の市場開放に理解を示し、輸出補助金をなくす努力をすることも求められています。アフリカに暮らす人々の大半は農業従事者ですから、先進国優位である現在の農産物貿易体制を見直すことは、政策として大きな意義があります。
今年は国連ミレニアム宣言の中間見直し年です。国連が発表した中間報告によれば、1日1ドル未満で暮らす極貧困人口比率は、東・東南・南アジアで1990年から2001年までに2億人以上減り、半減の目標をほぼ達成しましたが、サハラ以南のアフリカなどでは逆に増加。貧困問題は深刻化しています。アフリカの最貧国は、HIV/エイズのまん延や子どもたちの教育、女性の地位向上など、貧困と絡み合った多くの問題を抱えています。目標達成のためには、各国政府やNGO、市民社会、民間企業の更なる連携と努力が必要なのです。


column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

平均寿命32.7歳の国
 2004年7月に国連開発計画(UNDP)が発表した報告書によると、ザンビアは平均寿命が32.7歳、世界一寿命の短い国となっています。内戦や戦争に巻き込まれたわけではなく、自然災害の被害にあったわけでもありません。平均寿命をここまで下げたのは、エイズ感染拡大の影響です。最初にエイズ患者が発見された1984年ごろから、平均寿命は次第に低下していきました。ザンビアでは、成人の6人に1人がエイズウイルスに感染していると推定されています(UNAIDS2004統計による)。親に先立たれた子供たちは推定63万人、あるいはそれ以上いるといわれており、住まいや教育などに関するサポートが不可欠となっています。そして、子供たちが正しい知識をもち、将来エイズウイルスに感染することがないように、日本のNGOも現地で活動を続けています。


バックナンバー


地球村へのパスポート11月号
・緊急特集・パキスタン地震~急がれる支援 1人でも多くの命、救いたい
・ジャズのふるさと”ニューオリンズの復活を願って 日本ルイ・アームストロング協会の外山喜雄さん
・ボランティア活動保険を知ってますか?

地球村へのパスポート10月号
・インド人コミュニティーの増加で設立~インド国際学校
・地球を歩き、生命の尊さ伝える「木を植える男」ポール・コールマンさん
・フードマイレージとは?

地球村へのパスポート9月号
・Slow is beautiful!地域から世界を考える~カフェスローの試み
・STOP!子どもの買春・人身売買日本の旅行・観光業界が「コードプロジェクト」に調印
・LOHASって何?

地球村へのパスポート8月号
・カンボジアで小学校の建設目指す~映画「TAIZO」の中島多圭子監督
・伝えよう、ホワイトバンドのメッセージ~ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン
・250人にひとつの蛇口

地球村へのパスポート7月号
・たぶんかフリースクール~外国籍の子どもたちの居場所づくり
・特別コラム: シニア世代だからできる国際協力
・海を渡った日本の母子手帳

地球村へのパスポート6月号
・ピースボール~サッカーが世界をつなぐ
・特別コラム: 有機農場で、お金で買えない貴重な体験してみませんか?
・6月12日はバザー記念日

地球村へのパスポート5月号
・容器包装リサイクル法について考える
・特別コラム: 今日からはじめるエコ生活
・環境にやさしいリターナブルビン

地球村へのパスポート4月号
・京都議定書について
・特別コラム: 環境問題
・世界地図から消えてしまう恐れのある国 ツバル

地球村へのパスポート3月号
・(社)シャンティ国際ボランティア会インタビュー 緊急支援について
・特別コラム: 寄付金への意識
・世界最古の消防隊ローマから誕生

地球村へのパスポート2月号
・AMDAインタビュー 緊急支援について
・2月号特別コラム インドネシア・スマトラ島沖地震・津波災害に対する
    国際支援について日本のNGOを紹介

・国際用語 TSUNAMI

地球村へのパスポート1月号
・環境問題を考える
・1月号特別コラム 日韓友情年2005 ~進もう未来へ、一緒に世界へ~
・国際交流・協力まめ知識 スラム街からの贈り物
地球村へのパスポート12月号
・チャリティについて
・12月号特別コラム 世界人権宣言
・国際交流・協力まめ知識 外国の切手になった野口英世
地球村へのパスポート11月号
・国際協力に参加するには
・11月号特別コラム 世界エイズデー
・国際交流・協力まめ知識 エイズ~音のない戦争
地球村へのパスポート10月号
・国際協力に参加するには
・10月号特別コラム 国際コメ年と世界食料デー
・国際交流・協力まめ知識 ネリカ米 アフリカの救世主
地球村へのパスポート9月号
・国際協力に参加するには
・災害を通して命の大切さや協力の大切さを知る
・国際交流・協力まめ知識 厳冬の日本にモンゴルの温かい友情
地球村へのパスポート8月号
・国際協力に参加するには
・8月号特別コラム 100万人のキャンドルナイト
・国際際交流・協力まめ知識 バーチャル・ウォーター
地球村へのパスポート7月号
・国際協力の現場を訪ねるスタディツアー
・7月号特別コラム 人工問題は地球の未来の問題
・国際交流・協力まめ知識 世界の環境大都市だった江戸
地球村へのパスポート6月号
・暮らしの中でできる国際協力「フェアトレード」
・6月号特別コラム 「世界難民の日」に難民問題と国際協力を考える
・国際交流・協力まめ知識 戦後の日本人に希望をくれた国際協力
地球村へのパスポート5月号
・国際協力とは?
・5月号特別コラム -アースデイを通して国際交流・協力を考える-
・国際交流・協力まめ知識 -日本も世界から援助されたことがあった-
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