column1 緊急特集・パキスタン地震~急がれる支援
1人でも多くの命、救いたい
10月8日朝、パキスタン北部を震源とするマグニチュード7・7(M)の地震が発生しました。被害は同国北部を中心に隣国のインド、アフガニスタンまでおよび、死者数は最終的に5万人に達する恐れがあると報道では伝えられています。日を追って救援活動や医療支援はもちろんのこと、食糧・飲料水・テントや毛布などの生活物資が大幅に不足している被災地の実態が明らかになっており、特に道路などインフラが寸断され孤立状態にある山間部の村への支援が急がれています。現地で被害状況の把握や物資支援などに協力している国内の各NGOは、被災者の命を1人でも多く救いたいと、更なる寄付を呼びかけています。

崩壊したビルのすぐ近くに設営された緊急キャンプ(イスラマバード市内)
撮影:(特活)日本紛争予防センター奥村信司氏

 「これまでに経験したことのない揺れ」と村人が恐怖を語った今回の大地震では6万人以上が負傷し、国連は250万人以上が家屋を失ったと推計しています。パキスタン政府は世界に向けて緊急支援を要請し、支援の輪は大きく広がりました。ロイター通信によれば国際社会は総額3億5千万ドル(約400億円)の拠出を表明したと伝えられています。これまでに20カ国以上が緊急支援に協力し、人的支援でも日本の国際緊急援助隊始め、各国の人命救助専門チームが現地に派遣されました。国内の主なNGOも現地にスタッフを派遣するなどして支援活動に動き出しています。

特に被害が集中したのは、北部のカシミール地方です。1947年の分離独立以降、パキスタンとインドが領有権を主張し合ってきた紛争地で、停戦ラインよりパキスタン側のカシミールでは、いくつかの村が壊滅状態になったとも伝えられています。被災地の中には地震で道路が寸断され、ヘリコプター以外では現場に近づくことが難しい村もあり、山の被災者にどう支援物資を行き渡らせるかが、大きな課題となっています。山間部では厳しい冬が近づいており、被災者が少しでも寒さと飢えをしのげるよう、毛布、食糧、そして、雨や風をしのぐテントの配布が急務です。

国際協力NGOセンター(JANIC)のホームページでは、被害状況の把握や生活物資支援などに努力している各NGOの最新情報を掲示板で一覧できます。寄付をする際は、現地で緊急支援を行っている10団体(※)へのJANIC寄付サイトを利用すれば、郵便・銀行振込、あるいはジャパンネット銀行を通してJANIC経由で各団体に寄付金が届く仕組みになっています。
※(特活)AMDA、(特活)JEN、(特活)難民を助ける会、(社)セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、(特活)日本国際ボランティアセンター、(特活)日本紛争予防センター、(特活)シャプラニール=市民による海外協力の会、(財)ケア・インターナショナルジャパン、(特活)ピースウィンズ・ジャパン、(社)シャンティ国際ボランティア会

食糧支援をゲームで体験
昨年末のスマトラ島沖大地震や大津波から大きな災害が続き、飢えや貧困に苦しむ人々が世界各地に急増していることから、世界食糧計画(WFP)とゲーム会社大手のコナミが10月中旬からパソコンゲームソフト「FOOD FORCE」日本語版の無料提供を始めました。内戦や干ばつによる国土の荒廃から、飢えに苦しむ国の人々へ食糧を届けるという内容で、1人でも多くの人に世界の食糧問題に関心を持ってもらおうとの願いが込められています。
是非一度、食糧支援の調達から配給までをゲームで体験してみませんか。




column2 “ジャズのふるさと”ニューオリンズの復活を願って
日本ルイ・アームストロング協会の外山喜雄さん

銃や麻薬の危険と隣り合わせに生活するニューオリンズの子どもたちに楽器を贈る活動を続けてきた日本ルイ・アームストロング協会(外山喜雄会長)。8月末に超大型ハリケーン「カトリーナ」が直撃した“ジャズのふるさと”ニューオリンズの惨状に心を痛めた同会は10月10日、音楽仲間に声をかけ、恵比寿麦酒記念館で復興支援のチャリティーコンサートを行いました。当日は「聖者の行進」を演奏しながらの募金パレードやルイ・アームストロングの名曲「ワンダフル・ワールド」の大合唱で盛り上がり、会場は約3500人の観客であふれ返りました。集まった募金約180万円は、近々ニューオリンズへ贈る楽器やその搬送代に使われる予定です。「ジャズの街に再び音楽を」と呼びかける同会の外山喜雄さんにお話を伺いました。


Q 会の活動について教えてください。
A 発足は1994年です。大好きなルイ・アームストロングの音楽やジャズ関連の古い映像コレクションを楽しむだけでなく、会の象徴として考えたのが、楽器を贈るという活動でした。僕ら夫婦は1968年に移民船でアメリカに渡り、1973年までニューオリンズに住んでいました。そのときに見たのが、ジャズのふるさとなのに子どもたちが楽器さえ持てない現実でした。皮肉にも今度のハリケーンでアメリカの貧困層の苦しさが白日(はくじつ)の下にさらされたわけですが、日本から楽器を贈ることでアメリカの人たちにそのことに注目してほしいことが活動の目的の1つです。それと、僕たちはアメリカから素晴らしいジャズの音楽をもらったわけじゃないですか。ジャズという音楽が僕らの青春をどれだけ明るくしてくれたか。僕らの滞在中もたくさんの人に親切にしてもらったし、“Thanks, America”と心から感謝を表したい気持ちはいつも持っています。

Q 「銃にかえて楽器を」が活動のキャッチフレーズになっていますね。
A 僕らが帰国してからニューオリンズはずいぶん危険な街になりました。1992年ルイジアナ州バトンルージュで日本人留学生が射殺される事件もありましたが、現地の学校には、銃や麻薬を持ち込んではいけないという交通標識みたいな看板が必ずあるんですね。実はルイ・アームストロングも11歳のときに銃の発砲事件を起こして少年院に入れられて、そこで楽器に出合って、ああいう素晴らしいミュージシャンとしての人生を送ったわけです。僕らの活動で皆にルイ・アームストロングのことを思い出してもらえればと願っています。これまでに届けた楽器はトランペット、トロンボーン、クラリネット、サックス、フルート、チューバなど約500本になります。

Q ハリケーン直撃の少し前まで現地にいらっしゃったと聞きました。
A 8月4日にニューオリンズで「サッチモ・サマーフェスタ」というのがありまして、それに僕らはここ3年間出ているんですね。今年は楽器を贈る活動が外務大臣表彰を受賞しまして、現地の日本総領事館のパーティーに招かれました。それからまもなくあんなことになった。ニューオリンズを発ってロサンゼルスのフェスティバルに出演していたときで、CNNでは1日中そのニュースが流れていました。知人からは「急な避難だったから、持ち物はすべて失ってしまった」なんてメールが来たりして、気の毒でね。でも、メールができる人は一部分で、昔から知っている人たちでも連絡がとれていない人がほとんどです。楽器を失ってしまったミュージシャンには貧乏な人も多いんです。街から逃げ遅れた人たちは地元のコンベンションセンターで救援が来なくて大変な思いをして―。ジャズ博物館の館長とか、全然連絡がとれないんですよ。ときどきハリケーンは来る地域で、僕らが住んでいたときも後片付けの手伝いに行ったことがあるから状況はよく分かるんですが、今回のは規模が全然違いましたね。

Q チャリティーコンサートの企画は急きょ決まったのですか?
A 帰国後、「何かやらなくては」とずっと思っていて、25年前からニューオリンズ大好きなジャズバンドが集まって開いていた7月の「サッチモ祭」を10月の祝日に再度やろうと決まりました。サッポロビールさんのご好意でチャリティービールを用意してもらいましたが、1889杯も出たそうですよ。出演した14バンドも15分ずつの持ち時間だったから、皆その短い時間に思いの丈を込めなければって演奏も素晴らしかったしね。お客さんも良かった。開演30分前には満席で、始まってすぐに立ち見になりました。「聖者の行進」を演奏しながらの募金パレードはいつもやっている恒例イベントなんですが、これまで17万円くらいだったのが、今回は100万円近く集まりました。演奏側もお客さん側もハートがいっぱいだった。ハートってのは形のないものだけど、なんかその場に漂うんですね。本当にすばらしいコンサートになって、僕も大感激しました。

Q 皆さんの思いがニューオリンズに届くといいですね。
A バーボンストリートからもジャズのリズムが途絶えてしまったけれど、1日も早くあの街並みが復活してほしい。ニューオリンズの人は“BIG EASY”って言うんですよ。のんびりしていて温かくて。今回のハリケーンにもくじけずにがんばってくれることを信じて応援していきたいです。


■楽器の寄付
トランペット、トロンボーン、クラリネット、サックス、フルート、チューバなど宅急便で送ることができる楽器。連絡は電話(047-351-4464)かメール(saints@js9.so-net.ne.jp)で同協会へ。
※寄付された楽器は、都内のグローバル管楽器技術学院で修理技術を学んでいる生徒さんたちがボランティアでメンテナンスをした後、ニューオリンズの子どもたちに届けられます。
■救援金受付
・郵便振替 口座名:WJFニューオリンズ募金/口座番号:00140-4-741572
・銀行振込 みずほ銀行新浦安駅前出張所/普通預金/口座番号:1664098/口座名:ニューオリンズ募金



column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

ボランティア活動保険を知ってますか?
 ボランティア活動中の事故に対し、 ボランティアの人々を補償するのが「ボランティア活動保険」です。 たとえば、清掃作業のボランティア中に転んで怪我をした場合、 入院・通院費用など治療費が補償されます。また、炎天下の活動で熱中症になった、 感染症にかかったといったケースも補償の対象です。さらに、ひき逃げなどのように、 第三者から故意による加害行為を受けた場合は倍額補償となっています。 活動実態に合った補償であり続けるため、保険の内容は毎年確認・見直しが行われています。
昭和52年にこの保険が発足したとき、加入者は1万名でした。現在では150万名にも達し、 国内でボランティア活動への意識がいかに高まったかがわかります。 安心してボランティアに取り組めるために、このような保険は上手に活用したいですね。
関連サイト:ふくしの保険


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