column1 Slow is beautiful!地域から世界を考える~カフェスローの試み

 環境文化NGOナマケモノ倶楽部(辻信一代表)の活動拠点として、2001年にオープンしたカフェスロー。環境共生型の暮らしやビジネスを提案する“スロー”なコンセプトの数々が、全国各地から注目を集めています。稲ワラのブロックや珪藻土など、自然素材を使用した居心地の良い店では、コーヒーを飲みながら何時間もゆっくりと過ごす人もいれば、情報収集をする人、フェアトレード商品を買い求める人など様々で、地域住民の交流の場としても定着してきています。カフェスロー代表の吉岡淳さんにお話を伺いました。


Q 環境文化NGOナマケモノ倶楽部とは、どんな団体ですか。
A 環境に負荷をかけない中南米に棲むナマケモノの生き方を実践しようと、スローライフの提案、フェアトレードの実践、スロービジネスの支援などを行っています。20世紀は余りにも大量生産、大量消費、大量廃棄の時代でした。僕らの言うスローとは、単にゆっくりの意味でなく、これまでに切れてしまった自然、人間、社会、これら3者の関係をもう一度“つなぎ直そう”という意味です。そうした活動を環境運動としてだけでなく、環境文化として定着させる。つまり、日々の暮らしの中に根付かせていくことが目標です。

Q カフェを始めたきっかけは何ですか?
A 世の中の企業は、ありとあらゆるものが儲けを目指しています。そのためにずいぶん環境破壊をしていたりするわけですから、そうでない形で環境と調和したビジネスを立ち上げることが必要だと考えました。カフェにしたのは、倶楽部の世話人の1人、中村隆市さんがフェアトレードでブラジルやエクアドルから無農薬コーヒーを輸入する仕事をしていたからです。コーヒーという嗜好品を通して、来店した方たちに環境問題や南北問題について考えてもらうきっかけが作れると思いました。

Q コーヒーから考える環境問題とは?
A カフェスローで扱っているエクアドルのコーヒーは、農薬を一切使わない森林農法で栽培されています。森林農法とは、広大な土地に一斉に同じ作物を植えるプランテーションとは異なり、木を切らず、林間にコーヒーを植える農法です。サトウキビやトウモロコシなど多様な植物と一緒に育つので、森の環境は守られるし、持続的な農業が可能です。そういった生産者の状況は、見ようとしないと見えてこない。毎日の買い物も同じことです。スーパーでの多くの商品選択も、実はすべてが世界の環境とかかわっています。つまり、僕たちが日常生活で何をどのように選択するかも問題だと気づいてほしいのです。

Q “地域発”も重要なコンセプトの1つですね。
A 僕自身、ユネスコの事務局で働いていた30年の間、世界のあちこちに出かけて貴重な経験をさせてもらったわけですが、正直なところ、仕事と日常がつながっていませんでした。世界の平和を考えるには、まず生活者としての基盤を地域に持つことが重要だと強く感じ始めていたこともあり、住所のある府中市に店を構えたわけです。カフェスローでは、地域通貨を導入したり、上階をコミュニティースペースとして開放したり、地元とのつながりを大切に考えています。店を訪れる方は若い人からお年寄りまで様々。外の世界はすごいスピードで流れている中、自分を取り戻すように3時間も4時間もゆっくりしていかれる方もいます。

吉岡淳・よしおかあつし
1947年京都府生まれ。30年間に渡るユネスコ運動を経て、2001年に自身が暮らす府中市にカフェスローをオープン。同店経営のかたわら、大学やカルチャーセンター講師として、「環境教育」「平和教育」「ユネスコ世界遺産」などの講座を担当。


カフェスロー
府中市栄町1-20-17
営業時間:日月曜11:00~19:00・木金土曜11:00~22:00(ランチ木金土11:00~16:00)
定休日:火水曜
TEL:042-314-2833
E-mail: cafeslow@h4.dion.ne.jp
※ カフェスローでは毎週金曜の夜、電気を出来るだけ使わずにろうそくの明かりを楽しむ“暗闇カフェ”を開催中です。9月は2、9、16、23日に実施。ゲスト(暗闇演出人)によるライブもあります。料金は予約800円、当日1000円(共に1ドリンク付)。

column2 STOP! 子どもの買春・人身売買日本の旅行・観光業界が「コードプロジェクト」に調印
 18歳未満の子どもに対する買春、人身売買などの性的搾取が横行しています。罪のない子どもたちが性的な仕事を強要され、心身ともに深い傷を負うケースが後を絶ちません。法律の整備だけでは問題の根絶には至らないと、今年3月、旅行・観光業界を巻き込んだ「子ども買春防止のための旅行・観光業界行動倫理規範(コードプロジェクト)」合意書の調印式が行われました。その背景を紹介します。
「子どもに優しい旅行業者」を示すコードプロジェクトのロゴ。コード(行動倫理規範)を守ることを約束した会社に、使用が認められます。 合意書の調印式で (c)日本ユニセフ協会


子どもの買春を含む、人身売買問題についての深刻な事態が明らかになってきたのは日本では最近のこと。非常に実態をつかみづらいという問題の特質も一因のようです。日本ユニセフ協会が調査を依頼しているイノチェンティ研究所によれば、「不法移民や難民などの庇護の申請、密入国などといった形態の人の移動と非常に区別しにくい」こともあり、根絶を目指し、犠牲になった子どもたちを保護するためには、粘り強い活動が必要であると言われています。

闇で横行していた問題が表面化したのは1996年、ストックホルムで開かれた「第1回子どもの商業的性的搾取に反対する世界会議」でした。日本は東南・南西アジアで売買された子どもたちを外国へ密輸する際の主な中継国であると指摘されています。また、国内の性産業で働く約15万人の女性の中には、人身売買で送り込まれ、強制労働を余儀なくされている子どもが含まれていることも事実です。悪評高い「買春ツアー」に参加する日本人旅行者の存在もあります。日本の旅行業者が直接かかわっていなくても、現地のオペレーターが独自にかかわっているケースもあり、問題を複雑にしています。

法律の整備も不十分だった日本では、その後、日本ユニセフ協会によるアドボカシー(政策提言)活動などもあり、1999年に児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童保護等に関する法律が成立。2004年には同法児童福祉法の改正法ができ、本年6月には人身売買の罰則強化を盛り込んだ改正刑法が施行されました。そのことが評価を受け、米の人身売買被害者保護法(TVPA)による「監視対象国」からはようやく外れています。

法だけでは一掃に至らないと、制定された規範がCode of Conduct(コード・オブ・コンダクト)です。ユニセフや国際NGOのECPATが世界観光機関と連携して、世界の旅行会社やホテルなどに参加を呼びかけている啓発活動で、規範項目には子どもの性的搾取に関する倫理規定を従業員に徹底させること、旅行者や現地オペレーターへの周知、子どもの商業的性的搾取を拒否する契約を関連業者と取り交わすこと、年次報告義務などが盛り込まれています。

今年3月、米国に続く2番目の国として、世界最大規模の旅行業界を抱える日本で、コードプロジェクト発足式典が行われました。調印式には子どもの買春根絶に熱心に取り組んで来られた高円宮妃殿下やアグネス・チャン日本ユニセフ協会大使を始め、日本旅行業協会(JATA)および日本海外ツアー・オペレーター協会の会長、JTB社長、政府や関係機関の担当者らが出席。世界の罪なき子どもたちを取り巻く環境を少しでも健全なものにするよう、業界を挙げて力を尽くしていくことを確認し合いました。

一方、2003年には、全国のNGOや学識者による人身売買禁止ネットワーク「JNATIP」(Japan Network Against Trafficking in Persons)が設立されています。日本における人身売買の実態を明らかにし、その防止と共に被害者の保護・支援、加害者の処罰などを盛り込んだ実効性ある法律の制定を政府に働きかけていこうと、ロビーイング活動や啓発キャンペーンを行っています。

関連サイト
ユニセフが訴えていること
JNATIP構成団体

column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

LOHASって何? ローハス、あるいはロハスという言葉をご存知ですか? LOHASとは「Lifestyles of Health and Sustainability」の略語で、「地球環境保護と人間の健康を最優先し、持続可能な社会のあり方を志向するライフスタイル」の総称です。 米国の社会学者のポール・レイ博士と心理学者のシェリー・アンダーソン博士は、全米15万人を対象に15年間調査し、従来にない新しい価値観や世界観、ライフスタイルを持った人々を見出しました。それらの人々を「カルチュラル・クリエイティブス(生活創造者)」と名付け、LOHASの中心層としています。

LOHASに明確な定義はありませんが、「持続可能な経済」、「健康的なライフスタイル」、「代替医療」、「自己啓発」、「エコロジーなライフスタイル」というカテゴリーで表現されています。具体的に言えば、ウォーキングをする、食生活に気を配る、社会貢献している企業の製品を選んで買う、環境にやさしい商品を選ぶ・・・これらはすべてLOHASな暮らしということです。
アメリカでは成人の4人に1人、ヨーロッパでは3人に1人がLOHAS的なライフスタイルを送っており、日本でも増加していくと考えられています。

関連サイト
http://www.makelohas.com/
http://www.lohasclub.org/
http://www.lohas-world.com/


バックナンバー


地球村へのパスポート8月号
・カンボジアで小学校の建設目指す~映画「TAIZO」の中島多圭子監督
・伝えよう、ホワイトバンドのメッセージ~ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン
・250人にひとつの蛇口

地球村へのパスポート7月号
・たぶんかフリースクール~外国籍の子どもたちの居場所づくり
・特別コラム: シニア世代だからできる国際協力
・海を渡った日本の母子手帳

地球村へのパスポート5月号
・容器包装リサイクル法について考える
・特別コラム: 今日からはじめるエコ生活
・環境にやさしいリターナブルビン

地球村へのパスポート5月号
・容器包装リサイクル法について考える
・特別コラム: 今日からはじめるエコ生活
・環境にやさしいリターナブルビン

地球村へのパスポート4月号
・京都議定書について
・特別コラム: 環境問題
・世界地図から消えてしまう恐れのある国 ツバル

地球村へのパスポート3月号
・(社)シャンティ国際ボランティア会インタビュー 緊急支援について
・特別コラム: 寄付金への意識
・世界最古の消防隊ローマから誕生

地球村へのパスポート2月号
・AMDAインタビュー 緊急支援について
・2月号特別コラム インドネシア・スマトラ島沖地震・津波災害に対する
    国際支援について日本のNGOを紹介

・国際用語 TSUNAMI

地球村へのパスポート1月号
・環境問題を考える
・1月号特別コラム 日韓友情年2005 ~進もう未来へ、一緒に世界へ~
・国際交流・協力まめ知識 スラム街からの贈り物
地球村へのパスポート12月号
・チャリティについて
・12月号特別コラム 世界人権宣言
・国際交流・協力まめ知識 外国の切手になった野口英世
地球村へのパスポート11月号
・国際協力に参加するには
・11月号特別コラム 世界エイズデー
・国際交流・協力まめ知識 エイズ~音のない戦争
地球村へのパスポート10月号
・国際協力に参加するには
・10月号特別コラム 国際コメ年と世界食料デー
・国際交流・協力まめ知識 ネリカ米 アフリカの救世主
地球村へのパスポート9月号
・国際協力に参加するには
・災害を通して命の大切さや協力の大切さを知る
・国際交流・協力まめ知識 厳冬の日本にモンゴルの温かい友情
地球村へのパスポート8月号
・国際協力に参加するには
・8月号特別コラム 100万人のキャンドルナイト
・国際際交流・協力まめ知識 バーチャル・ウォーター
地球村へのパスポート7月号
・国際協力の現場を訪ねるスタディツアー
・7月号特別コラム 人工問題は地球の未来の問題
・国際交流・協力まめ知識 世界の環境大都市だった江戸
地球村へのパスポート6月号
・暮らしの中でできる国際協力「フェアトレード」
・6月号特別コラム 「世界難民の日」に難民問題と国際協力を考える
・国際交流・協力まめ知識 戦後の日本人に希望をくれた国際協力
地球村へのパスポート5月号
・国際協力とは?
・5月号特別コラム -アースデイを通して国際交流・協力を考える-
・国際交流・協力まめ知識 -日本も世界から援助されたことがあった-
top
東京都国際交流委員会 れすぱすトップ バックナンバー 地球村へのパスポート アパートれすぱす 今月のピックアップ