column1 カンボジアで小学校の建設目指す~映画「TAIZO」の中島多圭子監督
トナゥ・トットゥン集落の子供たち トナゥ・トットゥン集落の少女と中島監督

  「うまく撮れたら持って帰ります。うまく地雷を踏んだらサヨウナラ!」と友人に手紙を残し、26歳の時にカンボジアで消息を絶った一ノ瀬泰造カメラマン。激しい戦闘下でも、最期まで子どもたちを優しい目線で撮り続けたそうです。その一途な生き様に魅かれた中島多圭子さんが初監督したドキュメンタリー映画「TAIZO」が現在、劇場公開されています。カンボジアで取材を重ねた中島さんは、泰造さんのお墓がある村に「彼の生きた証」として小学校を贈りたいと寄付を呼びかけています。

Q 一ノ瀬泰造カメラマンのどんなところに魅かれていますか。
A 泰造さんを知ったのは、私が以前キャスターを務めていたテレビ番組で「地雷を踏んだらサヨウナラ」(1999年)という映画を紹介したときでした。ちょうど自分自身、今後の方向性を迷っていたころだったので、自分の目標や夢に迷わず突き進んでいく泰造さんの姿に非常に影響を受けました。その後、泰造さんの足跡をたどってみようと、テレビの仕事に区切りをつけましたから、現場に出て取材をするという転機のきっかけを与えてくれた人物でした。

Q 実際にカンボジアを訪ねたときの印象を教えてください。
A 佐賀県武雄に住むご両親の取材を終え、カンボジアの撮影は1999年でした。よくカンボジアを訪れた人が言うのですが、本当にふるさとに帰ったような温かさのある場所でした。シェムリアップでは、泰造さんが懇意だったレストランのファミリーにも会いました。彼の滞在から30年以上経った今でも、泰造さんを家族のように語っていました。シェムリアップは、彼が撮影したいと目指したアンコールワットのある村ではありますが、実はこういう人々がいたからこそ、彼はここに留まったのだと肌で実感しました。泰造さんの作品の中でも特に素敵な子どもたちの写真には、ジャーナリズムの枠を超えた個人的な思いを感じます。戦火の中でも人間として当たり前の生活をしている人たちがいる、というところに目を向けているんですね。最初は誰にも撮れないような戦場写真を狙う野望に燃えていましたが、最期はそうした人々の日常の方を大切に考えているようにも思えます。

Q 小学校を建設しようと思った経緯を教えてください。
A 泰造さんが反政府軍のクメール・ルージュに捕らわれて最期を過ごしたのは、アンコールワットにほど近いプラダックという村のトナゥ・トットゥン集落ですが、そこの集落長さんから小学校が欲しいと伺ってからです。そこの子どもたちは37、8度の炎天下、長時間かけて遠い集落の小学校まで通っています。先日、実際に現地で子どもたちと一緒に歩いてみて、その距離が小さい足にはあまりに酷で、危険だとよく分かりました。また、村人の証言によれば、泰造さんは最期の1週間、夜は手錠をかけられていたものの、昼間は撮影を許され、村人や子どもを一生懸命撮っていたようです。そんな泰造さんの生きた証としても、映画を広めて賛同者を集め、最期を過ごした地に小学校を建てることが出来たらいいなと思っています。村に記念碑があるので、子どもたちも泰造さんの名にとても親しみを持っています。

Q 実現に当たってどんなことが必要ですか?
A 資金はまだまだ足りないのですが一刻も早く小学校を贈りたいので、今月中には着工予定で、来春の完成を目指しています。ただ、建物を建てれば終わりではなく、出来ることはいくらでもあります。まず、地元の人たちの話に耳を傾けて、地元の人が必要なものを作る必要がありますし、教師の派遣、文房具の補助など、今後の運営についても課題はたくさんあります。それらは現地取材で分かったことです。映画を通じて思いに共感して下さる方をたくさん募って、何とか学校の贈呈式までには資金を集められればと願っています。



「TAIZO」スクール寄付金受付窓口
映画「TAIZO」事務局(チームオクヤマ)
TEL:03-5758-5200/FAX:03-5758-5201
映画「TAIZO」上映日程(~8月27日)
場所:渋谷のアップリンク・ファクトリー
http://www.uplink.co.jp/factory/
時間:14:00~、16:30~、19:00~
※毎週火曜19:00の回に中島監督と豪華ゲストとのスペシャルトークイベントがあります(監督のカンボジア取材報告もあります)

【関連サイト】
映画「TAIZO」オフィシャルサイト
http://www.teamokuyama.com/taizo/
※映画の関連情報はすべてオフィシャルサイトに掲載されています。また、映画に関する問い合わせも、上記サイトで受け付けています。

column2 伝えよう、ホワイトバンドのメッセージ~ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン
 今、貧困のため「3秒に1人が死んでいる」といわれるアフリカやアジアの子どもたちを救おうと、世界各地でNGOが連携してキャンペーンを始めています。日本でも複数のNGOが協力して「ほっとけない 世界のまずしさキャンペーン」を立ち上げました。貧困を「人災」ととらえ、団結して世界のリーダーに行動を求めていこうとするホワイトバンドプロジェクトについて紹介します。


 U2のボーカリスト・ボノ、俳優のトム・ハンクス、ブラッド・ピット、サッカーのベッカム選手や中田英寿選手、水泳の北島康介選手―。最近、これらの錚々たる著名人が、腕にシリコンゴム製のホワイトバンドをつけている写真や映像を見かけませんでしたか?

ホワイトバンドキャンペーンは、アフリカやアジアの貧困をなくそうと立ち上がった世界各地のNGOによる共同アクションで、日本でも7月からネットワークを組んでプロジェクトを開始しました。「好きなミュージシャンや俳優が身につけているから」「かっこいいから」、動機はささやかであっても、アフリカの貧困について考えるきっかけになってくれればいいと、運営側は願っています。

ホワイトバンドには、アスタリスクマーク「*」が3つ刻印されています。「3秒に1人」失われていく小さな命をもう失わせないと強い決意が込められたデザインです。ユニセフの「The State of the World's Children 2005」によれば、5才以下のうちに命を落とす発展途上国の子どもたちは年間1,000万人以上に上ると言います。計算すると3秒に1人が命を落としていることになり、非常に深刻な事態です。

20年前、アフリカの貧困救済を目的にチャリティーコンサート「ライヴ・エイド」が開かれ、280億円もの募金が集まりました。しかし、その額はアフリカ諸国が先進国に対して抱える莫大な債務のたった1週間分として消えたといいます。「もはや寄付のみではアフリカの貧困を救うことはできない。世界のリーダーたちに政策の抜本的な変更を働きかけていかなければ」という各国NGOの共通認識が今回の運動の出発点でした。

今年は7月、英グレンイーグルズのG8サミットに始まり、9月の国連総会「ミレニアム・プラス5」、12月のWTO(世界貿易機構)閣僚会議と、大きな国際会議が立て続けに開かれる年です。世界のリーダーたちにアフリカが貧困の悪循環から抜け出せるよう訴えるには絶好の年なのです。従来の援助方法や不均衡な貿易の仕組みを見直し、さらに債務を帳消しにしてもらうよう働きかける。ホワイトバンドがその目標に向けた一人ひとりの声であり、意志の象徴なのです。

バンドは1本300円です。売り上げはキャンペーンの活動資金に使われます。公式HP上でオンライン販売を受け付けている他、全国各地の有力書店やタワーレコードなどでも取り扱っています。(※HPに取扱店一覧が掲載されています)



関連サイト
「ほっとけない 世界のまずしさ」キャンペーン
ユニセフ の「The State of the World's Children 2005」(世界子供白書2005 英語版)



column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

250人にひとつの蛇口 日本では、1人当たり1日平均322リットルの水を使っています。それでは難民・避難民キャンプにいる人々は、どの位の水を手にしているのでしょうか。
 援助団体は、飲料水や調理・洗濯用の水として1日1人当たり18リットルを供給、250人につき少なくともひとつの蛇口を確保するよう努めています。18リットルとは食器洗い機の使用1回分の水の量とほぼ同じ、日本人の使用量の約1/18に相当します。蛇口をひねれば安全な水がたっぷり出る日本とは、あまりにもかけ離れた環境です。
 難民・避難民キャンプでは、水源の発見と水の輸送にどうしても時間がかかるため、援助団体は、輸送、貯水、殺菌などの処理が簡単になる「ブラッダー・タンク」または「ウォーター・ブラッダー」と呼ばれるゴム製の容器を使って、人々に安全な水を早く供給できるようにしています。
 8/1~8/7は「水の週間」。当たり前のように使っている水の重みを、改めて考えてみたいものです。


[出典:国境なき医師団日本 HP]
http://www.msf.or.jp/
http://www.msf.or.jp/placards/placard05.html


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