column1 京都議定書について

 今年の2月16日、京都議定書が発効されました。当日はニュースや新聞でもこの話題が大きく取り上げられ、発効を記念したさまざまなイベントも各地で行われました。ところで「京都議定書」という言葉はすでに耳慣れない言葉ではありませんが、具体的にはどのような内容のものなのでしょう。NPOの気候ネットワークに、京都議定書をわかりやすく解説していただきました。
気候ネットワークは、温暖化防止のために市民の立場から提言し、行動を起こしていく環境NGO/NPOです。温暖化防止京都会議(COP3)を成功させるために活動した「気候フォーラム」の趣旨・活動を受け継いで1998年に設立され、1999年に特定非営利活動法人として認証されました。地球温暖化防止のために活動する全国の市民・環境NGO/NPOのネットワークとして、多くの組織・セクターと交流・連携しながら活動を続けています。

Q 京都議定書とはどのような内容ですか?
A 京都議定書は、1997年12月に開催されたCOP3で採択された約束事です。1990年 を基準に、2008年から2012年の間に、6つの温室効果ガスを先進国全体で5.2%削減することを目標としています。国によって削減目標の数値は異なり、日本は6%、EUは8%、ロシアは0%などとなっています。6種類の温室効果ガスは、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、フロン類(HFC、 PFC、SF6)です。国によってこれらの排出量や原因となる割合は違いますが、日本の場合、二酸化炭素が全体の90%以上を占めています。

Q なぜ発効まで約8年もかかったのでしょうか。
A 京都議定書には、森林が二酸化炭素を吸収したと見なして削減量に含めてもよいということや、京都メカニズムという仕組みが含まれましたが、その細かい解釈や具体的ルールは決まっていませんでした。そのため、COP3以降、交渉を続けていましたが、各国の利害が対立することもあり、合意するのに時間がかかったのです。また、米国が京都議定書から離脱をしたり、ロシアが「批准(正式に参加を決める)」すると何度も表明しながらもなかなか批准しなかったりということもありました。 しかしながら、多くの国々の支持(現在144カ国が批准)もあり、2005年2月 16日に発効し、世界の正式な約束事となりました。

Q 開発途上国には二酸化炭素の排出削減義務はないのですか?
A 歴史的に見れば、先進国が長年、排出してきた二酸化炭素の量が圧倒的に多いという事実があり、現時点でも温室効果ガスの多くは先進国から排出されています。ですから、まずは先進国から温室効果ガスを削減しなければならないという考えが前提にあるのです。中国やインドは国土も広く人口も多いので、総排出量は多いのですが、ひとり当たりの排出量は先進国よりも非常に少ないものです。途上国でも、排出量の多い国や急激に増加している国は今後義務づけしていく必要はありますが、最初は先進国が削減しなければなりません。

Q クリーン開発メカニズムとは何ですか?
A 先進国と途上国が共同で温室効果ガス削減のプロジェクトを行い、その削減分の一部を先進国の削減に含めることができる、という制度です。例えば、先進国Aが途上国Bで大型風力発電を設置し、排出削減になると、その削減の一部を先進国Aの削減として含めることができます。

Q 京都議定書の発効により、日本はどのような義務を負うことになりましたか?また、それを達成するためにはどのような努力が必要なのでしょうか。
A 数値目標(6%削減)を達成することが必要です。政策や制度が現状のまま、一人ひとりが努力しても達成できません。抜本的な政策・措置が取り入れられることが必要です。例えば、よい形での炭素税の導入や、欧州で実績をあげている「自然エネルギー買取制度」などの早期導入が必要です。また、温室効果ガスを排出して経済を成長させる制度でなく、地域の資源を活かして温室効果ガスの排出が少ない持続可能な社会をつくっていくことが重要です。

Q 気候ネットワークからメッセージをどうぞ。
A 地球温暖化の被害はもうすでに現れていて、一刻も早く温室効果ガスの削減に取り組まなければとりかえしのつかない事態になってしまうでしょう。大量生産 ・大量消費・大量廃棄に頼らない持続可能な社会に変わっていくことが大切です。これは簡単なことではありませんが、より公平で安全で健康で平和で豊かな社会を目指すことで可能になるはずです。

column2 れすぱす4月号 特別コラム: 環境問題
 


 さまざまな環境問題の中でも深刻さが増す地球温暖化。問題に取り組む2つの団体の最新活動をご紹介します。

 NPO法人「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」、通称「足温(そくおん)ネット」は、1996年12月、温暖化対策に取り組もうと江戸川区で結成されました。市民が主体的に二酸化炭素排出量を減らしていくことが、足温ネットの「足元から地球温暖化を考える」ことにこだわる理由です。足温ネットは地域ぐるみ・市民レベルでの温暖化対策に向けて、市民への普及啓発や提言、実践活動を続けています。2001年2月にはNPO法人となり、環境イベント事業の委託などを請け負う一方、毎年江戸川区環境フェアに出展しています。
 私たちの日常生活の中でも、ほんの些細な気遣いが温暖化防止につながるかもしれません。その具体的な例を、副代表理事/事務局長の山崎求博さんに教えていただきました。

●窓や玄関に簾(すだれ)をかけると、直射日光と熱を避けることができる。
●打ち水をすると、その気化熱で地面の温度を下げ、涼しく感じる。
●暖房や調理にはガスを使うと、電気よりも二酸化炭素排出量が少なくて済む。
●スイッチ付きコンセントでオン・オフすれば、待機電力をカットできる。
●家電製品や照明を省エネタイプにすると、電力使用量を減らすことができる。
●移動には自転車や公共交通機関を使うと、エネルギー消費が小さくて済む。
●食べ物は旬のものを食べると、温室暖房や移動に使うエネルギーが必要なくなる。
●自然エネルギーを支援するためにグリーン電力基金に寄付する。

また、足温ネットでは温暖化防止のために、次のような活動を行っています。
●市民の共同による太陽光発電所を建設・運営。
省エネ家電の買い替えを希望する家庭に無利子融資を実施。省エネ効果をモニター。
●市民向けの普及啓発を目的としたセミナーを開催。

 省エネ家電の買い替えを希望する家庭に無利子融資を実施というのは、珍しい試みといえるでしょう。この点について、もう少し詳しくお話を伺いました。

「省エネタイプの新製品家電への買換えによる節電料金を先取りできるシステムで、省エネ家電購入者に無利子で節電料金5年分を融資するものです。財布からの出費なしで新製品が手に入り、省エネも無理なく達成できるというわけです。近年の家電製品の省エネ化は急速に進んでいます。冷蔵庫は10年前の1/5の電力しか使いません。私たちが融資したご家庭では、買い替え後の電気料金が月々2000円もお得になったところがありました。これは年間2万円以上の節約ですから、家計にとってもかなり助かるのではないでしょうか」。

 江戸川区およびその周辺地域在住の方は、この融資に応募することが可能です。家計と環境にやさしい一石二鳥のシステム、上手に利用したいですね。

 全国地球温暖化防止活動推進センター(JCCCA) は、1999年に施行された「地球温暖化対策の推進に関する法律」に従い、環境庁長官から財団法人日本環境協会が指定を受けました。このセンターの目的は、地球温暖化対策に関する普及啓発を行い、地球温暖化防止に寄与する活動の促進を図ることです。今回は具体的な活動内容などについて、JCCCAの中根真紀さんにお話をうかがいました。

Q JCCCAの具体的な活動内容について教えてください。
A おもに下記の1~6が活動内容の中心となっています。

1. 地球温暖化に関する国内外の情報の収集および提供
今年度は海外での地球温暖化防止活動の事例調査を行い、パンフレットとして発行する予定です。来年度は国内の事例調査を行う予定です。

2. 地球温暖化防止に関わる普及啓発・広報活動
地球温暖化をみなさんに知っていただき、防止のための活動へ一歩踏み出していただくため、パンフレットの配布、情報提供、各種イベントの実施・参加、パネル・学習教材の貸し出しなどを行っています。「ライフスタイル見直しフォーラム」は今年も開催予定です。

3. 環境学習の支援
地球温暖化を学ぶための資材、学習キット、DVDなどを貸し出しています。他の主体とパートナーシップを組み、教材開発も行っています。今年度は地球温暖化学習の副読本を作成する予定です。

4. 都道府県センターや推進員等の支援
地域における地球温暖化防止活動の中核的な役割を担う都道府県の地球温暖化防止活動推進センターは、3/21現在33あります。また、地球温暖化防止活動推進員も、現在全国に3500名ほどいます。研修や教材・情報の提供などで、こうした方たちの活動を支援しています。

5. NPO等との連携
地球温暖化防止のためのモデルとなる事業の実施を行ったり、学習施設「ストップおんだん館」でのイベント等を通してNPO等と連携し、各種の活動を行なっています。

6. 拠点施設による活動
「ストップおんだん館」は2004年7月30日にオープンした、日本で唯一の温暖化について特化して学べる参加・体験型の学習施設です。展示してあるものやプログラム等を通して、専門のスタッフ「インタープリター」が来館者に地球温暖化を防止するための活動へと一歩踏み出していただくような学びの場を提供しています。研修・ワークショップ等を通じてより多くの方に身近な取り組みを始めてもらおうと活動しています。展示パネルやツールの貸し出しを行って、全国各地で活用してもらえるようにしています。


Q 全国センターが活動をされていく上での問題点や今後の課題などを教えてください。
A 京都議定書発効を機に温暖化についての周知は広がったものの、一人ひとりが実感として感じ、「防止しよう!」という意識付けまではもっていらっしゃらないと思います。また、全国・都道府県センターともに発足したばかりのところが多く、ノウハウや問題点、解決策など横のつながりがうまくとれているとはいえないと感じています。そうした横の連携をどう作り出し、効果的な温暖化の普及・啓発活動を進めていくかが、今後の課題といえると思います。同時に、温暖化に関する情報は専門的で一般的に難しいものが多くあります。それらをわかりやすく伝えていく方法を考えていき、みなさんに興味を持って読んでいただくことで、国民のみなさんに温暖化防止のための活動へと一歩踏み出していただけるようにすることも課題です。

Q JCCCAから読者の方へメッセージをどうぞ。
A 地球がいままで何千年、何万年もかけてつくりあげてきた絶妙な自然のバランスを、私たち人間はこの100~200年という短期間に、発展と引き換えに壊してきています。地球温暖化が最も危機的な環境問題のひとつといわれているのはこのためです。しかし、地球温暖化は人間の活動が原因だからこそ、人間が止めること・解決することのできる問題です。数十年、数百年後も美しい地球があり人間が楽しく豊かに暮らせるよう、ちょっとだけ立ち止まって今の暮らしを振り返ってみてください。人間の生活と地球温暖化は関係しています。考えてみて、温暖化問題の防止のための一歩を踏み出してみましょう。

column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

 南太平洋に浮かぶツバルは、9つの珊瑚島(環礁の島)からなる人口約一万人の小さな島国です。すべての島をあわせても、面積は26平方キロメートル(品川区と同じくらい)しかありません。1978年にイギリスの植民地から独立した時、8つの島に人が住んでいたので、8つの島の人達が協力して国を作っていこうという意味を込めて国名を「TUVALU:ツバル」と決めました。ツバルは現地語で次のような意味を持っています。(TU = 立ち上がる + VALU = 8)

 ツバルの海抜は平均約2mほどなので、大潮や台風などの際にはしばしば冠水します。また、冠水する面積は年を追うごとに広くなっています。地球温暖化の影響で海水面の上昇がこのまま進めば、ツバルは今世紀中にも海中に沈んでしまうといわれています。「京都議定書」の発効に期待を寄せるツバルがいつまでも消えずにいられるかは、私たちが温暖化をどこまで防止できるかにかかっています。


世界地図から消えてしまう恐れのある国 ツバル 参照サイト:・Tuvalu Overview


バックナンバー


地球村へのパスポート3月号
・(社)シャンティ国際ボランティア会インタビュー 緊急支援について
・特別コラム: 寄付金への意識
・世界最古の消防隊ローマから誕生

地球村へのパスポート2月号
・AMDAインタビュー 緊急支援について
・2月号特別コラム インドネシア・スマトラ島沖地震・津波災害に対する
    国際支援について日本のNGOを紹介

・国際用語 TSUNAMI

地球村へのパスポート1月号
・環境問題を考える
・1月号特別コラム 日韓友情年2005 ~進もう未来へ、一緒に世界へ~
・国際交流・協力まめ知識 スラム街からの贈り物
地球村へのパスポート12月号
・チャリティについて
・12月号特別コラム 世界人権宣言
・国際交流・協力まめ知識 外国の切手になった野口英世
地球村へのパスポート11月号
・国際協力に参加するには
・11月号特別コラム 世界エイズデー
・国際交流・協力まめ知識 エイズ~音のない戦争
地球村へのパスポート10月号
・国際協力に参加するには
・10月号特別コラム 国際コメ年と世界食料デー
・国際交流・協力まめ知識 ネリカ米 アフリカの救世主
地球村へのパスポート9月号
・国際協力に参加するには
・災害を通して命の大切さや協力の大切さを知る
・国際交流・協力まめ知識 厳冬の日本にモンゴルの温かい友情
地球村へのパスポート8月号
・国際協力に参加するには
・8月号特別コラム 100万人のキャンドルナイト
・国際際交流・協力まめ知識 バーチャル・ウォーター
地球村へのパスポート7月号
・国際協力の現場を訪ねるスタディツアー
・7月号特別コラム 人工問題は地球の未来の問題
・国際交流・協力まめ知識 世界の環境大都市だった江戸
地球村へのパスポート6月号
・暮らしの中でできる国際協力「フェアトレード」
・6月号特別コラム 「世界難民の日」に難民問題と国際協力を考える
・国際交流・協力まめ知識 戦後の日本人に希望をくれた国際協力
地球村へのパスポート5月号
・国際協力とは?
・5月号特別コラム -アースデイを通して国際交流・協力を考える-
・国際交流・協力まめ知識 -日本も世界から援助されたことがあった-
top
東京都国際交流委員会 れすぱすトップ バックナンバー 地球村へのパスポート アパートれすぱす 今月のピックアップ