column1 (社)シャンティ国際ボランティア会インタビュー 緊急支援について

 タイ・ラオス・カンボジア・アフガニスタンに現地事務所を置く社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)は、アジアの人々と協力しながら、およそ20年にわたって各国の教育・文化支援に取り組んできました。
1980年1月、タイに逃れてきたカンボジア難民の救援を目的に、SVAの前身である「曹洞宗東南アジア難民救済会議」(JSRC)が結成されました。宗門による緊急救援終了が決まった翌81年に、JSRCのボランティア有志が設立したのが「曹洞宗ボランティア会」です。92年には「曹洞宗国際ボランティア会」と改称、99年には「社団法人シャンティ国際ボランティア会」として新たなスタートを切り、そして2003年には特定公益増進法人として認可を受けました。
現在、タイでは都市部のスラムや農村での保育園・学生寮の運営、ラオスでは学校建設や教材製作・配布、カンボジアでは学校建設・職業訓練センターの運営・ミャンマー(ビルマ)難民の支援、アフガニスタンでは学校建設などを行っているほか、4カ国で常設・移動の図書館活動を展開して開発協力・復興支援に取り組んでいます。


(社)シャンティ国際ボランティア会事務局次長 三宅隆史さんにインタビューしました。


Q 昨年末のスマトラ沖地震による津波は、かつてないほど大規模な被害を各地にもたらしました。SVAではどのような緊急支援を行っていらっしゃるのでしょうか。
A 12月29日にタイ事務所のスタッフが現地に到着、被害の大きかったパンガー県タクアパー郡を中心にして救援活動を行っています。これまでに飲料水や食料などの緊急救援物資の配布(約300家族)、避難所に対しては大型テント、給水タンク、浄水器設置の活動を実施、さらに約1500人の児童に対して制服・学用品などの配布を行いました。現在は子どもたちの心のケアに活動の重点を移していているところです。今後は移動図書館を使って、31の学校、保育園の約1万名(うち被災児童2000名)を対象に活動を行う予定です。また、本を100冊ずつ入れた図書箱を製作し、その配布も行うことになっています。

Q タイ以外の国でも支援活動を行っていらっしゃいますか。
A インドのタミルナド州では現地NGO・ASAGを通じ、またインドネシアのアチェ州においても現地NGO・PPSWを通じて救援活動を支援しています。

Q 日本には数多くのNGOがありますが、国外への緊急支援の実施となると、どの団体でもできるというわけではないと思います。緊急支援を行うために必要な要素とは何でしょうか。
A まず、NGO団体に緊急支援の経験があるかですね。それから担当者の能力や資金も大きく関わってきます。いくら「支援に行きたい」という思いがあっても、これらの要素のひとつでも欠けていては実際に行動を起こすことは難しいでしょう。また、実際に緊急支援を行えたとしても、その支援場所が限られてくることもあります。

Q 今回のように何カ国もが被害を受けると、すべての国に支援を行うことは限界があるということですね。
A そうですね。ですから私たちの場合は現地事務所のあるタイでの支援活動を中心に行っていますし、ほかのNGOも現地とのパイプが強い国を中心に支援活動を行っていると思います。もちろん被災したすべての国の救援ができればいいのですが、今回のような広域災害の場合、それぞれのNGOの利点がもっとも生かせる国での支援活動を中心に行うことが、限られた条件の中で最大の効果をあげることにつながるでしょう。

Q 緊急支援に行ったのに、「役立つことができない」ということもありますか?
A 被災地の状況は日々変化しますので、それに応じてニーズも変わってきます。今回も津波に襲われてから1週間で、医療や食料・水・衣類などの支援から、仮設住宅や保健衛生・子供たちとの関わりなど、生活の質的向上や心のケアなどの対応の必要性へと移り変わりました。その変化に合った支援活動を行ってこそ緊急支援なのですが、すでに数が足りているものを持ってきてしまうというような、タイミングの悪い支援活動が時折見受けられます。常に現地の状況を確認し、ニーズに合った支援をスピーディに行うことを心がけなくてはいけません。

Q そのためには、少しでも多くの支援金が必要となるのですね。
A その通りです。今回のスマトラ沖地震でも、多くの方々が寄付をしてくださいました。けれどそのほとんどは日本赤十字と日本ユニセフ宛で、NGOにはなかなか集まらないのが現状です。自分の支援金がどのように使われているのかがよく見える、それがNGOの利点のひとつです。知名度だけでなく、そういう面からも判断していただければと思いますね。

募金受付の郵便振替口座加入者名 社団法人シャンティ国際ボランティア会
*通信欄に「スマトラ」とご記入ください
口座番号 00150-9-61724
*郵便局からの振り込み手数料は免除されます
*特定公益増進法人への寄付として、所得税および法人税の優遇措置があります

column2 れすぱす3月号 特別コラム: 寄付金への意識
 


 日本における一世帯あたりの年間平均寄付額は約3000円です。一方、アメリカでは約19万円という数値が出ています(2000年)。この金額の差はどのように生じているのでしょうか。
また、寄付金は大きな組織や知名度の高い団体に集中し、そのほかのNPO/NGOにはなかなか寄付金が集まらないのが現状です。日本人の寄付金に対する意識、NPO/NGOの課題などについて、国内外のNPO事情に詳しい特定非営利活動法人パブリックリソースセンターの田口由紀絵さんにうかがいました。

Q 日本と海外の寄付金に対する姿勢や意識の持ち方はどのように違うでしょうか。また、その違いはどのような背景から生じたものと思われますか。
A 主にアメリカの場合ですが、所得の高い人も低い人も関係なく、寄付は誰にとっても非常に身近な行為です。ビル・ゲイツのように巨額な財産を手に入れた人が、その一部を社会に還元するために寄付を行うといったイメージがあるかもしれませんが、意外にも、アメリカ人の年間所得に占める寄付金の割合は低所得者の方が高いという調査結果も出ています。
アメリカで、普通の人があたりまえのように寄付をする理由は、いくつかあります。
第一に、NPOの数が多く歴史が長いことに加え、NPOが非常に身近で、意識するしないにかかわらず日常生活になくてはならない存在であることが挙げられます。「自分たちを取り巻くさまざまな問題を自分たち自身が解決する」という意識が浸透していて、福祉やまちづくり、環境や芸術などのあらゆる分野で、NPOがプロフェッショナルとしてサービスを提供しています。そしてそのNPOを、市民や地域住民が、寄付やボランティアといった形で支えることが当たり前だと認識されているという点が、日本との大きな違いかも知れません。
第二に、NPOを支えるシステムが整っていること。日本では、2005年1月現在で、寄付に対する税控除を受けられる団体として、NPO法人のうち、ほんの29団体が「認定特定非営利活動法人」に認定されているに過ぎません(公益法人や特増は除く)。一方、アメリカの場合は何十万というNPOが控除の対象となっています。つまり、日本では身近なNPOに寄付しても税控除は受けられないことがほとんどですが、アメリカではたいがいの寄付は税控除の対象となり、寄付への強い動機付けとして機能しています。この考え方の根底にあるのは、『公共』は行政だけが担っているのではなく、NPOも重要な担い手であるということ。税金を納める代わりに、自分が選んだNPOに寄付をする、という考え方です。

Q NPOに寄付金が集まりにくいのは、団体の知名度が低いというほかにどのような理由が考えられますか?
A NPOが身近ではないこと、寄付を促進するシステムが整っていないことはまず挙げられます。それから、NPOというと「無料奉仕が当たり前」という先入観があるのではないでしょうか。「NPOで食べる」ことができなければ、プロフェッショナルな活動を継続的に行っていくことは困難です。「NPOは運営資金を必要としている」ということへの理解が薄いことも、寄付が集まりにくい原因のひとつです。
また、社会の問題を自分の問題として受け止めることが足りないのではないかとも思います。例えばホームレスの問題でも子どもの虐待の問題でも、「行政が対処することだ」と、まるで人ごとのように思う人は多いのではないでしょうか。

Q 日本人ひとりひとりの寄付金に対する意識を高めるためには、どうすればいいのでしょうか。
A まず、NPOがもっと透明性を高め、積極的に情報発信を行う必要があります。ともすればNPOは「いいことをしているんだから、わかってもらえるに違いない」などと独善的になりがちです。広く市民の理解を得るためにわかりやすい言葉で伝えることが、苦手な場合も少なくありません。また、NPOへの優遇税制が実現すれば、寄付促進の大きな起爆剤になるでしょう。公共は市民ひとりひとりが担うものだというメッセージにもなるからです。
寄付という行為は自己表現のひとつの手段でもあり、社会への参加の現われでもあると思います。自分の問題意識や関心に合ったNPOを見つけて、是非、寄付というアクションを起こしてみてください。「ひとりの力では何もできない」などということはありません。小さな力でも、社会を変える可能性を秘めています。


田口 由紀絵(たぐち ゆきえ)
パブリックリソースセンター プログラムオフィサー
外資系銀行、国際交流団体マレーシア事務所スタッフを経て、ランカスター大学(イギリス)大学院でDiploma in Business Analysis取得。次いでケース・ウェスタン・リザーブ大学(アメリカ)大学院でMaster of Nonprofit Organizations (非営利経営修士号)を取得後、子ども通信社、チルドレンズ・エクスプレス東京支局長、アースセクター(株)スタッフを経て、現職。


 ・オンライン寄付サイト『GambaNPO.net』
 ・イーココロ! - NGOに募金できる募金のポータルサイト
 ・クリックで救える命がある
 ・NGO network Japan
 ・国際協力NGOセンター(JANIC)

column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

 新潟県中越地震では、東京消防庁のハイパーレスキュー隊の活躍が大きな注目を浴びました。この部隊は阪神淡路大震災をきっかけに創設されたものですが、歴史上の記録に残る最古の消防組織は、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥスが紀元前17年に組織した消防隊だといわれています。一隊500人からなる七隊で編成され、やぐらからラッパを吹いて火災を知らせました。消火活動用の装備品としては、バケツ、組立はしご、牛腸製のホースなどでしたが、建物から飛び降りて避難する人々のために大きな枕も準備していました。また、大火ではサイフォンを利用して水を吸い上げ、消火用水として使っていました。水頭圧を利用して火災時の水利としたのは、これが歴史上初めてのものではないでしょうか。現在の装備のルーツがこんな古い時代にまで遡るとは、先人の知恵には何とも驚かされます。

世界最古の消防隊 ローマから誕生 参照サイト:・東京消防庁


バックナンバー


地球村へのパスポート2月号
・AMDAインタビュー 緊急支援について
・2月号特別コラム インドネシア・スマトラ島沖地震・津波災害に対する
    国際支援について日本のNGOを紹介
・国際用語 TSUNAMI

地球村へのパスポート1月号
・環境問題を考える
・1月号特別コラム 日韓友情年2005 ~進もう未来へ、一緒に世界へ~
・国際交流・協力まめ知識 スラム街からの贈り物
地球村へのパスポート12月号
・チャリティについて
・12月号特別コラム 世界人権宣言
・国際交流・協力まめ知識 外国の切手になった野口英世
地球村へのパスポート11月号
・国際協力に参加するには
・11月号特別コラム 世界エイズデー
・国際交流・協力まめ知識 エイズ~音のない戦争
地球村へのパスポート10月号
・国際協力に参加するには
・10月号特別コラム 国際コメ年と世界食料デー
・国際交流・協力まめ知識 ネリカ米 アフリカの救世主
地球村へのパスポート9月号
・国際協力に参加するには
・災害を通して命の大切さや協力の大切さを知る
・国際交流・協力まめ知識 厳冬の日本にモンゴルの温かい友情
地球村へのパスポート8月号
・国際協力に参加するには
・8月号特別コラム 100万人のキャンドルナイト
・国際際交流・協力まめ知識 バーチャル・ウォーター
地球村へのパスポート7月号
・国際協力の現場を訪ねるスタディツアー
・7月号特別コラム 人工問題は地球の未来の問題
・国際交流・協力まめ知識 世界の環境大都市だった江戸
地球村へのパスポート6月号
・暮らしの中でできる国際協力「フェアトレード」
・6月号特別コラム 「世界難民の日」に難民問題と国際協力を考える
・国際交流・協力まめ知識 戦後の日本人に希望をくれた国際協力
地球村へのパスポート5月号
・国際協力とは?
・5月号特別コラム -アースデイを通して国際交流・協力を考える-
・国際交流・協力まめ知識 -日本も世界から援助されたことがあった-
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