column1 国際協力に参加するには/国際協力を仕事とするにはどうすればいいの?

「今まではボランティアで国際協力に参加していたけれど、より深く関わるため、国際協力を仕事としたい」。そう考えたとき、どんな準備をして、どんなステップを踏めばいいのでしょうか。仕事となると、ボランティアに比べてより専門的な知識や技術、職種によっては語学力も求められます。ただ曖昧に仕事としたいと思っているだけでは、国際協力の仕事に就くことはできません。

 まず、自分がどの分野の国際協力に進みたいかをしっかり決めましょう。例えば語学が得意な人ならばそれを生かした職種を、すでに専門的なスキルを持っている人ならば、そのスキルを存分に活用できる職場がいいでしょう。どんなジャンルが自分に向いているのか今ひとつはっきりしないという人は、大学やNGOの公開講座・セミナーに参加し、専門家の話をたくさん聞くのも参考になります。すでに国際協力の仕事に就いている人も受講している場合があるので、人脈を広げるいいチャンスでもあります。外務省でも国際協力を仕事としている人からアドバイスを聞ける機会を設けているので、情報を得るためのアンテナは常に広く張っておきましょう。

 自分の進みたい分野が決まっていてもそのためのスキルがない場合は、専門学校などで習得することになります。例えば語学力が必要になるなら、専門学校以外にも語学スクールで、あるいは留学、大学や大学院への進学、もちろん独学でもいいのですが、何らかの方法でその語学をしっかり習得し、なんの不自由もなくその言葉を話せるレベルにまで持っていかなくてはいけません。

 働きながら学べるのはインターンシップという制度です。これは国際協力に関わる組織で仕事を手伝いながら自分のスキルアップに役立てるというもので、大変効率のいい手段です。ただしインターン生の募集人数はさほど多くないので、応募時点である程度の能力を持っている必要があります。

 実際に就職先を見つけるには、外務省国際機関人事センターやJICAなどのサイトで求人情報を探したり、雑誌に掲載された募集を参考にします。JANICのように就職ガイダンスを行っているところもあるので、時期が合えば参加してみるのもいいでしょう。

<参考>
JICA・PARTNER(求人情報)
外務省国際機関人事センター
JANIC月例セミナー国際協力NGO就職ガイダンス

 では、どのような人が実際に国際協力の仕事に携わっているのでしょうか。

 もともとはボランティアとして国際協力に関わっていた人が、参加していたNGOやNPOの職員になるというケースは少なくありません。また、英語が大好きで、英語を生かした仕事を探していたら国際協力に行き当たったという人もいます。大学病院の医師だった人は、最先端の医療技術よりも予防接種1本で救われる命がある医療の道を選びました。共通しているのは、国際協力を仕事とするための努力を惜しまなかったことです。日中は大学に、あるいは会社で働きながら、夜は専門学校で国際協力のためのスキルを学ぶ。あるいは休日に集中して講座を受ける。その結果、ボランティアではなく仕事として国際協力に携わることになったのです。

 最後に、国際協力を仕事とした具体的な職種をいくつかご紹介しましょう。医師や看護師、編集者や整備士、そして日本語教師や情報処理技術者などはよく知られた一般的な職種ですが、ちょっと珍しいものでは義肢装具士(義肢を製作する)といった専門職もあります。保健師や理学療法士の資格も国際協力で役立てることができますし、開発コンサルタントも常に求められる人材です。開発コンサルタントとは現地でさまざまな調査や作業を実施しつつ、その国の援助プランを実現していく仕事で、極めて高度で幅広い専門技術や経験が不可欠です。開発コンサルタントが対象とする仕事と役割は広がる一方で、今後ますます必要とされる職種であることは間違いありません。

 国際協力を仕事とするのは決してたやすいことではありません。けれど門戸は確かに広げられています。まずは自分の進むべき分野を決め、その専門のスキルを身に付ける。そこから始めましょう。

参考図書:国際協力ガイド2006(国際開発ジャーナル社発行)

column2 れすぱす11月号特別コラム世界エイズデー
 


エイズは「後天性免疫不全症候群」という名前の病気で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスに感染して発病します。HIVは感染してもすぐに症状が現れません。しかし症状がないにも関わらず、性行為などによって他人にうつる状態にある期間が長く続きます。この期間を潜伏期間といい、短くて6カ月位、長い場合は15年以上の場合もあります。潜伏期間を過ぎエイズを発病すると、身体を病気から守る免疫系が破壊され、身体の抵抗力が低下し、さまざまな感染症や悪性腫瘍にかかってしまいます。発病を遅らせることのできる薬は開発されていますが、エイズを完全に治す治療薬はまだありません。

エイズはかつて、同性愛者や麻薬常用者の特別な病気と考えられていました。しかし、今やこの病気は世界中の地域に広まり、年齢、性別、裕福か貧しいか、どこに住んでいるかなどに関係なく、誰もがかかる危険に直面しています。

日本国内で見ると、2003年に新たに報告があったHIV感染者は640件(累積5780件)、エイズ患者は336件(累積2892件)と、過去最高になっています。感染ルートは性的接触が全体の8割(不明例を除くと95%)を占めています。

また、サハラ以南のアフリカ地域では、世界の感染者の6~7割が暮らしています。このエリアでエイズが蔓延した最大の理由は「貧苦」です。貧しいゆえに学校に行ったり教育を受けたりできず、エイズについての知識を得るチャンスがなかったことは致命的でした。多くの地域で、エイズが「どのような病気」で「どうやってうつるか」をはっきりとは知らないうちに、あるいはエイズが「特別な病気」として差別されるため、それをひた隠しにしていくうちに、どんどん感染が広まっていきました。エイズに対する取り組みでは「知識こそワクチン」といわれますが、その知識=ワクチンが徹底的に不足していたのです。

WHO(世界保健機関)は、世界的レベルでのエイズ蔓延防止と、患者・感染者に対する差別・偏見の解消を図ることを目的として、1988年に12月1日を“World AIDS Day”(世界エイズデー)と定め、エイズに関する啓発活動などの実施を提唱しました。1996年からは、WHOに代わって国連のエイズ対策の総合調整を行っているUNAIDS(国連合同エイズ計画)が、この活動を継承しています。日本もUNAIDSが提唱する“World AIDS Day”に賛同し、12月1日を中心に、エイズに関する正しい知識などについての啓発活動を推進しています。

今年のテーマは「HIVとエイズの違い、知っていますか?」です。ちなみにHIVとは「ヒト免疫不全ウイルス」で、血液や精液、膣分泌液などに存在する微生物です。エイズとは「後天性免疫不全症候群」のことをいい、HIVに感染することで免疫力が低下し、発症する病気です。

 もちろん、この1日だけエイズについて考えても意味がありません。エイズは誰もがかかる可能性のある病気であり、同時に正しい知識と情報さえ持っていれば、誰もが予防できる病気でもあります。自分の身をエイズから守るため、そしてすでにHIVに感染している人やエイズ患者に対して誤った接し方をしないため、私たちは「世界エイズデー」を機に、より正しい知識と高い意識を持つべきでしょう。


エイズ予防情報ネット
http://api-net.jfap.or.jp/
財団法人エイズ予防財団
http://www.jfap.or.jp/
財団法人日本ユニセフ協会
http://www.unicef.or.jp/


column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

エイズは世界で4番目に多くの死者を出しており、その死亡率の高さや患者数の多さから、「音のない戦争」と呼ばれます。銃声や砲弾の音はしなくても、信じられないほどの数の人々がこの病気で亡くなっているからです。実際、1980年代中頃からの累積で考えると、エイズで亡くなる人の数は戦争による死亡者の10倍になるとも言われます。そして、この問題が引き起こしている数多くの困難は、戦争と匹敵する、あるいはそれ以上のものです。

音のない戦争たとえば感染を知らずに拡大させてしまうこと。闘病生活に入ると収入が途絶え、看病にあたる人の負担が増すこと。そして亡くなると、子供たちはエイズ孤児として差別などを受けること。また、働き盛りの年代が大量に亡くなっているため、社会自体が崩壊するといった問題も生じています。

これまでのエイズによる死者は累計で2300万人、2010年までには4500万人に達すると予測されています。戦争で国が滅びるように、エイズもまた国そのものを滅ぼしてしまう力を持っているのです。音もなく人々に忍び寄ってくる分、ある意味戦争よりも恐ろしい脅威といえるかもしれません。(出典:日本ユニセフ協会ホームページ)



バックナンバー


地球村へのパスポート10月号
・国際協力に参加するには
・10月号特別コラム 国際コメ年と世界食料デー
・国際交流・協力まめ知識 ネリカ米 アフリカの救世主
地球村へのパスポート9月号
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・災害を通して命の大切さや協力の大切さを知る
・国際交流・協力まめ知識 厳冬の日本にモンゴルの温かい友情
地球村へのパスポート8月号
・国際協力に参加するには
・8月号特別コラム 100万人のキャンドルナイト
・国際際交流・協力まめ知識 バーチャル・ウォーター
地球村へのパスポート7月号
・国際協力の現場を訪ねるスタディツアー
・7月号特別コラム 人工問題は地球の未来の問題
・国際交流・協力まめ知識 世界の環境大都市だった江戸
地球村へのパスポート6月号
・暮らしの中でできる国際協力「フェアトレード」
・6月号特別コラム 「世界難民の日」に難民問題と国際協力を考える
・国際交流・協力まめ知識 戦後の日本人に希望をくれた国際協力
地球村へのパスポート5月号
・国際協力とは?
・5月号特別コラム -アースデイを通して国際交流・協力を考える-
・国際交流・協力まめ知識 -日本も世界から援助されたことがあった-
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