column1 人口問題は地球の未来の問題

今月は、国際協力の現場を訪ねるスタディツアーを紹介します。

地元の人と一緒に植林
「地元の人と一緒に植林」

 スタディツアーとは明確な学習目的を持って現地に赴く旅行です。 現地の実態を学ぶには最もよい学習方法の1つといわれています。もともとはヨーロッパで教師が、アフリカの開発途上国などへ出かけ、 現地の実態に触れ、臨場感溢れる教材を作成した事がきっかけだとされています。 現在ではかたちを変え実際に現地へ出かけ、 体験するというスタイルのスタディツアーがNGO等の団体で広く行なわれています。

 日本でも国際協力の活動が活発になるに伴い、現地での活動を支援者が見、理解を深める目的のツアーが広がりました。 そしてそのツアーは幅が広がり、現在では現地での活動の様子だけでなく、開発途上国の一般的な問題までを現地で体験し、 ともに理解し、深く考えられるように構成されているツアーが多くなりました。

 国際協力に関するスタディツアーは多くの教育機関で取り上げられ、 そのツアー参加の経験をきっかけとして国際協力を仕事とする選択をする学生も少なくありません。

 また実際にボランティアとして活動に短期間参加するワークキャンプなども開催されるようになりました。 ワークキャンプでは、農村での井戸掘りや教育のための学校づくり、 孤児たちの家作りといった現地での活動を実際にお手伝いする開発活動を組み込んだスタイルで、 スタディツアーとはまた少し異なりますが、 最も有効な体験学習の1つとして多く開催されています。

 スタディツアーの多くは支援者だけでなく、一般の方々を対象としているため、長期休暇のとりやすい、 夏休みや春休みなど気軽に参加できるように組まれているツアーも少なくありません。 長期休暇の前には多くの募集告知をみかける事ができます。
〔 参 照 〕
スタディーツアー開催団体イベントカレンダー

村人の民族舞踊披露
「村人の民族舞踊披露」

 スタディツアーの目的は現地の状況を体感することに重点を置いていますが、 現状を理解するだけでなく、現地の方々との交流も大きな要素となっています。 子どもたちに日本の歌や遊びを教えてあげたり、また現地の遊びを教えてもらったり、 お互いの国の文化などを通しての相互理解が必要となります。

 事前に現地の様々な情勢や問題や必要な支援について勉強をするのはもちろんですが、 まず日本の文化を勉強し、正しい日本を理解することも必要かもしれません。

 スタディツアーという短期間のツアーに参加することは可能でも、 実際には海外に行ってずっと支援活動をお手伝いすることは、 日本で普通に生活をしている私たちにとってはかなり困難なことかもしれません。 ツアーに参加することで現地の様子を真摯に受け止め、日本にいても出来る環境改善や支援を実行する。 できることをできるだけお手伝いする。それだけでも国際協力の大きな力となるに違いありません。 (参考資料 国際開発ジャーナル社 国際協力用語集【第3版】、写真提供:スタディツアー研究会)

 1997年5月にスタディツアーの質的向上を目的として、 ツアーを行っているNGOや旅行会社関係者を中心に発足した「スタディツアー研究会」では、 参加者向けの手引書『スタディツアー旅券(パスポート)』や、 主催者向けの『スタディツアー安全管理ハンドブック』など出版物を発行していますので、参考にしてください。

れすぱすバックナンバーより、 「国際理解を促すスタディツアー」


購入希望の方は電話かメールでお問合せください。

スタディツアー研究会
〒151-0053東京都渋谷区代々木3-5-7-403(特定非営利活動法人)ヒマラヤ保全協会気付
http://www.ngo.gr.jp/ihc(ヒマラヤ保全協会内)


地元の人と一緒にゴミの分別収集について学ぶ
「地元の人と一緒に
   ゴミの分別収集について学ぶ」


「スタディツアー旅券(パスポート)」 スタディツアーに関するQ&Aやツアー参加者の感想などが満載されています。

より安全なツアーを行うことを目的にした各団体間の情報交換や勉強会の蓄積をまとめた「スタディツアー安全管理ハンドブック」

column2 7月号特別コラム 人工問題は地球の未来の問題
 
2005年には64億人を超える世界人口

 1987年7月11日に世界の人口が50億人を超えました。国連はこの日ユーゴスラビアで生まれた男の子を50億人目と認定しています。 そこで人口問題の認識を深めることを目的に、世界人口基金(UNFPA)はこの日を「世界人口デー」と定めました。

 世界人口は1950年に25億人を超え、1960年に30億、1975年に40億、そして1987年が50億と推移し、60億人を超えたのが2000年です。 来年の2005年には64億人を超え、2015年には72億人、2025年に79億人を超えると推計されています。(資料:総務省統計局)

 少子高齢化が問題となっている日本では、 厚生省が2003年の人口動態調査で女性が一生に産む子供の数(合計特殊出生率)が1.29となったと発表しました。 人口の減少が課題とされている日本とは対照的に、「世界人口白書2003」によれば、世界的に人口の増加率こそ低くなっていますが、 開発途上国と呼ばれる地域の人口増加率は依然高いままとなっています。

人口増加の問題は子ども達や女性の生活改善から

 開発途上国などでは子供は経済的資産として扱われています。 養育費用は高くなく、労働力が増えるのです。 また社会保障サービスが確立していない国がほとんどで、多くの国において子供は老後の支えとして産み、 結果大家族になる傾向があります。また十分な医療施設もないため子供が亡くなる確立が高く、 生産年齢まで達する子供の数を増やすために多くの子供を生みます。 このようにあらゆる側面から開発途上国などでは人口が増え続けているのです。

 農村地帯などでは貧困のため、労働をさせるためなどの理由で子供の多くが教育を受ける事ができません。 また貧困のため十分に食料を得ることができず亡くなっていく人がたくさんいます。 「死」から逃れるため住んでいる地域を捨て、都市部などに移り住み職をもとめますが、 教育を受けていないため職業に就くことが難しく貧困からは抜け出す事ができません。

 1994年にエジプトのカイロで世界人口開発会議が開催されました。 人口増加を抑制するためには経済開発と家族計画の両方が必要であるとの考えを発表しました。

 子供を生み育てる女性たちが子育てや教育、保健医療などの知識を得、 収入の手段を得ることが大切だという考え、また女性が開発の担い手として 開発のあらゆる段階に積極的な参加の機会を与えられなければならないというコンセプト(女性と開発 WID)も広まりました。

 開発途上国では安全で使い易く効果的な避妊用品を手に入れることが難しく、 それらを使用する知識や教育を受けていない人々が大勢います。 また宗教などの文化的な側面から避妊を妨げている場合もあります。 避妊具の使用の知識がない国では子供が増えるばかりでなく、HIV/AIDSの感染で多くの人が亡くなっています。 アフリカでは平均寿命が30歳代半ばという国もあるのです。こういった国では労働力を増やすためたくさんの子供を生む必要があり、 生まれながらにしてHIVに感染している子供も少なくありません。また幼くして多くの子供が孤児となっています。

 このように人口問題はあらゆる側面の問題を抱えています。 貧困が解消し経済が活性化すると人口増加は抑制されると考えられます。 人口の増加は世界規模の食糧難を招きかねません。これ以上の人口増加は私たちの将来にもかかわります。 人口問題を考え、途上国にできる支援を行ない貧困の解消につなげる事が人口問題を解決できる第一歩かもしれません。

人口問題を考える契機に

7月8日に「2004年世界人口デー特別シンポジウムカイロ会議から10年-人口問題とODAを考える」 (主催 : 人口問題協議会、(財)家族計画国際協力財団、(社)日本家族計画協会)が開催されます。 シンポジウムでは人口開発会議以降の世界の取り組みの検証と今後の人類の課題、日本の役割についても議論を深める予定です。
http://www.joicfp.or.jp/jpn/event/sympo_2004.html


column3 国際交流・協力まめ知識
知ってて得する!?国際協力のあんなこと、こんなこと。

高齢化と少子化が大きな問題となっている現在の日本ですが、 江戸時代には江戸の人口は最盛期の1721年に130万人といわれ、 1800年頃のロンドン86万人、パリ54万人と推計される他の都市と比べても多くの人々が暮らしており、 江戸は当時世界最大規模の都市でした。

人口増加は人間の生活の質や環境に対しても大きな影響を与えますが、大都市であった江戸は当時水道網が敷かれ、 様々なものがリサイクルされる清潔な環境都市であったと言われています。 江戸の水道は徳川家康の命令で小石川上水(後の神田上水)からつくられ、 需要が増えるに伴い多摩川から江戸市中まで総延長43キロの玉川上水がつくられました。 多いときには6本の上水が引かれていました。

また、庶民の生活ではリサイクルが当たり前となっていたようです。 たとえば、かまどの灰は染物の材料や肥料に、雨水をため防火用水として利用、 人間の屎尿も野菜作りのための肥料として売買するなど、捨てるものがないくらいリサイクルされていたといわれます。



バックナンバー


地球村へのパスポート6月号
・暮らしの中でできる国際協力「フェアトレード」
・6月号特別コラム 「世界難民の日」に難民問題と国際協力を考える
・国際交流・協力まめ知識 戦後の日本人に希望をくれた国際協力
地球村へのパスポート5月号
・国際協力とは?
・5月号特別コラム -アースデイを通して国際交流・協力を考える-
・国際交流・協力まめ知識 -日本も世界から援助されたことがあった-
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