今この瞬間にも世界で起こっている様々な問題に対して、日本の多くの若者たちの認識はあまりに浅いのではないでしょうか? 同世代の日本の若者たちに、もっと世界に目を向けてほしい、行動に移すきっかけを作りたいと、2006年12月、数人の大学生が
「vista」プロジェクトチーム
を立ち上げました。創刊号のインドから、アジアや中南米の国々を取材し4号を重ねた、大学生が作るワールドワイドマガジン「vista」をご紹介します。
■日本の若者に「変化」をもたらしたい
「vista」プロジェクトチームは、2006年に東京大学の数人の学生が「インドを取材してフリーペーパーを作ろう」と思い立ったことで発足しました。目的を持って海外へ出かけ、自分で見て、感じて、考えたことをかたちにしたいという思いは、2007年5月、「vol.1 インドで受けた衝撃」となって創刊。以後、2008年12月発行の第4号まで、カンボジア、中国、メキシコ、タイ、ベトナムを取材してきました。
「vista」とは、スペイン語で「展望」の意味。手に取った人の新しい展望となりたいというプロジェクトチームの願いが込められています。世界中で起きている環境問題、貧困問題、人権問題は地球的課題。同じ学生の視点でそれらを伝えることで、多くの学生や若者に親近感を持ってもらい、世界の問題を認識し、行動に結びつけてほしい。メンバーたちはその真摯な取材と原稿で協賛企業を募り、発行を実現しています。
メンバーは原則的に2号関わると引退し、現役メンバーのアドバイザーとなってサポートに回るシステム。毎回、新たなメンバーを募集して顔ぶれが決まるところからプロジェクトはスタートするそうです。東京大学の学生が始めた団体でしたが、今では東京大学を中心に首都圏の複数の大学の学生が加わりました。取材国は、それぞれが行きたい国とそこで取り上げたいテーマをプレゼンし、みんなで決定。その国の社会問題について事前の勉強会を行い、現地のNGO,NPOや施設にアポイントメントを取ります。そして、春休みや夏休みを利用して現地取材に向かいます。
■発信する喜びとやり遂げる充実感がある
ベトナムを取り上げた第4号では、ハノイ班、ホーチミン班に分かれて8日間の取材を実施。「ベトナム戦争。枯れ葉剤。−消えない傷あと」「変貌を遂げるベトナム経済−将来は経済大国!?」「ストリートチルドレン」「障害を乗り越えて−福祉で見たベトナムそして日本」などの記事のほか、日本でも取材した「日本で働くベトナム青年たち」や、ユニークな突撃取材「ベトナム人の恋愛観」といったコンテンツが並びました。
大変なのは取材と執筆だけではありません。企画書を携えての協賛企業回りから、書き上がった記事の確認作業、デザインレイアウト、入稿から印刷、配布校や学生団体へのアポと郵送、協賛企業への報告書作成とお礼まで、熱意とチームワークでやり遂げると、充実感もひとしおです。配布場所も毎号増え、第3号では全国90の大学に配布。第4号では読者対象を高校生にも広げ、全国約90の大学と約50の高校に配りました。
第3号と4号に携わった東京大学2年の芳賀彩花さんは、「vista」での一番の収穫を、発展途上国への見方が変化したこと、そして「vista」の意義について改めて考えさせられるようになったことだと言います。「vistaに関わる以前に行った海外旅行では、現地の人々の暮らしを肌で感じることはありませんでした。しかし、vistaで取材を重ねるうちに、たとえば貧困や麻薬というマイナスイメージしかなかった彼らが、そういった環境でも卑屈になることなく、むしろ自分たちの暮らしをより良くするため一生懸命に、生き生きと人間臭く生きている姿に圧倒されました。そして、彼らに対して「かわいそう」という感情を抱いていたことを反省しました。同情からただお金や物品を渡して援助したつもりになるのではなく、その国が抱える問題の原因は何か、どうしたら解決できるのか、という根本について、私たちはもっと考える必要があると思います。そして、vistaが若者に対するそのきっかけになることを願っています」。
次の取材国はオランダとのこと。「vista」を目にしたら、ぜひ持ち帰って読んでみてください。
「vista」は現在vol.1〜4まで発行されている