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日本語教室を通じて子どもたちの未来をサポート!NPO法人IWC 国際市民の会
7月のクローズアップは「NPO法人IWC 国際市民の会」です。在日外国人と地域の日本人の共生を目標に掲げ、語学教室や交流イベント、通訳・翻訳など、さまざまな活動を行っています。日本語教室の講師から事務局のスタッフまで、IWCの活動を支えているのは、その理念に共感して集まったボランティアの方たちです。今回は子ども向けの日本語教室について取材をさせていただきました。
伊藤美里理事長(中央)を囲んで。
ご主人の伊藤誠一理事(左端)、
講師兼事務局スタッフの樋口恵菜さん(右端)
最初に訪ねたのは品川区立山中小学校。ここでは、日本語が話せない小中学生を対象とした語学教室、「JSL(Japanese as a Second Language)」が行われています。ほとんどゼロの状態からスタートしたビギナーの子どもたちばかりと聞いていましたが、教室を覗いてみると、どの子もしっかり先生とコミュニケーションを取っていることに驚かされました。授業を見学した後、事務局の寺脇洋子さんと、当日指導にあたられていた福永博美さん、前川みつ子さん、横田眞佐子さんにお話を伺いました。
JSLについて教えてください。

山中小学校にあるJSLの職員室にて


寺脇さん: JSLは、まだ日本語能力が不十分で学校の授業についていけない小中学生をサポートするための教室です。今日行われているJSLTは、いわゆる「取り出し」と呼ばれるもので、学校の授業時間を使って行う短期集中型の日本語教室です。子どもたちは毎日午前中にここで日本語を勉強し、給食の時間からは自分の学校へ戻ります。3〜4ヶ月で学校生活に必要な日本語が身についたらJSLTは卒業です。その後も教科の学習に対するフォローが必要な場合は、水曜と土曜の放課後に行われるJSLUに参加してもらいます。評判を聞きつけて品川区外から通ってくる子どもたちもいるんですよ。

授業はどのように行われるのですか。
寺脇さん: JSLTは3つのクラスに分かれています。年齢に関係なく日本語の習熟度によってクラス分けをするので、小学1年生と中学3年生が席を並べることもあります。今は人数が少ないのですが、今年の3月までは20名以上の子どもたちがいて、それはもう賑やかでした。グループで学習することの良さは、何といっても話す機会を多く持てること。また似たような境遇の子どもたちが一緒に勉強することで、互いに励まされるようです。JSLUでは、学校で使用している教科書などを使って学年ごとに授業を行います。
  
JSLTの教材「にほんごをまなぼう」
指導にあたってどのようなことに気をつけていますか。

福永さん: 自らの意思で来日する大人とは違って、子どもは「連れて来られた」という意識を持ちがちです。そのために日本語を学ぶことになかなか前向きになれない子もいるので、できるだけたくさんしゃべる時間を作って楽しく取り組めるよう心がけています。

横田さん: 特に低学年の子は何か作業があると喜びますね。今日は理科の実験がテーマだったので、一緒にシャボン玉を作りました。それから子ども同士で何か競わせると、とても盛り上がります。授業の中に「動き」を取り入れることがポイントだと思います。

前川さん: 私は指導の仕方に悩んだら、ほかの先生に相談するようにしています。本で勉強したり講義を聴くのもいいのですが、IWCには経験豊かな先生がたくさんいますから。色々とアドバイスをしてもらいながら、よりよい授業ができるようにがんばっています。

  
授業風景 山中小学校にて
次に訪れたのは品川区西大井にあるIWCセンター。もとは小さな音楽スクールだったという建物は、理事長ご夫妻がIWCの活動拠点にと探し出されたものだそうです。ここで行われていた「高校入学支援日本語教室」にお邪魔し、伊藤美里理事長にお話を伺いました。
高校入学支援を始められたいきさつを聞かせてください。

伊藤さん: 外国からやって来た子どもたちにとって、高校入試はとても高いハードルです。それなのに、満15歳を過ぎた子どもや母国で中学校を卒業してから来日した子どもは、日本の中学校に入ることができません。日本の高校へ進学したくても、日本語や日本の文化を習得する場所も、受験のためのノウハウを授けてくれる人もいないんです。どんなに力のある子どもでも、これでは入試を突破するのは難しいでしょう?そこでIWCでそういう子どもたちのサポートをしようということで始めたのが、この「高校入学支援日本語教室」なんです。対象となるのは学齢を過ぎた外国人の子どもたち。日本語や教科の勉強だけでなく、礼儀やマナーを身につけさせることにも力を入れています。嬉しいことに2006年の開講以来、この教室を修了した子どもたち全員が進学の希望を叶えているんですよ。

教室はどのように進められるのですか。

伊藤さん: 授業は週4日、一日4時間。高校の入学試験はとにかく問題量が多いので、時間内に日本語の設問を読み取って解答できるように、まずは日本語を集中的に勉強してもらいます。毎日の宿題は日記を書くこと。きちんとした文字の書き方を覚えるのにも、漢字や言葉の数を増やしていくのにも、日記はとても役に立つんですよ。
ある程度日本語の能力がついたら、教科の勉強を始めます。IWCの講師陣は教員経験者が多く、とても質が高いと自負しています。教えるのに一番苦労する科目は社会、そして子どもたちが共通して苦手なのは国語ですね。模擬試験を二回やるのですが、一回目はみんな惨憺たる結果です(笑)。でも、いいんですよ。できないところがわかれば、そこを重点的に勉強することができますから。みんな本当に一生懸命ですよ。彼らの頑張りを日本の子どもたちに見て欲しいと思うぐらいです。

  
授業風景IWCセンターにて
指導の際、どのようなことに気をつけていますか。
伊藤さん: 子どもたちの自尊心を傷つけないことですね。子どもは気持ちに波があるけれど、本人がやりたいと思うようになるまで待ちます。どの子も必ずやる気になってくれますよ。それから、ものの考え方や宗教の違う国で育った子どもたちだということを、教える側もしっかり理解してやっていかないといけません。日本人のようにやりなさい、というのは絶対にNGです。
私はIWCの活動のキーワードは「やさしさ」だと思っているんです。子どもたちの教室でも、大きい子が小さい子の面倒をみたり、同じ国から来た子ども同士が気遣い合ったり、違う国からやって来た子どもたちが少しずつ互いを理解し合ったり……。そこから生まれてくる「やさしさ」を何より大切にしたいと思っています。
今後の課題はありますか。

伊藤さん:IWCにこういう支援をしている教室があることをもっと広く知ってもらいたいと思っています。高校入学支援を行っている団体は数えるほどしかなく、困っている子どもはたくさんいるはずなんです。でもなかなか情報を得ることができなくて、この教室を探し当てるまでに長い時間を費やしてしまう子どもたちもいます。ここでは受講生を随時受け入れていて、たとえ11月に入って来たとしても、翌年の3月の受験に向けて全力でサポートします。ですがやはり、少しでも早くこの教室へ辿りついてもらいたいんです。子どもにとって一日一日が貴重ですからね。
私自身は、本当に日々楽しくやっております。子どもたちからもらうエネルギーのおかげでいつまでも元気でいられますし、何より彼らが可愛くて仕方ないんです。これからもしっかりと地に足をつけて、そして楽しみながら活動を続けていきたいと思っています。

この日教室で勉強していた二人にインタビューさせてもらいました。
Q1 自己紹介をしてください。
小倉サイナ、17歳です。フィリピンから来ました。 比嘉章吾、15歳です。
ボリビアから来ました。弟が3人います。
Q2 IWCをどうやって知りましたか。
父がインターネットで探してくれました。 母とおばが見つけてくれました。
Q3 IWCでの勉強はどうですか。
楽しいです。宿題の日記は20分くらいで書きます。 ちょっと難しいです。漢字が苦手です。
Q4 将来の夢を教えてください。
会計士になりたいです。 まだ決めてないけど……
いろんな国に行ってみたいです。
小倉サイナさん
比嘉章吾くん
しっかり者のサイナさんとちょっぴりシャイな章吾くん。この日はピアノも披露してくれました。二人とも志望校を既に決めているとのこと。夢が叶うよう、頑張ってください!
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